表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤング キングスレイヤー  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/33

6. 鉄の門を叩く

数日後。アーノルは、東の果てのバテンの畑に立っていた。横には、付き合わされて不安そうなロバーソンがいる。


前回のドンナとの取引は「一回限り」だ。今日もケニを連れてきたが、修行の間どう過ごさせるかが問題だった。すると、ロバーソンがそのへんに落ちていた枝を拾い上げて言った。


「アーノル、僕、こっちで槍の練習してるから。ケニのことは見ておくよ」 「助かる、ロバーソン」


俺はバテンの畑の隅にある切り株にケニを座らせ、懐から昨日作った「木彫りのウサギ」を取り出した。木こりの親父の端材を削ったものだが、出来栄えはかなり不格好で、耳の長さも左右バラバラだ。 「はい、これ。あっちでロバーソンと一緒に遊んでて」 「う、うさぎさん……? ケニ、これで遊ぶ!」 不格好でも新しいおもちゃには興味を示してくれた。ケニがウサギを振り回し、ロバーソンが枝を槍に見立てて素振りを始めたのを確認し、俺はバテンへと向き直った。


バテンは相変わらず、地を這うような姿勢で黙々と土をいじっていた。


「……死ぬまで木でも叩いていろと言ったはずだ、小僧」


バテンの拒絶は鋭い。アーノルは心の中で「帰りたい」と叫びつつ、努めて冷静に、しかし図々しく切り出した。


「おじいさん。息子さんは、商人になったんですよね」


バテンの手が、ピタリと止まる。


「……貴様、どこでそれを聞いた。……あの愚か者の話はするな」


「怒らないでください。でも、おじいさんのこの凄い技術が、誰にも継がれず、このままおじいさんと一緒に土に埋まっちゃうのは……すごく損失だと思うんです。……もったいないでしょう?」


アーノルは「見る力」を通じ、バテンが持つ【農王】という性質が、この村において唯一無二の価値であることを確信していた。


「親父は木こりですが、僕は森で木を切る以外の生き方も知っておきたいんです。おじいさんのやり方を、僕に教えてください。……そうすれば、いつか息子さんがこの村に戻ってきたとき、おじいさんの技術がちゃんと誰かに受け継がれて、この村の畑がもっと豊かになっているところを見せられる。それが一番の『答え』になると思いませんか?」


バテンがゆっくりと顔を上げた。その眼には、底知れない苛立ちと、それ以上に、目の前の「可愛げのないガキ」の正体を見定めようとするような、粘りつく視線が混じっていた。


「……ガキの分際で、生意気なことを。……。アーノル、貴様は素手でその隅の石をすべてどかせ。一つでも残っていれば、二度と敷居を跨がせん」


それは教育の始まりというより、単なる嫌がらせの強制労働だった。 (……。あーあ、やっぱりこうなる。腰が痛くなりそうだ) アーノルは心の中で悪態をつきながら、泥だらけの土に手を突っ込んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ