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第六話

お菓子作りにピクニック、夕食に風呂等を済ませ自室に戻る。

お菓子作りでは両親とルーチェとアルバと俺の五人でクッキーを作った。

その際にルーチェがクシャミをして粉を周囲に吹き飛ばしたり父がクッキーを焦がしたりしてアルバと母に慰められていた。

ピクニックでは今まででは想像も出来ない程にほのぼのとしていて温かな家族の時間を過ごせた。

夕食も家族揃って同じものを食べ、会話も弾み絵に描いたような家族の幸せな時間だったと思う。

「さて、これからの事をまとめようか」

家族の形を取り戻せた。

家族間での溝も塞がり、もうゲームの様な悲劇も起きないだろう。

……………だからと言ってまだ油断は出来ない。

アルバの闇落ち要素はまだ残っているし、ルーチェが攻略対象と出会いフラグを立てる要素も残っている。

実際にゲームをしたことは無いが、ゲームの知識は前世の妹から見せられたスチルや教えられた大まかなそれぞれのストーリー内容を覚えている。

記憶の鮮明な内にノートに書き出して置かなければ。

「まずは攻略対象キャラの情報からだな」

このゲームの攻略対象は五人いる。

攻略対象一人目

舞台であるこの国の王太子、オスカー・バージル。

金髪蒼眼の如何にも王子ですと言いたげなルックスを持つ青年だ。

幼い頃に出会ったヒロインに恋をして、彼女に相応しい男になろうと努力た。

そして学園に入学して早々にヒロインを見付け猛アタック。

イケメンで優しく憧れの的である王太子。

そんな彼が自分の前ではちょっぴりドジっ子で何だか放って置けなくなり、何かと世話をやくヒロイン。

だが王太子として動く時やヒロインを護る際にはキリリとした姿を見せる。

そんな彼にヒロインは段々と惹かれていく。

攻略対象二人目

獣人族の時期長である狼人間のエイダン・アドルファス。

赤髪隻眼の狼の獣人でありながら、より強くなるために魔法学園に入学する。

そして国としては珍しい事ではないが狼の獣人で時期長という立場の為か学園に馴染めない。

そんな彼に手を差し出し物怖じせず話し掛けたのがヒロインだ。

初めは何を話し掛けても無視されていたが、ある日ヒロインが最早日課となったお菓子を届けようとした際に同級生に絡まれ、折角作った菓子を奪われてしまう。

それに涙するヒロインに怒りをあらわにした彼が現れ同級生等を蹴散らし取り戻してくれた。

ヒロインはそんな彼の不器用ながらも優しい姿に惹かれていく。

攻略対三人目。

王太子直属の部下であり若くして護衛長を務めるノア・チェイス。

銀髪__糸目の為瞳の色が何かは分からない__の彼は剣士としてその名を知らぬ者が誰一人としていない程に剣の才能を持っている。

学園内では常に王太子の側にいる、わけではない。

神出鬼没な彼はよくヒロインの危機を救ってくれるが名前も何も明かさなかった。

その名を初めて明かしたのは学園で行われる仮装を用いたダンスパーティーだった。

ドレスを隠されたヒロインを見付け事情を聞いた彼は、すぐさまドレスを準備させ会場までヒロインをエスコートする。

自分の危機に颯爽と現れ優しい言葉をかけ支えてくれる彼にヒロインは段々と惹かれていく。

攻略対象四人目。

魔法学園で歴代最高の魔法使いだと囁かれるシリル・ギャレット。

茶髪に褐色の瞳を持つ彼は、様々な魔法道具を発明し国を発展させていた。

学園の授業に出ることはないが在籍はしており、誰もが噂の魔法使いに会おうとするが誰一人として見付けられなかった。

そんな中ヒロインは偶然彼と出会い、彼が何者かを知らぬまま友人として親しくなる。

自身の悩みを真剣に聞いて力になってくれる背中を押してくれる彼に段々とヒロインは惹かれていく。

そして最後、攻略対象五人目。

元々悪役の唯一無二の友だったカイル・ダミアン。

黒髪黒目の彼は悪役と共に行動しておりヒロインの監視を行っていた。

彼にとって悪役が絶対の存在だった。

ある日、ヒロインが授業の一環で海水浴を楽しんでいると魔獣に襲われた。

ヒロインの監視を言い渡されていただけで助けることは命令されていない彼は動けなかった。

が、そこで初めて命令以外の行動を行いヒロインを助けた。

悪役を止めたいと願う彼の優しさに触れヒロインは彼を支え共に悪役を止めようと行動を共にする。

様々な困難を共に乗り越えていく中、ヒロインはそんな彼に段々と惹かれていく。

何人かあやふやだが、大体がそんな感じでヒロインと関わっていた。

そこまで深く聴いてない為、詳しいとは言えないが全く知らないよりはマシだろう。

これだけを聞けば只の愛され系の乙女ゲームだろう。

実際俺も最初はそう思っていたさ。

………だがな?ヒロインへの配慮が!足りてなかったんだよッ!!

特に人気キャラだった王太子!

入学した学園でヒロインに猛アタックの仕方がなってない!

・ヒロインを見付ければ自分が周囲の目を嫌でも集めるという事実を忘れ大声で名前を呼ぶ。

・ヒロインの事を本人の了承も無しに婚約者として周囲に知らせる。

・ヒロインに近付く者に牽制する

お解り頂けただろうか?

ゲームならもしかしたらキュンとするかもしれないが__実際スチルは綺麗だった__余りにも!配慮が!足りてないと思いませんかっ?!

そのせいでヒロインは他の令嬢や貴族達から陰湿な苛めを受け、その度に王太子や他の攻略キャラが助けに入っていた。

攻略対象者達の最終ルートは共通していて、ヒロインとの正式な……ルートによって違うので婚約者だったり恋人だったり主人?だったりと色々あるが、兎に角大勢が集まるパーティーで発表すると同時に国と神の愛娘であるヒロインを危険に晒した主犯である悪役を断罪し、その罪を告発する。

それを知らされてなかったヒロインは自身の弟である彼を護ることも側に行くことも許されず、ただ静かに涙を流す事しか出来なかった。

そして心に一生消えることのない傷を抱えながらエンドを迎える。

弟でありこのゲームの悪役だったアルバは最後まで誰にも愛されず救われず何もかも奪われたまま残りの人生さえも奪われる。

救われるけど救われない物語だ。

そんな奴に大切な妹を任せられるか?任せられるわけないよなぁ?!

大切な弟の事を悪だと決めつけその背後を知ろうともしなかった奴等に任せられるかっ?!

………攻略対象の中では何人かは悪役であるアルバを理解しようと途中まではしていたんだ。

だが、これは乙女ゲームなのだ。愛に溺れ恋に振り回される。

ヒロインが作中に大怪我を追ってしまってからは、憐れむばかりで理解しようとしてきた彼等は動かなかった。

そして悪役が最後に辿る道筋は、どれも他と変わり無かった。

だから俺はこれから魔法を学び剣を学ぶ。

力を付けヒロインのルーチェも悪役のアルバも、必ず救って本当のハッピーエンドを迎えさせる。

俺はそれがルイーナ・ファウストとして転生した意味だと思っている。

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