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嘘つき魔術師  作者: その他大勢
間章
133/133

鮮血のホワイトクリスマス-任務-

 居場所を求めた少年はギルドへと加入をしていた。でもそのギルドですら、ユウにとって本当の居場所になるかどうか怪しいところだった。

 まずユウが配属されたのは『裏ギルド』という所で、他のギルドのメンバーですらその活動内容は知らない──というより全く認知されていないのだ。そこに配属されたユウでさえまだ活動内容は全く知らされておらず、ただ『コルウス』という名を貰い、戦闘訓練に明け暮れる日々だ。

 そしてギルドマスターであるレイヴンが、佩刀している無銘の能力をいずれ使うと言っている事だ。その能力の威力は絶大だが、ユウにとっては命を蝕む毒のようなものだ。魔力吸収を使えと言われている限り、ここにユウの居場所なんて存在しないのだ。

 救う方法が魔力吸収しかないのなら、それに代わる別の方法を模索するだけだ。どんなに見つからないと言われようとも、ユウがユウ自身の居場所を獲得するためには必要な事だった。

「夕凪-yunagi-」

 白髪のユウが黒い斬撃を飛ばした。

 その黒き牙は命を持たない青い魔術人形に喰い込み、小さな氷の欠片を飛ばしながら破裂させた。

 ユウがなぜか知っていた魔術。誰に教わるでもなく、初めからその魔術を使えていたような感覚で放っていた。

『夕凪』──魔術が存在しないはずの闇属性の斬撃魔術。謂わばオリジナルの魔術でもあった。その魔刃は闇属性の特性である魔力破壊を有しており、魔術同士の衝突には滅法強い。ただ一直線にしか撃つ事ができないため、複数の敵には相性が悪かった。

『夕凪』の射程外だった別の魔術人形がユウの側面に回り込み、その太い腕を振り上げていた。

 そのパターンはすでに何度も刷り込まれている。

 脚に魔力を集束させ──爆発した。

『強化』の一段階上の技法である『魔魂』。身体能力が格段に跳ね上がる。

 腕が降り落ちてくる丁度のタイミングで、ユウは回し蹴りを放った。

 砕け散る氷塊の腕。

 バランスを失い倒れようとする氷の人形。

 それにユウは容赦なく『無銘』で斬り捨てた。

 尚も襲ってくる氷の人形達。

 すでに数十体は倒しているが、これは元となる魔方陣を破壊しない限り延々と沸いて出てくる。

 このままでは埒が明かない。

 そう判断したユウは、己の魔力を『無銘』に喰わせた。

「夕凪 周-yunagi amane-」

 刀の鋒を地面に突き刺すと同時に、ユウを中心に円の『夕凪』が発生した。

 突如、その円は急速に広がり始めた。

 リング状の黒い斬撃が氷の人形を跡形もなく消し飛ばしていく。

 戦場はユウ一人となった。

 そこに、ある一点から氷の人形が姿を現す。

 その数は徐々に増えていき、どの個体も必ずその一点の場所から出現していた。

「そこが核か」

 ユウはその一点に向かって──、

「夕凪-yunagi-」

 黒の魔刃を撃ち放った。

 魔術人形を破壊しながら、魔刃が核に到達すると鏡が砕けるような音が木霊し、氷の人形はもう二度と姿を現す事はなかった。

「これは俺の勝ちだよな、フブキ?」

 本来なら低く押し殺したような声で喋らなければならないのだが、今は別に問題はない。その口調、声色はレイヴンからギルドに居る間はそうしろと命令されて作り出したもので、『コルウス』という事実を隠蔽するためだ。そのためユウがコルウスであることは他のギルド員は全く知らない。知っているのはレイヴンとグレン、フブキの三人のみだ。

 ギルドは表向き何でも屋みたいなもので、ユウが所属している『裏ギルド』の事は誰も認知していない。他の連中から見たユウはただコルウスという名の無愛想で、出生不明で、何をしているのかわからない穀潰しというのが評判だ。一方グレンとフブキはちゃんと表のギルドでもにも所属してリーダー格の貫禄を発揮し、メンバー全員から羨望、尊敬されてユウとは真逆だった。

 別にそれはユウにとって苦痛ではない。いつも通りだ。どこでも自分は除け者にされている。それに今はこのギルドが自分にとっての居場所足り得るかどうか見極めているところだ。今の評判だけでは判断できかねない。

 表はどうであれ、現在の裏ギルドはほどほど居心地は良いのも事実である。グレンとフブキが少なくともユウを仲間として認めてくれているからだ。そこは部活と変わらない。ユウにとっての居場所はその部活と、裏ギルドで会う二人となっていた。ただその二人がユウを見捨て、ギルド自体がユウを追い出そうとするなら、もうそこはユウの居場所ではなくなってしまうのだけれど。

「……強くなったよ、コルウス」

 今でこそようやくフブキの魔術人形を蹴散らすのに成功しているが、最初はボコボコにされたものだ。それをこうも容易く攻略できて感慨深いものを感じる。

 ここでは何であろうとユウはコルウスと呼ばれていた。ユウという名を発してはいけないルールがある。これもレイヴンが決めた掟でもある。

 ふとフブキの体がふらついた。かと思えばユウの方になだれ込むようにして体を預けてきた。

 これが彼女の弱点だ。魔術の扱いは一流ではあるのだが、体が脆弱なのだ。魔力を行使しただけで貧血に似た症状が襲うのだとか。事実彼女の顔は血の気が引いて真っ青だ。

「大丈夫か!? フブキッ」

 叫びながらギルドで最も熱苦しい奴のグレンが駆け寄ってきた。

「グレン、パース」

「ぬおっ!?」

 ユウに凭れているフブキを押し返すかのようにグレンへと渡す。彼は慌てて彼女の肩を抱くようにしてキャッチした。

「ナイスキャッチ」

「お前……っ、フブキの体に何かあったらどうするつもりだ!?」

「そうだー。優しくしろー」

 彼らからの文句は適当に受け流す。

 気づけば、腕に鳥肌が立っていた。その腕を擦る。

 これはいつもの事だ。訓練が終わればフブキはユウに凭れ掛かってきてユウが受け止め、彼女を介抱しようとグレンが駆け寄ったら彼に渡す。ここ何日はずっとそれを繰り返している。

 この行為はユウの魔人嫌いを克服するための『治療』らしいのだが、一向にその成果の程は見せてくれない。ただここまで魔人が嫌いだったのかと自己嫌悪に陥るくらいだ。

「そうだ、グレンは俺と訓練してくれないの?」

 フブキの事を避けるかのように別の話題を出す。

「もう俺ではお前の相手は務まらんだろう? また今度だ」

「……ああ、うん……」

「まあ、だからといって俺はお前から負けたという汚点を払拭すべく、日々鍛えてはいるがな!」

「汚点言うな」

 ユウはギルドに就いた直後のグレンとの戦闘訓練で彼を下していた。言い換えれば、それはグレンにとっては屈辱的な敗北でもあるという訳だ。それでもちょくちょく訓練には付き合ってくれたから良い人ではあるのだが、訓練すればする程ユウとの差は開くばっかりだった。

「何ともまあ不憫な人で……」

 思い返してそう思う。

「何か言ったか?」

「いえ、何も」

「だいたい、お前の動体視力は人間離れしているぞ。普通魔弾の軌道が見えたり、斬り捨てたりするのはそう簡単にできる訳ないんだからな」

 グレンは魔法銃が収まったホルスター付きのベルトを体に巻きつけている姿の通り、銃使いでもある。彼との初戦、ユウはことごとく彼の銃撃を見切り、得意の接近戦に持ち込んで勝利している。

「鍛えてあったのか?」

「……別に鍛えた覚えはないんだけど。元からじゃないのかな?」

 とはいってもまだ小さな子供の頃はそうでもなかったような気がするし、いつの間にか良くなったとしか言い様がない。どうであれ、ユウにはその目があるお陰で敵の攻撃を見切れるし、隙を見つけて反撃できる。さすがに死角はカバーできないが、先程のように魔術的な攻撃であれば魔術感知で察知して対応できるようになった。そのような芸当を身につける事ができたのはやはりこの訓練のお陰ではあるが、これは武人化前提の話だ。黒髪に戻ればまた別の立ち回りが必要になってくるか近づける必要があるだろう。とはいっても、ギルドに居る間はずっと武人状態ではあるが。

 ふと訓練場にレイヴンが訪れ、ユウは思わず舌打ちした。彼の事はなぜか気に入らない。目が合うのも嫌だし、存在そのものが消えてほしいとすら思っている。それはどうしてかわからない漠然とした理由で、ユウはレイヴンを敵視していた。

「キミ達に任務だ」

 徐にレイヴンの口からそう告げられた。

 任務──ユウの指が僅かにピクリと動いた。それは必然的に『無銘』の能力を使う訳で、ユウの命を削る事になる。

 ユウにはそんな覚悟まだできていないし、助けるための別の方法すら見つかっていない。下手をすれば──死ぬ。

 だからこの任務の依頼は絶対に聞きたくはなかった。このまま何事もなく時が過ぎればいいと思っていた。でも忘れてはならない。ユウがここにいるのは『コルウス』としての責務を果たすためだ。

「キミ達には『ウムビリークス』へ向かってもらう」

『ウムビリークス』──地理が苦手なユウでもその地名は知っていた。どの世界地図でも必ず中央に描かれる小さな島国だ。そこでは様々な人種が共生している。差別などどこにもない理想な世界の縮図だ。

「なぜ『ウムビリークス』に?」

「そこの住民達がウィルスに感染している疑いがある」

 グレンの問いにレイヴンがそう答えた。

「ウィルスって何だよ? 絶対それと『無銘』が関係してるんだろ? 俺の身だけじゃねえ、こも二人だって危険に晒すだろ。危険犯してまで出向く必要なんて──」

「コルウス」

 レイヴンの呼び掛けが、ユウの言葉をピシャリと遮った。

「まだ、怖いのか?」

「……ッ、当たり前だろ……!」

 その声は、自分でも驚くほどドスが利いた低い声だった。

「誰が好んで死にに行くような事するかよ。ふざけんじゃねえ」

 その声色、口調こそがレイヴンから指示されたコルウスとしての人格そのものなのだ。元の性格とは全く違うし、顔だって仏頂面を張り付けてる。髪型も目の色も違うからこうなる事でいよいよ元のユウとは気づかれにくい。

「じゃあなぜキミはここに居る?」

「…………」

 返す言葉は無かった。

 結局ここにユウが居るのは『無銘』を使う他ない。

「──行けばいいんだろ?」

「ああ。期待しているよ、コルウス」

 用件は伝えたと言わんばかりに、レイヴンはこの場からさっさと退場した。自分のなすべき事をやれとその背中が語っているようにも見える。その後ろ姿にどうしようもなく怒りが込み上げてくる。

「──コルウス」

 まだ若干の疲労が残っているのが声でわかる。そんな状態でフブキが話しかけてきた。

「私達は、お前の味方だ」

「え……?」

「ああ、そうだぞ」

 そしてグレンが乗りかかってくる。

「実は俺達も、レイヴンさんに対して少し疑問を抱いているんだ」

「なぜ、お前が『無銘』を使わなきゃならないのかをな」

「それは──」

 何をそんな当たり前の事を訊いているんだ? とユウは思った。この魔装はすでにユウが所持権を持っているのだ。元はといえばシドの物ではあったが、そのシドが死んで持ち主がいなくなってしまったのでユウが父親の片見として手にした。

 魔装は武人が魔装の所持権を持ってさえいればその武人専用となる。所持権が無い武人ではその魔装は扱う事はできない。

「俺以外が使う事ができないから」

「ならば、お前が所持権を放棄してしまえばいい。そうすればお前はこの過酷な役目から逃れられる」

 フブキの指摘はもっともだった。

 本当に『コルウス』の役目が嫌ならとっとと『無銘』を棄てればいいだけの話だ。どこの誰ともわからない自己犠牲の精神を持つ武人にこれを託し、『コルウス』を擦りつければいいじゃないか。父親の片見だからという理由で手離すのを拒むのをやめてしまえばそれで済む話だ。どうせ全てが終わった後、『無銘』は帰ってくるはずだ。

「でもレイヴンはそれを許さない。何が何でもユウに押しつけようとしている」

 グレンの言う通りだった。今までそれを実行しなかった訳じゃない。できなかった。ユウに『コルウス』になるようにレイヴンが圧力を加えていた。

「私がお前と同じ立場だとしても、それの使用には迷いが出るよ。たぶん、最後まで使う事を躊躇う」

「俺達はお前がどんな選択をしようとも、絶対に責めるなんて事はしない。お前は俺達の大事な後輩だ。お前の選択を尊重しよう」

 この二人はただ命令に従うだけの犬じゃない。底辺に居たユウを仲間だと認めてくれた、ちゃんと意思のある人達だ。この二人なら絶対に見捨てたりなんてしない。そう思った瞬間、どこか気持ちが晴れたような気がした。グレンとフブキが居るなら、裏ギルドもユウの居場所にはなれる──そう確信した。



      ●



「ところで、裏ギルドって何すんの?」

 ユウは裏ギルドに所属しておきながらその実態は知らされていない。『ウムビリークス』へ向かう船の中でグレンとフブキに訊ねた。

 先程レイヴンがウィルスがどうのこうのと言っていたが、十中八九それを駆除するのだろう。

「ふむ、じゃあまず、悪魔(ファントム)は知っているかい?」

 グレンの問いにユウは頷いた。

 最近現れるようになった人間の突然変異種だ。自我を失い、ただ戦うだけしか求めないバーサーカーとだけ聞いている。本当に死ぬまで戦いを求めるのだとか。もし自分が何も考える事ができずにそうなってしまうのを考えると、身の毛が弥立つ程だ。

悪魔(ファントム)状態はある魔力をある程度浴びる事で発症してしまうんだ。俺達はそのある魔力の事をウィルスと呼んでいる」

「そのウィルスを駆除できるのが──」

 フブキがユウの腰に向かって指を差してきた。その指先には──。

「お前の『無銘(それ)』だ」

「つまり、ウィルスとなってる魔力をコイツで引き抜いてしまおうという訳か」

 それで一つの疑問が生じた。

「それじゃあ、俺がすぐ悪魔(ファントム)になっちゃうだろ!?」

「安心するんだ。レイヴンさんは魔力吸収さえすれば、無害な魔力となって還元し蓄積すると聞いているぞ」

「それホントかよフブキ!」

「大丈夫、レイヴンさんは嘘つかない」

 フブキがなぜか誇らしげにレイヴンの太鼓判を押す。

 ──そもそもあのオッサン、俺は胡散臭いとすら思ってるんだけどな……。

 この二人は完全にレイヴンを崇拝し、陶酔しているように見える。ある意味あのギルドはレイヴンを敬拝する危ない宗教団体なんじゃないかと思えてくる。

「元々世間の端くれで、ただのゴロツキだった俺達が更正してギルドに居られるのも、あの人のお陰なのさ」

「へぇ、DQNだったんだ」

「ん? 何だそれ?」

「いんや、別に……」

 ともあれこの二人はレイヴンから社会復帰してもらい、その恩義で彼の側近としてギルドで働いているのだろう。それゆえにレイヴンの思惑に荷担しているのがわかった。

 ──その思惑に、俺も乗せられようとされている訳ね。

 本当に悪魔(ファントム)化した人達を助け出したいかどうか、見定めてやる──そのように思い馳せながら、船はとうとうウムビリークスに到着したのだった。



 ウムビリークスにも雪はしんしんと降り続いている。雪化粧した島に上陸して早々目に飛び込んできたのは目を疑うような光景だった。否、疑うというのは語弊だろう。評判通りだったのだから。本当に全ての人種が共生していたのだから。

 ユウが暮らす首都でも、帝都と魔界のように険悪ではないがある程度の諍いは生じている。だがここは、それすらも微塵も感じさせなかった。真の理想郷が目の前に広がっている。

「お客さん、ですか?」

 薄い青色の髪、頭頂部には小ぶりな角が二本突き出している事から、ユウ達の側に寄ってきた少女は魔人だとわかる。まだ幼さの残る顔立ちで、年齢はユウと同じくらいか下だろう。

「実はここに移住を考えていまして。ちょっとばかり下見を……」

「そう、なんですか。少しタイミングが悪いかもしれませんね……」

 ここに来た本当の理由は伏せて、適当な理由でグレンが言う。それに対して魔人の少女は表情を曇らせながら呟いた。

「──というと?」

 グレンが問い詰めると、すぐに彼女は語りだす。

「実はここの人達みんな病気かもしれないんです。突然見境なく暴れだしたりして……普段そういう人達じゃないはずなのに……」

 おそらくその『病気』の原因というのがユウが取り除くべきであろう悪魔(ファントム)化のウィルスだろう。症状がよくわかっていないとはいえ、悪魔(ファントム)化の影響が悪化していると見える。ならば近いうちにユウは選択しなければならなくなるだろう。


 自分の命か、見ず知らずの顔も知らない赤の他人の命かを。


「構いませんよ。こう言ったらアレですけど、危険と判断したら手を引くので」

 妙な言い回しでフブキが言うものだから、魔人の少女も少し困惑しているように見えた。でもすぐに表情を切り替えて──、

「今晩泊まる所とかないでしょう? 宿があるので案内します」

 笑顔でユウ達を迎え入れてくれた。

「申し遅れました。私ファティマと申します」

「こちらこそ紹介が遅れた。俺はウルラ」

「パーウォー」

「…………」

 ウルラ、パーウォーはグレンとフブキそれぞれに与えられたコードネームだ。ユウも二人に倣って『コルウス』と名乗ればならないのだが、その名を口にする事すら躊躇ってしまう。

 このファティマという少女も所詮はただの魔人だ。ユウの事を知れば、きっと他の魔人と大差ない扱いをするに決まっている。人をゴミに送るようなあの冷たい視線を投げ掛けてくるに決まっている。

「あの、あなたは……?」

 黙りこくるユウの眼前にずいっと覗き込むようにして目を合わせてきたファティマ。その瞳はただただ無垢そのものだ。それが他の魔人と変わらない目になる。だったら始めから友好的な関係なんて必要ない。この女の子を壁で隔ててしまえばいい。

「チッ……コルウス」

 露骨な舌打ちと共に偽名をくれてやった。

 するとファティマの方もみるみるうちに不機嫌な顔つきになっていく。

「あなた、感じ悪いね」

「うるせえよ。俺は魔人が嫌いなんだ」

「そんな人がここで上手くやっていけるとは思えないと思うけど」

「ふん」

 第一印象は最悪。それを押しつけてしまった。

 でもこのファティマこそが、ユウの運命を決定付けてしまう事になるのは当時は知る由もなかった。

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