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夢見る彼女は幸せを  作者: 緑野鳶
天佑神助を待つ者よ、汝、黎明を告げる
12/13

天佑神助を待つ者よ─6

今話は主人公ちゃんと謎の少年、2人の視点で交互に進んでいきます。

「目の前で私が妹さんの喉に刃物を当てて君に人を殺すよう命じたら、君は殺せる?」


それが奴の最後の質問。


私の答えは──


「お前を殺して妹を助ける」
















◇◇


彼女の答えに奴隷商の男は顔を真っ青しに、()の護衛は眉をしかめる。


「私、強いよ?いくら君に武の才能があっても訓練を積んだ私は殺せない」


「死んででも殺す。死んでも呪い殺す」


「妹さんが死ぬかもしれない」


「そしたらお前を殺したら私も追いかけて死ぬ」



化け物や。

その目は本気そのもの。今、ほんまに()()を彼女の前でやって見せたら、この太いある目の前の鉄をひん曲げてでもこっちへ来る。そんな勢いを感じる。

彼女に俺は殺せん。それはきっと本人もわかっているばずや。それでも、死んだら呪い殺すとまで言ってる。執着、強すぎるんとちゃう?嫌悪や憎悪もない、純粋な殺意。

…俺のこと『化け物』思おてるみたいやけど、俺からしてみてばあんたも十分イカれてんで。


「あんた…やっぱりおもろいなぁ」


腰を上げ、イチを指差す。


「彼女はいくらですか?」


「んえっ!?こいつですか!?十九万ベルスですが」


「二倍出します。彼女をください」

















◇◇


「「は?」」


()と奴隷商の男の声が重なる。

待って待って待って!!え、今のどこでそうなった!?全然話は盛り上がってなかったよね!?もしかして最後の質問?こいつの逆鱗に触れてもおかしくないことを言ったと思うんだけど!!


「本当によろしいんですか!?こいつは世話が大変だとおもいますが」


「次来る時まで取っておいてください。二ヶ月以内にまた来ますから」


もう決めた、と勝手に話を進めていく。え、こいつに買われるの?

命の危険を感じる。


「ちょ、待って…」


「待たん。悪いけど決めたわ。諦めや、悪いようには扱わんから。当たり前やけど拒否権はないで」


すーっと血の気が引く。うそぉ…。完全に腰か抜けてしまった。

私の反応が面白いのか、奴はニコニコ。満面の笑み。悪魔…!


「ほな、またな」


ルンルンで去っていく奴の足音が聞こえなくなった直後、私は部屋のみんなに抱きつかれた。
















◇◇


今回分の支払いを済ませ、商品を馬車の荷台に積ませる。護衛一人を荷積みの監視につかせた。

()は貴賓室に通され、終わるのを待つ。


「早くて一ヶ月、遅くても二ヶ月以内には受け取りに参ります」


掘り出し物を見つけた。まだ代金を支払うまでは俺の物やない。せやけど確実に手に入る。

あぁ…、早く金を取りに行く帰りたいなぁ…。


「あっ、あと妹の方もいただけますか?一・五倍で買いますので」


「ご覧にならなくてもよろしいのですか!?」


「えぇ、結構。あくまで私が欲しいのはイチという少女。妹はオマケです」


そう、俺が欲しいんはあいつだけや。妹なんてどうでもええ。どうせ姉に守られて生きていたへなちょい奴や。


「そうですか…。ではあらかじめお代の方をお伝えしておきます。えぇと、B級一人、三十八万ベルス。S級一人、二十七万ベルス。合六十五万ベルスです。B級で多く支払ってくださいますので、S級の方は少し値引いております」


俺は頷く。

かなりの金額になってしもうたが、悔いはない。

今回分の()()を積み終えましたらお声がけいたします、と男は部屋を去った。

俺と護衛の2人っきりになる。


「……そんなにあの少女がお気に召しましたか?」


言葉に気ぃつけて喋る。…今更の様な気はするけど。


「あぁ、控えめに言って最高だ。これまでたくさんの奴隷を見て来たが、あんなのは初めて見た」


そう、俺は今まで数え切れへんほど奴隷を買ぉた。


「あいつは『絶望』してない。奴隷となったこの状況で、だ。俺が購入を決めた時も、心底嫌がっていたが希望を失った目じゃなかった。感情が顔に出ないタイプみたいだけどが、目だけは違った。奥深くで燃えてる。人生を諦めてない」


「…なにも妹まで買わなくても。確かにあの執着は普通ではありませんでしたが…。あれが『シスコン』という奴なのでしょうか」


「いや、そんな単純じゃないだろうな。あれは義母に売られたと言っていただろう。なら父親はどうした?生きているとするならなぜ止めない?」


「…忌み嫌われていた」


「可能性はある」


こいつの言う通り、あの執着は尋常や無い。…まるで、守ることが使命。でなければ生きていく意味なんてないかのように。


「矛盾してるよな」


人生を諦めとらへんのに、死んでもええと言うとる。俺は知りたい。このイチゆう少女を。

戸がノックされる。どうぞ、と声をかけると奴隷商の男が入室した。


「お待たせいたしました。出発の準備が整いました」


俺は笑みを浮かべた。いつもは作り物やけど、今日はちゃう。


「また来るのが楽しみです」

少女1「そんなぁ、買われちゃうだなんて…!!」

少女2「怖かったよぉ!!よくあいつと話せたね」

少女3「カリゴちゃんを助けた時の動き!凄かった!ビュンって感じで!どっかで習ってたの?」

少女4「それより名前『イチ』ちゃんって言うんだね!」

主人公(イチじゃないだけどなぁ…)


あ、謎の少年は美形です。

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