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夢見る彼女は幸せを  作者: 緑野鳶
天佑神助を待つ者よ、汝、黎明を告げる
3/13

家族(?)


この世界には12の種族が存在している。


大陸最大の国土を持つ国家、アルナイル王国では12全ての種族を確認することができる。

人口の多い順に、『人族』『耳長族』『獣族』『長生族(ちょうせいぞく)』『竜人族(りゅうじんぞく)』『樹共族(じゅきょうぞく)』『言精族(げんせいぞく)』『氷闘族(ひょうとうぞく)』『色族(しきぞく)」『神族(しんぞく)』『人水族(じんすいぞく)』『光族(こうぞく)』である。


各種族は独自の進化を遂げており、外見•性質•生活様式等からそれはうかがうことができる。








「ここまで分かった?」


「うん。ちゃんと聞いてるよ」


私はウキウキで(種族事典)の読み聞かせをしてくれているフォルマの声に耳を傾けていた。

リビングの机の上には本を包んでいた袋と、まだ開けていない私のプレゼントが置いてある。私たちは隣り合って座っていた。


朝ごはんを食べ終えたと同時に届けられたプレゼントには、いつものようにお父さんの字で『おめでとう』と書かれたカードが入っていた。私はそれがプレゼントよりも嬉しい。お父さんは私のことを覚えてるんだって思うから。安心するから。


「それでね!私たちは人族はねぇ…、『世界で最も人口が多いのが人族である。人族の能力は平均的であるが、個体ごとの差が出やすいという特徴を持つ。通常、各種族には共通して得意、不得意とする分野が存在する。しかし人族には、そのような個体共通の特徴はほとんど見られない。手先の器用さに優れる者もいれば、身体能力に秀でた者も存在する。このように、人族は物事に対する適性が個体ごとに大きく異なる種族である。』…だって!」


「得意不得意が一人一人全然違うよ、ってこと?」


そう言うこと、とフォルマは頷いている。

…得意なことか。私の得意なことってなんだろう。


「不器用なお()姉様に得意なことなんてあるのぉ?」


ラクリマさんと同じ、焦茶色の髪短い髪の女の子。くりんと丸く大きな茶色の目。9歳にしては小さい背丈。

嫌味をいっぱいに含んだその言葉にフォルマはムッとした。


「あるわ!レギナが知らないだけよ」


「おはよう、レギナ。随分とお寝坊さんね。…顔は拭いたのかしら?」


部屋にいたラクリマさんが、レギナの声に反応して顔を出した。そして同時に私たちをギロリと睨みつける。


「おはよう、お母様!今、キレイにしてくるねぇ」


そう、とラクリマさんは頷いた。そして早く食事をするように言った。


「…それと()()。水を足しておいて頂戴」


「わかりました。…あっ、読んでていいよ。私1人でできるから」


私の手伝いをしようと立ち上がったフォルマを座らせる。台所のすぐ横にある大きめバケツを取って表へ出た。

…イチ。私はそう呼ばれている。呼んでもらえないよりはマシ…のはず。

汲んだ水をバケツに注ぎ運ぶ。家の瓶いっぱいにしなくちゃ。…何往復すれば終わるかな?











◇◇◇


「あと一回かな…」


私は垂れてきた汗を拭った。もう腕がプルプルしている。

…後ろから誰か来た。

私は昔から人の気配に気づくのが()()だった。お母さん譲りなんだって。


…あ、得意なことあった。


「…何?レギナ」


振り向くとレギナがにこりとしながら私へと近づいてきた。


「お誕生日なんですってねぇ!おめでとうございますぅ」


可愛らしい笑顔。でも私たちはこれに何度も嫌な思いをさせられてきた。


「ありがとう。服が汚れるよ。…それに集中できないから向こうに行ってくれない?」


「そんな寂しいこと言わないで?せっかくお祝いを言いに来たのにぃ。優しい()妹でしょ?…お()父様とは大違い…!」


冷静に。ここで怒っちゃダメ。だんまりが1番だと学習したでしょ全身に力が入る。

でもレギナはまだ続ける。


「だってそうでしょぉ?子供の誕生日ですら家に帰ってこないんだからぁ。お母様が居なきゃ、今頃お義姉様は…死んじゃってたかもっ!お母様は()()()!だから、愛してない子供を育ててくださってるのよ?お義姉様のお父様と違って!ありがとう、くらいしてきたらぁ?」


「違うわ!!」


声のした方へ顔を向ける。…フォルマ。

フォルマは私たちの元へ大股で歩いて来る。


「違うわ!!ラクリマさんには私たちを育てる義務があるのよ!だって私たちのお母さんなんだもん!それを言ったらあなただってお父さんに感謝しなくちゃいけないわっ!」


「やめてフォルマ…」


レギナはフォルマをじっと見つめている。大人しくフォルマの話を聞いているように見える。でも…。


わかってるでしょフォルマ!反論すれば、抵抗すればロクなことがないって。


「それに!本当に優しい人なら、私たちのことを『1(イチ)』『2(フタ)』だなんて数字呼ばないわ!!…っ私たちにもちゃんと名前があるのよ!?」


「やめて…」


私はフォルマの腕を引っ張る。村の人に注目され始めた。

これ以上はダメ…。これ以上はバレてしまう。


「でもお母様は毎日家事をしてくれる!?お金を稼ぐしかしていない人と一緒にしないで!()の大切なお母様を!」


「お父さんがいるからあなたも生活できてるのがわからない!?お父さんがいなきゃあの家だって、あなたの服だってない!それが分からずに…偉そうに!」


「っフォルマ!!」


私は声を荒げた。フォルマが驚いてこちらを見る。ダメだ間に合わなかった。引っ張ってでも止めさせりべきだった。ラクリマさんが騒ぎに気付き出て来た。はっ、とレギナを見ると目には涙を浮かべていた。


「何をしているの!!」


「…もう…知らないわ…!!お義姉様方はレギナが嫌いなのねっ!レギナ、お義姉様たちが可哀想だと思っただけなのに…!…っ!!」


レギナは村の外、森の方に走っていく。村の人たちがレギナを追いかけて行った。ラクリマさんもすぐにでも追いかけたそうだったが、その前にと私たちに強い視線を向けた。


私は反射的にフォルマの前に立った。

パンっという音と共に、私の左頬はヒリヒリと痛み始める。


()()あの子に何かしたの!?あなた達のせいで何かあったらどうするつもり!?…部屋に今すぐ入りなさい。その顔を見せないで!」


「はい。すみません。…行こうフォルマ」


私はフォルマの手を引き、家に入った。フォルマは泣いていた。

世界種族事典では遠回りな説明がされているようですが、『人族』は地球の人間と同じです。


異種族との間に子ができた場合、その子は両親どちらかの種族で産まれてきます(例外あり)。外見的特徴、習性等で種族判別することもできますが、それが難しいケースもあります。

そんな人のために!10歳から教会等の国に指定された場所で調べて貰うことができます。特別な道具があるのだとか…。


ちなみに、現在登場している人たちはみんな人族です。ただし、主人公姉妹は調べていないので「思われる」程度で覚えていただけると。

レギナは9歳なのでまだ調べて貰うことができませんがそこまで重要な情報ではないので、彼女よりも一足早くみなさんにはお届けいたします。

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