表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キングスレイヤー  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/43

8. 広場の宣告

村の広場は、刺すような緊張感と絶望に支配されていた。 「ヨンドカ王国第二王子、ジャミル様のご生誕を祝し、本村には『澄みわたる上級ライ麦酒』十樽の献上を命ずる!」 馬車の上から、傲慢な役人が書面を読み上げる。その声は、静かな村の空気を冷酷に切り裂いた。


「……そ、そんな。上級品など……」 村長が震える声で膝をつき、必死に頭を下げた。「この村にあるのは、酸味が強く濁った安酒ばかり。王位継承の祝宴に供されるような酒など、用意できませぬ。どうか、どうかご慈悲を……!」


「黙れ、無能が」 役人は冷酷な一言と共に、泥まみれの地面に額を擦り付けていた村長の頭を、重いブーツの踵で容赦なく踏みつけた。鈍い音とともに村長の呻き声が泥に沈む。


「用意できぬというなら、代わりとして村の若者十名を供出せよ。王都のさらに北、陽の光も届かぬ深山の開発に従事させる。……ああ、案ずるな。彼らには国のための『資材』として、一生涯その身を捧げる栄誉が与えられるのだからな」


その言葉の響きだけで、子供たちは本能的に察した。それが「二度と帰れない、恐ろしいこと」であることを。


「アーノル……」 隣でケニの手を引いていたロバーソンが、消え入るような声で名を呼んだ。その小さな拳は、白くなるほど強く握られ、怒りと恐怖で激しく震えている。 「あいつ……ゆるさない」 口数の少ないロバーソンが発したその言葉には、五歳児には抱えきれないほどの激しい拒絶が宿っていた。

それを見た役人は


「そこの目つきの気に食わないガキも連れて行ってやろう、王家のために働ける名誉だぞ」

ロバーソンに向かって下卑た顔を向ける。


(……。あぁ、最悪だ。反吐が出る。ロバーソンがいなくなれば、ケニは誰と遊べばいい? それに……俺自身だって、こいつがいなくなったら、この孤独な世界で誰と肩を並べて歩けばいいんだよ。……。はぁ、本当に、本当に面倒くさいな)


アーノルは深く溜息をつき、ロバーソンの泥に汚れた冷たい手を、力強く握り締めた。「……泣くな。あんな奴らに今ぶつかっても、お前が痛い思いをするだけだ。……。いいか、俺を信じろ。あの役人の鼻を明かして、お前も、村の兄ちゃんたちも、誰一人どこへも行かせない。俺がなんとかしてやるから」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ