第三章 ②
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「それでは、今回の役割分担について、認識合わせをしよう」
メラスにそう言われ、俺とクゥニは頷いた。俺たちは今、眼前の『集落』、煙で建物が見えなくなっているそれへ入る前の、最終確認を行っている。
「いつものように、私が流れの吸血鬼として、『管理者』との調整役となる。クゥニさんは、私の付き人。ラスカは、私があの『集落』へ入るための献上品、という設定だ」
その言葉に、俺は頷いた。
「俺の役割は、クゥニと二人で行動してたときと変わらずだな。俺が『牧場』に入っている間に、メラスとクゥニは、俺の仇の情報収集と、逃走経路の確保だ」
逃げ出す時は力技で押し通してもいいのだが、それだとまた俺が負傷する可能性が高まる。メラスという戦力が増えてから、安全に『集落』を脱出するための経路の確保も行うことにしていた。
俺の言葉に、クゥニも続く。
「……私は、ラスカとメラスの連絡係として、『居住区』と『牧場』を行き来する。ここから逃げるか、ここを潰すか、それはラスカが決める。でも、緊急時には、問答無用でラスカを連れ出し、この『集落』を脱出する」
「役割分担については、問題なさそうですね。後は出たとこ勝負ですが、少なくとも、ラスカは先に『牧場』へ入れられるでしょう」
「そこからは、別行動するしかないな。二人とも、頼んだぞ」
「任せてください」
「……ラスカ、気をつけて」
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