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傾国の悪女になんかなりません! ~蛮族令嬢クリスティナは予言された破滅フラグを【カンスト】パワーでへし折ります~【書籍化・コミカライズ企画進行中】  作者: 川崎悠
二章 アルフィナ領への旅

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22 『予言』の【天与】で視る夢

 その日の夜。予言について話していたからか、私はまた夢を見た。

 それは『予言』の【天与】で視る光景。

 異なる世界に私は意識を浮遊させていた。


『お、可愛いお嬢ちゃん! これなんてどうだい!』

『わ! え、ええと? あの』


 視えたのはルーナ様とヨナだった。でもなんだろう。

 ヨナの雰囲気というか喋り方が違う?


『これ、が発明したんだぜ、すごいだろ! この世界にはないものだぜ!』


 そう言いながら商人? をしているヨナが何かをルーナ様に見せる。


『これは、いったいなんでしょうか?』

『これはなぁ、缶詰っていうんだ! って言いたいところだけどよー。瓶詰だな』

『ビンヅメ?』


 ルーナ様が首を傾げる。

 ヨナの喋り方に違和感があるし、なんか嫌ね!


「こいつを使えば、いろんなものが衛生的に長期保存できる! 画期的な発明品さ!」

『はぁ……』

『なんだけどよぉ。ただの平民、それも魔族とのハーフってんで誰も話を聞いてくれねぇのよ』

『それは大変ですね?』

『そこでお嬢ちゃんだ!』

『え、私?』

『お嬢ちゃん、王家に伝手がある、何だか偉い巫女さんなんだろ? 若いのにすげぇよな』

『……見た目からして貴方も若いようですが』

『そこはそれ、魔族のハーフだからな! 俺様の見た目は気にしなさんな!』


 完全にヨナがルーナ様に嫌な絡み方をしている光景にしか見えない。

 何かしら、これ。

 前に視たことのある予言は事件の解決に繋がったんだけど。

 今回のこれはなんの意味があるの?

 ヨナが別人にしか感じないけど……。

 もしかして、そのことが重要なの?


 あの邪教徒たちが企てたみたいにヨナが〝何か〟に身体を乗っ取られている光景?

 そんなのだめに決まっているわ!


 私がそう思った瞬間、予言の世界はヒビ割れ、砕け散った。

 砕け散る世界の向こうで、黒い板の前に座る聖女アマネの姿を視る。

 あれは以前も視た……きっと異界にあったという予言書を視ているアマネの姿。

 でも、その幻のアマネをぶん殴るのは無理だったわ。



 目を覚ました私は勢いよく起きあがる。


「お嬢?」


 馬車の中で寝ていた私が起きたことに、夜の番をしていたリンディスが驚く。


「リン、ヨナは?」

「ヨナはこちらで寝ていますが」

「何も起きていないわよね?」

「はい、何かあったのですか?」

「また『予言』を視たのよ。でも意味がわからないの」


 私はリンディスに予言の内容を話す。流石にリンディスも対処に困るみたい。


「ヨナが別人のようだった、ですか」

「現実にいるヨナとは完全に別人だったわね!」

「となると、やはりあの連中の企てが成立した可能性ということでしょうか」

「そうなると、やっぱり私の『予言』って未来を視ているんじゃなくて、ただの可能性を視ているのかしら」

「私にはどうにも評価できませんが、もしかすると」

「なぁに、リン」

「予言の光景の中で聖女アマネの姿を同時に視るのですよね? 『予言』の【天与】は聖女が異界で視たという予言書を『盗み見ている』のでは?」

「盗み見!」


 まさか! いえ、でもあり得るかも!

 だって、あの黒い板に映る光景こそが、おそらくアマネの予言の根拠なのよね?


 黒い板の表面にルーナ様やエルト、レヴァンたちの絵と一緒に、話す言葉が文字にされている謎の光景。彼らの顔の絵とともに『光の国の恋物語』と浮き上がることもある。


 あれは本でいうとタイトル? 目次? そういったもの?

 ルーナ様やレヴァンたちの人生、その可能性があの黒い板に映し出されるのかしら。


「予言ではなく『盗み見』の【天与】なんて。じゃあ、もっと他の光景を視たいわね! 実はイリス神はアマネの弱みを握るように私に仰せなのかもしれないわ」

「それだと女神なのにやることがセコいですね」


 まぁ、なんて不信心な。リンディスも言うようになったわね!


「とはいえ、何らかの啓示と受け止め、ヨナに気を配っておいた方がいいでしょう」

「ええ、そうしましょう。リンも気をつけてあげてね!」

「はい、もちろんです、お嬢」


 ふふ、実はリンディスもヨナを気にかけているの。仲良しね!


 目的地であるアルフィナ領では領主が逃げ出し、領民たちは近くの領へと避難しているという。

 私たちがアルフィナ領に着いたところで現地の助けは得られないの。

 支援がないから自分たちの生活資金も工面しないといけないのよ。

 これは、アルフィナに着く前にどうにか解決しておきたい問題ね。


「薔薇を売れるかしら?」

「売るんですか?」

「資金源が他にないもの。あとは冒険者ギルドのお仕事を受けることね!」

「お嬢がやりたいだけなんですよねぇ、それ」

「フフン!」


 私は胸を張る。

 いい考えじゃない?

 私たちがやるとしたら魔獣討伐の依頼よね!


「……危険なのですが、この先のことを考えると、いい経験になるかと思います」

「確かにそうね!」


 なにせアルフィナで起きるらしい魔獣大量発生を解決しなくちゃなんだもの!


「ですが、お嬢。貴方の安全こそが最優先であることは忘れないでください」

「ふふ、安心して、リン。私だって危なそうなら逃げるくらいするわ」

「本当にそうしていただけますと」


 なんて言っているそばから。


「きゃああ!」


 空気を切り裂くような悲鳴が聞こえたわ!

 そこまで遠くない場所! 道の先!


「リン! 後から来なさい!」

「あ、お嬢! 待ってください!」


 馬に乗っていた私は即座にその悲鳴のもとへ駆けていく。



 馬駆けし、視界に入ったのはどうやら盗賊に襲われているらしい商人の馬車!

 嵐に続いて魔獣被害も起きている王国は今、各地の治安が悪化しているのよね!


「そこまでよ! アンタたち!」

「ああん? 何だぁ?」


 四、五人いる盗賊連中が私に注意を向ける。

 動きが止まったその隙にサッと馬を降り、私は腕を組んで胸を張った。


「それ以上の狼藉、この私が許さないんだから!」

「誰だよ、てめぇは!」

「へへ、綺麗な女じゃねぇか、とっ捕まえて売ってやるぜ」

「おい待て、この女、剣を差してるぜ。護衛の騎士崩れじゃねぇのか」

「関係ねぇ! たかが女一人だ! ついでにやっちまえ!」


 絵に描いたような危ない連中ね!

 その言動、恥ずかしくないのかしら!

 襲われていた商人たちを見る。今はまだ無事のようね。

 私が商人に視線を向けたのを察した男の一人が、おそらく人質にしようと凶器を向ける。

 人質になんてさせないわよ!


「『毒薔薇』の【天与】! 口を塞いで、巻きつきなさい!」


 カッ! と光と共に咲き誇る薔薇。

 伸びていき、盗賊連中の身体に絡まる蔓。


「なっ、ぎゃあ! 痛ぇえ!」

「何だこれ! ぎゃあああ! もが!」


 【天与】で生み出した薔薇の蔓が、あっという間に盗賊たちを拘束し、口を塞いでいく。

 棘つき薔薇での拘束と猿轡よ。さらに油断なく仕留めるわ!


「一人ずつ飛んできなさい!」

「もがっ!」


 連中を拘束している薔薇の蔓がうねり、その身体を私に向かって放り投げた。

 拘束されたまま、見開かれた目と私の目が合う。

 私は優雅にニコリと笑ってあげたわ。そして。


「フンッ!」

 ドゴォッ!

「ぎゃぶ!」


 全員、容赦なく『怪力』の【天与】でぶん殴って気絶させてやったのよ!


「わぁ、すごい、クリスティナお姉ちゃん!」

「フフン! もっと褒めるのよ、ヨナ!」


 ヨナがパチパチと拍手して私を褒める。

 私は胸を張ったわ!

 盗賊連中は意識を奪ったうえ、薔薇の蔓で改めて拘束済みよ。


「ヨナは、お嬢みたいに育ってはいけませんからね」

「え、うん……。お姉ちゃんみたいになるのは無理だと思うけど」


 どうして私がヨナの反面教師みたいな扱いなのかしら! 失礼ね!


「大丈夫だった? 貴方たち」


 私は襲われていた商人たちに声をかける。

 あっという間だったから何が起きたのか理解が追いついていないみたい。


「え、あ……ありがとうございます!」

「当然のことをしたまでよ!」


 今はホント、治安が悪くなっているからね! 気をつけてほしいわ!

 私たちは、こうやって人を助けながら西へ向かっているのよ! フフン!


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