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世界を壊したいほど君を愛してる  作者: 音無砂月


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18.偽聖女

side .ファナーディア


「お父様」

「ファナーディア、謹慎を命じたはずだが。今回の件で、公爵側から色々と要求されているのだ。その要求に応えればお前に関しては謹慎処分で済ませると公爵側は言っている。だから謹慎中の間は大人しくしてはおけんのか」

そんなの退ければいいのに。

公爵は確かに貴族の中では最高位になるけど、でも所詮は貴族の中の話。

国のトップは私たち王族なのだから。顔色をうかがう必要なんてないじゃない。

そんなんだから馬鹿な貴族がつけあがるのよ。

この国で特別なのは王族だけ。平民も貴族も王族のために存在する。王族の手足となって動けばいいだけのただの駒。こちらが駒の要望を聞く必要なんてどこにもない。

ましてや平民以下のスラムの雑種なら尚更。

「お父様、朗報です」

あの身の程知らずの雑種を元の位置に戻すための物が完成した。だから今の私はとても機嫌が良い。だから、お父様の小言にも怒らずにいてあげる。

「遂に完成しました。これで我が国はあの汚らしい雑種を使う必要も、聖女なんてくだらない存在を祭り上げる必要もありません」

私が掲げた赤い石のペンダントを父は食い入るように見つめる。

「効果は?それは本物と遜色ないのか?」

「はい。実戦ではまだ使っていませんが、実験では何の問題もありませんでした。これを使って私が聖女の役割を果たせば私たちがいかに特別な存在なのか国民や臣下たちは思い知ることでしょう。それに各国との交渉もより有利に進めることができます」

これでエーベルハルトも目が覚めるはず。

私を無視してあんなスラムの雑種を優先したことを後悔して、許しを乞うてくるはず。

そもそも下等生物ごときが聖女なんて肩書きを与えられるのがおかしいのよ。

「さすがは我が娘。お前のような聡明な娘を持てて私は幸せだ」

「とんでもありませんわ、お父様。あの薄汚い偽聖女はどうなさいますか?」

魔物が蔓延る森に捨てる?生きたまま魔物に食われるとか笑える。私のエーベルハルトをとるからよ。生まれが貧しいと直ぐに人の物を盗もうとするんだから。手癖が悪すぎでしょ。

それとも聖女を騙った罪で処刑する?

「何か使い道があるかもしれん。それにお前が作ったそれに不都合が生じた場合の保険として生かしておく」

「は?」

冗談でしょう。私、あの雑種が生きているだけでも虫唾が走るのに。

「死んだことにして地下牢にでも幽閉しよう」

冗談じゃない、冗談じゃない、冗談じゃない。

いくら地下牢でも同じ屋根の下にあの雑種がいるなんて耐えられない。

お父様は何を考えているの。何のために私が駒に聖女の力を研究させたと思っているのよ。

聖女は二人もいらない。

私こそが真の聖女よ。いいわ、お父様ができないのなら娘の私がしてあげる。

王族として偽聖女の排除は当然の義務よ。

薄汚いスラムの雑種が私たち王族を欺いた罪は重たいわ。

森に捨てて生きたまま魔物に食われてしまえばいい。その姿を見れないのは残念だけどスラムの雑種には相応しい最期よね。

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