狂い園、彼女はいずこへ
「殺す…!絶対に殺してやる…!!」
まさか、
「蜜奈よ、かかって来なさい」
魔族が、
「ほら、早くしなさい?」
実の両親だったなんて、
「…分かってた」
私は、刀を持たない左手で目を覆い、天を仰いだ。
「どうかしたか?」
「…お前らが人間じゃないのは分かっていた。常に漏れ出す僅かな殺気にも気づいていた」
「そうか。まあ流石といったところか」
「…嫌だなぁ、そんなの」
「ほう?これ程私の性根をいやと見て、よくそのような甘い言葉が出せるものだ。まあそれも計画の一部ではあるのだが」
「…私は、お前らを殺すためにこの世に生まれてきた。心のどこかでそう《《確信》》していたのに。…駄目だね、私は」
「何が言いたい?私を殺すのか?それとも私に殺されるのか?選択肢は二つに一つだ」
「もちろん殺す。絶対に、お前らは許さないからな」
そうだ、こいつらは親であったとしても関係ない。罪のない人を殺し、生徒会を変貌させ人々を襲わせた。その事実に変わりは無い。だから私は、覚悟を決める。実の親を手にかける、その覚悟を。
「ここでお前らを絶対に仕留める…!」
「面白い、はじめようか…!」
〈紺の術〉その五、六、七、八
「最大強化で決める…!」
「無駄な抵抗だ」
『呪禁魔法』設定「異様強化」
「!!?」
空気の重厚感が増した…!全身がヒリヒリとした痛みに襲われて、緊張が心臓を締め付ける…!
七不思議の強化版なんて表現じゃ生ぬるい…!
「へぇ…やるじゃん…」
「茲愛にも同じものをかけて、重圧が倍だというのに、まだ立っていられるか…。流石は我が娘と言ったところか」
「…ふん、こんなの余裕さ」
「ほう?そうか…それではいくぞ」
香田羽が1歩前出ると同時に、おぞましいほどの速度で茲愛が背後に後ろに回り込む。
=麗剣= 縷縷乱舞
「!!」
ガリガリギャィン!!
茲愛は二刀流ではなかったはすだ。だが今は私の身長ほどある長い刀を2本携えている。
茲愛の連撃は一つ一つはそれほど重くはないものの、全く隙の見えない剣の舞が、徐々に体勢を崩してくる。
「くっ…」
「まだまだ甘いわね、蜜奈。一撃一撃を上手く流しても、次の行動が遅い」
「うっさい」
〈紺の術〉その十四 来数
「数には数に抵抗、適策かもしれないけれど、実力差がある場合だと…、あら?」
私は完璧に全ての攻撃を弾く。
そして片方、もう片方の刀を強く弾き飛ばす。
両手が広がった状態の茲愛はまさに隙だらけであった。
「実力差がある?確かにそうかもね。私の方が、実は強いんだから」
〈紺の術〉その十三 来疾
低い姿勢からの下から上に一閃。流石にこれは決まっ…
『反転魔法』概念反転
「!!?」
ガンッ
振り上げようとした刀が地面を打ちつけている…。これが茲愛の反転魔法か。方向、数字、その他概念を反転させる魔法。
「あら、惜しいわねぇ蜜奈。今隙だらけなのはどっちかしら?」
「ちっ、うざすぎ」
〈紺の術〉その四 錠越
私は香田羽と位置を入れ替える。
「なっ…!」
『火炎魔法』一貫する静炎
バシュゥン!!
「ぐっ…!」
茲愛も香田羽も身体を逸らし、茲愛は致命傷を免れる。
だがしかし、1つ。
「やっぱり、なんとなく思ったんだけどさ、お前達は七不思議みたいな再生能力が使えないんだね」
「…」
「なんでかは知らないけど、回復魔法や七不思議にあった脅威的な回復力が無いし、攻撃を極端に喰らわないようにしている。多分七不思議のあの回復は、反転魔法によるものだったんだね」
「その通りよ、蜜奈。私たちは七不思議のように再生能力も無いし、回復魔法の適正も全くないのよ。でも、ご覧?」
「…!!」
ジュゥゥァァ
「傷が塞がって…!?」
「それでも尚、私たちには別の《《回復手段》》がある。弱い治癒だけど、この程度ならすぐに治るわ。この私たちを、止められるかな?蜜奈」
「…」
一撃で沈める必要はない、か。確かに手早く仕留めないといけないけど、これなら…。
「どうした?蜜奈。私はもう魔法の準備が整ったぞ?」
「私もよ?今ここで貴方を殺す。いくわよ?」
「いいよ、来なよ。ここからが本番だ」
〈紺の術〉その十八 帯切
「残像が実体を持つ、やかましい技だな」
これが今の私の本気。
「…殺す」
茲愛、まずはお前からだ。
=麗剣= 辣摩瞬翩
茲愛が姿を消した。
と思ったのも束の間、背後から
ブォン、ガキィン!!
「速いね。でも、速いだけだ」
「ははっ、生意気な娘だなぁ」
私を中心に消えては斬撃を繰り返す茲愛。
『氷華魔法』 漸零の凍土
『火炎魔法』 榊陽炎
「…!流石に手数が多いな…!」
=麗剣= 風華珠
全方向から隙間なく打たれる魔法を全て弾く。
『反転魔法』 ∃衝撃反転
ガキュゥン
「…!!」
弾こうとした魔法が威力を増した…!
弾こうとする力の向きを180°変えるのか。しかも攻撃から剣を離しても威力は維持される。
「くっ…」
「まだまだね、蜜奈」
まずい、来る!!
=麗剣= 十字飛蝶
ガキィン!!
…!!
「これも反転魔法の影響を受け…
ガキィン
万妖麗寿が遠くの地面に突き刺さる。受身をとり、衝撃はなんとか流せたものの、武器を遠くに捨ててしまった。
「武器がなければ何をしても仕方ないわねぇ、蜜奈?」
「…」
「どうした蜜奈?まさか武器が無いから降参と抜かすわけではあるまいな?」
「そんな訳ないよ。拳でも戦える」
「…そう」
魔法で作った剣じゃ話にならないほど脆い。ここは拳を強化してなんとか殴り込むしかな…
ザシュッ
「うぐっ…!」
「…骨までは断てなかった。でも次こそその左手を叩き切る」
流石に舐めてた…。切断力は生半可なものじゃない、恐ろしい鋭さだ。
「くっ…!」
ガキィン
茲愛の刀を右手で殴り飛ばすが、状況が圧倒的に劣勢になってしまった。
「それだけの傷を負えば流石のお前と言えどこの魔術は満足に避けられまい」
『火炎魔法・獄』 噴貴炎
巨大な炎が龍のように向かってくる…!
「ぐぁっ…!」
避けようとしたものの脚が少しかすってしまい、巻き付くように私の右足を焼き焦がそうとしている。
「いたっ…!」
『水魔法』 縫合揺籃
「…っ」
焼き尽くされはしなかったものの、焦げたり、爛れたり、酷い有様となった右足。
「これで終わりよ」
=麗剣= 三棺蜻
「!!」
3連続の突き技。流石に距離を取るが、膝を着いてしまう。
「…これでもギリギリで受身をとる…。完璧ね、最早」
…完璧、か。
「…だめだなぁ、私は」
「どうした?」
「対象が何であれ、任務を速やかに遂行する。それが暗殺者としての基本中の基本だ。だけど今の私はどうだ?」
「逆に対象に殺されかかっている、と?」
「それは違うなぁ」
「それではなんだ?」
「…」
「何?蜜奈。何が言いたいの?」
「…私は、鈍ってしまうんだ。実の親を殺す、その事実に。お前らを、殺さないといけない運命に」
「本気でそう思っているのか?今の貴様の全力でかかって来てこの有様だ。もう勝ち目は無い」
…うるせえよ
「蜜奈…?懐に何を…?」
…ごめんね、万妖麗寿
「巾着袋?」
体が無事な内に、勝負を決めなければいけない
これが私の決断
「何をするつもりだ?その袋に…カッター?」
スッ
「…」
キリキリキリッ
「…あは」
ドクン
心拍が高まる
「…えへ、あはは、あはははははは!」
「蜜奈…」
ドクンドクン
「あはははは!あーははははははははは!!!」
ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン
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スッ
…
「あははっ、」
カッターナイフだぁ…、!
『誰でもいい!殺してやる!!』