【小説技術】発想の水車理論で物語を回そう
天才的な人は、ちょっとアイデアを与えられただけでスラスラと物語を出力することができる。
けど、アレは天才だけの能力ではない。実はちょっとした技術により、凡人でもスラスラと物語が出るようになれるのだ。
出典は忘れたけど、水車理論という発想の手法がある。
水車はなぜ回るか。水の流れがあるから。水が流れるのはなぜか。高低差があるから。
キャラを二人用意する。片方はあることを知っていて、もう片方はそのことを知らない。
すると知識の「高低差」ができる。知識を持つ者が、持たない方に解説してあげるいう、流れができる。
すると物語という水車も回りだす。
ただし高低差が激しすぎると、水は散ってしまうし。高低差が緩やかだと、流れが遅くなる。それだと水車は回らない。
二人に知識差がありすぎて、興味を持って貰えないと、解説することがなくなる。二人の知識差があまりないと、解説の必要がなくなる。
すると物語が進まない。
これが水車理論。
小説創作の、あらゆる場面で使える応用範囲の広い技法だ。
異世界転生なんて分かりやすい例だ。
異世界に転生しました。ここはどこだ? そこへ現れる異世界人。すると解説する必要が生じてくる。人間関係が構築され、物語が展開される。
異世界で常識が違うみたいなのも、水車理論で考えてみよう。
現代日本の倫理観と、異世界の倫理観。
転生したチートパワーと、異世界としては普通の戦闘力。
価値観の違うキャラ二人を用意すると自然、水車が回ってくれる。
これは短編のコツなのだけど。キャラを二人出すとやりやすい。
冒頭に主人公を出す。物語なのだから、何かしらのトラブルに巻き込まれているのではないだろうか。だが「僕は困っている」だけでは物語が回りにくい。
そこへもう一人キャラを出して「どうしたの?」と質問させる。すると「実は……」と話が進行する。
この二人間の情報格差で、水車が回る。
また性格の差でも水車は回るだろう。
わかりやすい例がボケとツッコミ。ボケだけでは話が進みにくい。ツッコミに解説をしてやればいい。
片方がすぐ物事に頭を突っ込む性格で、すぐ事件を起こす。もう片方は慎重な性格。すると、どんな事件が起こったのか質問する。どんな物語なのかが分かる。
また片方が刑事、その相方が悪党のコンビなんて分かりやすい例だ。
共通した目的のため、互いに行動する。すると価値観の違いが生じる。摩擦が生じる。と同時に、互いが互いの影響を受ける。
ふたりの性格に変化が生じてゆく。その過程がドラマとなるだろう。
これはセリフ術にも繋がる。ずっと独り言で「私は世界の破滅を救うため旅をしている。世界の破滅とは」とかやると、いかにも間抜けだ。
聞き手を用意しよう。そして聞き手に「何のために旅をしてるの?」と質問させてやれば良いのだ。
というわけで、二人のキャラを用意する。二人のキャラには情報格差をつける。情報格差には性格の違いもつけてやる。すると互いの情報格差を埋めようと、水車は回る。
これでコントも作れるようになるはずだ。コントが作れるようになったら強いよー。
そしてファンタジーの世界設定にも水車理論は使える。
例えば「神と魔との戦争があります」だけでは、「ああ、また戦争という日常が続くのね」と物語が始まらない。
そこへ全くの異物を入れてやる。例えば「それ」を手に入れた方が戦争に勝てるとしよう。すると神と魔も戦争どころじゃなくなる。戦争するだけの毎日が終わる。
世界設定というのは、その世界における「日常」の話だ。対して物語においては「事件」を起こさないといけない。事件を起こして、日常を終わらせる。
その瞬間を描くからこそ、物語として記録する価値がある。
これはもちろん、ファミリードラマのような「ファンタジーではない」物語にも有効だ。
家族にはとある問題がある。そこへ何も知らない人が居候へ来た。すると情報格差ができる。ならば知る者から、知らない者へ解説しなければならない。
その過程で読者にも自然に、家族の問題が解説される。また秘められた問題が露わになることで、問題を解決する必要性が生じる。
ほら、これってどんな物語にも使えるテンプレートじゃないかな?
小説創作における、水車理論の応用範囲は広い。あなたもあなたの「水車」を見つけよう。
そこに物語が広がっているはずだから。




