表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Smolder Blood, Sweet Smell それらは全て、復讐のために  作者: メグリくくる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/30

第二章 ③

 翌朝。鳥の囀りが一段落したのを見計らったように、また網籠を持ってメラスが森の中から現れる。彼は手にした網籠と、昨日自分の置いていった網籠を交換した。そして、昨日置いていった籠の中を見て、苦笑いを浮かべる。

「何だい? ちゃんと食べていないじゃないか? 薬も使っていないみたいだし、それでは治るものも治りが遅くなるぞ」

 そう言うとメラスは自分の善意を証明するように、全ての麺麭を一つずつ千切っては食べ、千切っては食べていく。毒など何も入っていないと、自らの口で証明しているようだ。

「それから、これももう捨てておこう。森を汚されるのは、ここに住む私として見過ごせないからね」

 そう言って、彼は昨日俺が巻いていた血の付いた包帯も回収する。そしてこんな捨て台詞を残して、またメラスは森の中へと帰っていった。

「それじゃあ、また明日、同じ時間に来るよ」

 クゥニが新たに置かれた網籠を、俺の方に持ってくる。一緒に中を見ると、今度は鍋に、包帯、薬、そして、男女の着替えが一式入っていた。鍋の中は、野菜と鹿の肉を煮込んだ汁物が入っている。香ばしさの中に甘みを感じる不思議な匂いに、俺の胃袋が鳴った。無表情のクゥニが、俺の顔を一瞥する。

「……毒味、しましょうか?」

「いや、その必要はないから! 食べれないだろ、吸血鬼が作ったものなんて……」

「……薬、今回は、どうしましょう?」

「それこそ、食べ物と違って何が入ってるのか、調べようがないだろ。使えないよ」

「……服は、どうします?」

「それは、包帯と同じように、調べるか……」

 そう言いながらも、俺は、いや、きっとクゥニも、ある予感がしていたに違いない。そう遠くない未来に、俺たちはメラスの好意を、感受する日が来ることを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ