04 女ドワーフの拳
「きゃぁぁぁ!! 落ちてるぅぅぅ!! あぐぅ!!」
大地が崩壊し球体の中で騒ぐ私。鉄の床に着地し球体の中で体をあちこちぶつけるけど痛みはなく魔力に変換していく。
「うぅ、痛くない…助かった…って、ここ地下?」
寝床にしていた建物のちょうど下にまるでロボアニメの格納庫のような施設があった。
鉄の床や壁、蛍光灯のような灯があった。
建物の地下にこんなのがあったんだ~と感心してたら、球体になって私を守っていたギンが変形する。
「あぁ、ありがとうギン…ギン?」
大きな手の平の形をして私の方をつかみどこかに連れていく。
つかまれたまま奥に進むと、さび付いた鉄の塊があった。
「えっと、これ…もしかして魔装? これを見せたかったの? でも、これ動くのかな?」
錆と皹だらけの西洋の鎧を見せて私に何をさせたかったのかな?
言葉を発することのない金属の相棒は、今にも壊れそうな魔装に触れて融合した…って、えぇ? しかも、私の持っていた「解析の眼鏡」(アナライズグラス)と古い冊子を持っていかれた。
「ぎ、ギンなにして…」
私の言葉は続かなかった。突然、殴られて鉄の壁に激突した。
「てめぇかぁ!! アタシのゴーレムを破壊しやがった野郎わぁ!!」
地上でエルフの男の人といた女ドワーフ…確か、アイアンが額に血管を浮かべ目を充血させて私を睨んだ。正直、ものすごく怖い。
「うらぁぁぁ!! くたばりやがれぇぇぇ!!」
逃げる暇もなくアイアンの拳の乱打が私の体にめり込む。
サンドバックにされ背後の鉄の壁にどんどん私の体がめり込んでいく。
「うらぁ!!うらぁ!!うらぁ!!うらぁ!!!!! うりゃぁぁぁ!!」
私の放った魔法のせいで破壊されたドワーフはよほど思い入れがあったのか、かなり怒っていた。彼女の拳が30、40…と乱打の嵐により私の中にどんどん魔力が貯まっていく。
痛みの加護が無かったらぺちゃんこになってたんだな。と思った。
「はぁ、はぁ…どうだぁ、くたばったか…クソ野郎…」
息を荒げ勝ち誇った顔をするアイアン。そんな彼女に向け私は。
「あの、生きてます…後、私女なので野郎じゃないですよ…?」
「はぁっ!?」
乱打を受けて傷一つもない私を見てアイアンは驚きの声を上げた。
「この野郎!!」と私の頭を両手でつかむ。頭を潰そうと力を入れ、私の胴体程もある腕に血管が浮き出る。けど、どれだけ力を入れても骨や脳みそは潰れず痛みはない。
「ぐぉぉぉぉ!! なんで、潰れねぇんだよぉお前はぁ!? アタシの拳は、ドラゴンの頭も粉砕できんのにさぁぁぁぁ!!!!!!」
何が何でも私を殺そうと額から汗を大量に流し力を入れ続けるアイアン。
へぇ~このドラゴンってこの世界にいるんだ。と殺されかけているはずなのに、私は冷静だった。
前世で殺されたり、一週間も無人島で魔法の練習やら魔力を貯めるために毒を口にしたりして、いろんな価値観が変わったみたい。
「えっと…パラライズボルト」
「ぐぇ!!」
黄色い球体をアイアンに向け放った。今放ったのは基本的な電気魔法で、対象を感電させ麻痺にしてくれる。ここ一種間、冊子にあった魔法を練習しといて良かった~。
パラライズボルトを受けアイアンは私を放し、数砲後ろに下がって膝をついた。
「ぐ、そぉ…な、なんでアタシが、そんなしょぼい、魔法ごときで、動けなくなる、んだ…」
膝を付き睨んでくる。しょぼいと言われても…さっき貴女の拳の嵐の中でできた魔力を多めに込めたからです。基本的で弱い攻撃でもどうやら、魔力を大量に込めれば強力になるらしい。うん、いいことを知った♪
火属性の基本的なファイヤボールに莫大な魔法を込めて使えば、相手は油断してくれる。
基本的な魔法と油断させ、実は隕石並みの威力を持ち敵は気づかぬ間に死ぬ。
…いや、さすがに殺人は嫌だな…せめて、さっきみたいに動けなくする程度にしよう。
「くそぉ!! 動けねぇ…」
「それはそうでしょう。先ほどの魔法は、膨大な魔力が込められていたのですから。」
頭上から声がした。顔を上げる前に私の足元に魔法陣が浮かびあがって、鎖が飛び出て拘束されてしまった。