少女は開ける (──始)
鳥が鳴いている。
私はうっすらと目を開け、窓の方を見た。もうお日様は出たみたい。
隣のベッドで寝ている子を起こさないよう、慎重に起き上がり、そして着替える。
タンスの引き出しに入っているブラシとタオルを取り出し、部屋を出る。
台所ではラクリマさんが朝ごはんの用意をしていた。
ラクリマさんは5年前、お父さんと結婚した2人目のお母さん。
「おはようございます」
できる限り丁寧な挨拶をする。
ラクリマさんはこちらをチラリと見たけれど、すぐに何も無かったかのように料理を再開した。
…いつも通り。
私はそっと外に出る。
雲は所々あるけれど、いい天気だった。少し前まで寒かったのに最近は暖かい日が続いている。やっと4月らしい、春の天気になってきた。
家のすぐ前にある井戸から水を汲み、桶に注ぐ。そこに少しタオルを浸けて顔を拭いた。次に髪の毛をとかす。肩より少し下の高さに伸びた髪。とっても長いわけではないけれどど、朝起きると絡まっていることが多い。寝相が悪いのかな?
その時、後ろからドンと何かに抱きつかれる。
「おはよっ!」
「おはよう、フォルマ」
「なんだ、驚かないのね。…もしかして足音?」
うん、と頷くとフォルマは悔しそうな顔をした。
私と同じ白い髪に薄黄色の瞳。私たちは双子の姉妹だ。私が姉でフォルマが妹。顔のパーツの大きさは一緒だし背丈も変わらない。でも見分けるのは結構簡単。私はどちらかと言うとツリ目で、逆にフォルマはタレ目。それからメガネをかけているのがフォルマ。
あと、私には顔に傷がある。右側のほっぺより少し下から鼻にかけて大きい傷が、私の顔にはある。数年前に同じ村の子たちと遊んでいた時にできてしまった。事故だった。
私は優しく傷をなぞる。
「痛いの…?」
ううん、と私は首を振る。心配させちゃったみたい。
「大丈夫。それよりなんだか今日はいつもより元気だね」
そう聞くとフォルマは嬉しそうな顔をし、私に笑いかけた。
「お誕生日おめでとう!!」
「…!ありがとう。お誕生日おめでとう」
私は髪の絡まりを無くす。フォルマは顔を拭き始めた。
そっか、今日は私たちの誕生日だ…!今日で12歳になった。何か特別にお祝いするとかではないけれど、やっぱり嬉しい。
昔は豪華なご飯でお祝いをしていたんだけどな…。
私が少し悲しくなっていることに気づかず、フォルマはお父さんからのプレゼントが何か、ワクワクしているみたい。せっかくの誕生日なのにいつまでもこんな気持ちでいるのはもったいない。気持ちを切り替える。
お父さんはあまり家に帰ってこないけど、必ず誕生日には贈り物を送ってくれる。私はいつも「おまかせ」なんだけど、フォルマ必ずは本をお願いしている。
「今年は何の本?」
「『種族』についての本!前から欲しかったんだ〜!」
やっぱり。最近は、どこからか聞いてきた種族についての話ばかりするんだもん。
「知ってるでしょ?この世界にはたくさんの種族がいて、人族とか獣族とか耳長族とか…」
「知ってる知ってる。さ、早く畑行くよ?その話は後でね」
フォルマは急いで支度をし、私の後をついて来た。
2人の髪はスノーホワイト。瞳の色は正確に言うとクリームイエローです。日焼け知らずの色白お肌です。




