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傾国の悪女になんかなりません! ~蛮族令嬢クリスティナは予言された破滅フラグを【カンスト】パワーでへし折ります~【書籍化・コミカライズ企画進行中】  作者: 川崎悠
二章 アルフィナ領への旅

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38 薔薇売りの美女とヨナの勉強

 次の街に着いたら、商業ギルドの許可を得て薔薇を売る。

 シルバの盗賊団を突き出した報奨金とかがあるから、それなりに資金は残っているんだけど。

 でも、今は五人旅だからね。お金を稼げる時は稼いでおかなくちゃ。

 しかも薔薇は【天与】で生み出していて、元手がタダだからね! いい商売ってやつよ。


「今さらですけど、女神の怒りに触れませんかね」

「これも女神の思し召しよ!」

「そうですかねぇ……?」

「気になるんなら神殿に納めに行く?」

「悪くはない案ですね。もしくは修道院などに献花しに行くのもいいです」

「修道院ってこの近くにあるの?」

「……ここからだと北にある修道院が有名かな」

「そうなのね、カイル。有名なの? なんていう修道院?」

「マリルクイーナ修道院だね。とても厳しくて有名だ。入ったら二度と出られないそうだよ」

「うぇぇ」

「お嬢、はしたない」


 でもねぇ。修道院って、もちろん閉じ込めるための場所じゃあないんだけど。

 『入ったら二度と出られない』触れ込みはどうなの?

 今の私だったらそんな場所、壁をぶっ壊して〝脱獄〟まったなしね!


「なにかおかしなことを考えていませんか、お嬢?」

「考えていないわよ?」


 至極、当たり前のことしか考えていなかったわね!

 そのあとも五人で一緒に薔薇を売るためのお店を出店!

 色とりどりの薔薇を売るわ。


「……もっと特殊な薔薇を作れないかしら?」

「お嬢?」


 浄化薔薇は黄金に輝く薔薇だけど、あれは安売りしていいかあやしい。

 でも、あんなふうに薔薇を咲かせられるなら、もっといろいろとできそうじゃない?

 こうして売り物にするなら、もっと残る方がいいっていうか。


 飾りになると割り切って、こう……水晶の薔薇とかどう?

 植物なのに水晶。でも【天与】で生み出しているんだし、やれないことはない?

 自然界には絶対に咲くことのない薔薇よ。

 そういうのを作れたら、ほら。王都や神殿で【天与】を疑われても、そこに私がいなくても納得させられそうじゃない?


「ねぇ、リン? 私、いいこと考えたんだけど……」


 リンディスに今の提案をしようと思ったそのとき。


「おお、なんだぁ?」


 ダミ声を上げて男が私たちに迫ってきた。

 かなりガタイのいい大男ね。そいつがズンズン歩いて、こっちに来る。


「『花を売る』いい女がいると聞いてきたが、こいつはまた」


 男は一人じゃなくて連れに三人ほど連れてきている。

 でも、このガタイのいい大男がリーダーって感じね。全体的にチンピラって感じの連中よ。


「……お嬢様、後ろに」


 セシリアとリンディスが私を庇うように前に立つ。

 大男の視線は私に向けられているみたい。


「勘違いされては困る。僕らは正真正銘、ただの薔薇を売っているだけだよ」


 カイルが一番前に立って、売り物の薔薇を一輪、かざす。

 それだけで遠巻きに見ていたご婦人がたが感嘆の声を上げたわ。

 実は大人カイルって、かなり美形の男性なのよ。


「へっ、そういう『建前』なんだよね? 兄ちゃん」

「はぁ。違う。だから勘違いするなと言っている」


 あら、カイルの声、怒っているわ。

 でも静かに怒るタイプね。それでも効果はある。


「っ……! な、なんだよ! それが客に対する口の聞き方か⁉」


 大男がカイルにビビっているわねぇ。

 カイルは〝元〟王家の影家門の当主だものね。こういう時の迫力があるのかしら。


「せっかく『花』を買おうとしてやってんだろうが!」

「やれやれ。どこにでもこういう奴が湧く……」


 あ、カイルから剣呑な気配が漏れ出したわ。殺気ね!


「てめぇ! 売り子風情がなに言ってやがる!」

「その手を……」

「あ」


 大男がカイルの胸倉を掴んだ。

 リンディスが短く声を上げる。けど。


「──フンッ!」


 バギィッ!


「ほげぇあ⁉」


 リンディスが止めるより早く、私は大男の顔面をぶん殴ってやったわ!

 もちろん『怪力』の【天与】を纏った光る拳で!


「カイルに何するのよ! 失礼ね!」

「あああ、もう! 判断が早すぎますよ、お嬢!」

「……ノータイムでしたね。止める間がありませんでした」

「クリスティナ、僕に任せてくれていいのに」

「あは、はは……」

「フフン!」


 私は胸を張ってみせたわ!

 大男は通りの反対側までぶっ飛ばされているわね!



「私は皆の用心棒よ!」


 フフンと胸を張る私。


「お姉ちゃんがなんか言っているよ?」

「お嬢様が用心棒とすると、私たちは何の集団なのでしょうか? 私はメイドですが」

「僕はクリスティナの主治医だね、ふふ」

「ああ、もうめちゃくちゃですよ、お嬢……」


 愉快な仲間たちを連れて商業ギルドをあとにする。

 場所を使わせてもらった分、今回の売上から少しお金を納めてきたの。

 あとでゴネられないように大事なことらしいわ。

 あのあと、気絶した大男の連れが大男を引っ張っていって解決した。

 睨まれたり、捨て台詞を吐かれたりしたけどね!


「私が用心棒で、セシリアが私の侍女でメイドで、カイルが主治医で、リンディスが私の従者なんだから……」


 みんなを見回しながらピタリとヨナに目を止める。


「ヨナがご主人様かしら!」

「なんでそうなったの⁉」


 ヨナが元気よく声をあげる。

 うんうん、たくましくなってきたわね!


「人は役割を与えられた方が動きやすいものよ、ヨナ」

「おかしいよ? クリスティナお姉ちゃん!」

「まぁ、冗談はさておき」


 楽しいからその役割で過ごしてみるのもいいわねぇ。


「稼いだお金が生活費にばかり使われるのもどうかと思うのよ」

「では、ドレスの購入をされますか、お嬢様」

「いらないわよ、セシリア」


 絶対に今の状況で買うものじゃないわね!


「ヨナのための本を買おうかと思うの!」

「僕のための?」


 私はニッコリと笑顔を浮かべる。


「ヨナはまだまだ勉強しないといけないでしょう? まぁ、私も学園は卒業してないんだけど」


 ちなみに私、学園二年生だったので、卒業まであと一年以上ある。

 王妃教育で勉強する機会があったとはいえ、退学扱いだとけっこうな痛手よ。


 ……退学になっているかしらねぇ?

 でも、学園に通っていないことが理由なら、ルーナ様はどうなんだろう。

 魔獣災害が落ち着いてから改めて学園に通うことになるのかしら。

 その時には私の状況も少しは落ち着いているといいわねぇ。


「勉強……」

「ヨナを教育するのは私たちの役目ですからね。いい案だと思います、お嬢」

「でしょう?」

「で、でも、いいよ。そんなの、今は生活を考えた方が……」

「将来的な展望があってこその生活よ!」


 ヨナが成長していくことは、きっと私たちの希望になるわ! たぶん!


「ヨナ、お嬢にとっても、私にとっても、君が健やかに成長してくれるのはうれしいことだ。だから遠慮なく、あと、お嬢が言うことを聞かないから揉めるだけ時間の無駄です」

「ああ……」

「何よ!」


 リンディスが失礼なことを吹き込んでいるわね!

 あとヨナも何が『ああ……』なのかしら!


「ありがとう、クリスティナお姉ちゃん」

「いいのよ、でも、本を読むのが嫌だったら投げ出しなさい」

「何を言っているんですかね、お嬢は」

「子供に窮屈な勉強ばかりさせたくないわ!」


 同年代のお友達とかも作らせてあげたいわよね。

 私にだってフィオナがいたし、ヨナにもお友達がいてほしいわ。


「また、言い返しづらいことを。しかし、勉強は必要ですので」

「うん、わかっているよ、リンディスさん。僕、がんばるから」

「ヨナはいい子ですね」


 うんうん。私は大きく頷いたわ。

 それから街にある本屋により、予算と相談しつつ、ヨナのための本を買う。

 なんだかんだ言っていたけど、ヨナは嬉しそうにしていたわ。


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