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第五十九話

 それぞれの場所に分かれ子供の捜索を開始した。

ルイーナは森の周辺にある洞窟をセルペンテの部下達と共に探していた。

「ここらの洞窟は確認できているだけで何箇所ありますか」

「はっ!確認されているだけで三十箇所は存在しています」

「そう……、ありがとう」

 洞窟はそのどれもが奥深い。

その為、その全てを捜索すれば一日では確実に終わらないのは明白だ。

洞窟内はその殆どが暗闇に閉ざされ光源が無い。

天然のヒカリゴケは存在はしているが、その光源だけでは視界から確認できる危険も認知できないだろう。

「………ここの人数は?」

「十六名です」

「なら二人一組で洞窟を捜索して下さい」

「スペランツァ様はどうなさるおつもりですか」

「俺は一人で捜索します。

何かあれば屋敷にいるカングに連絡をして下さい」

「……分かりました。お気を付けて」

 ルイーナの言葉にセルペンテの部下はその指示に頷くまで若干の渋りを見せた。

二人一組というのには明確な理由がある。

二人一組であれば片方が危険に陥った際に片方が助けやすいと言うメリットがある。

それに、もしも互いに危機的状況になっても、互いに協力すれば助かる可能性は一人の時よりも上がるからだ。

 ルイーナの指示は指揮する者としては部下の事も考慮しており、指示としては的確だと言えるだろう。

だが、その指示の中に自身の安全等を考慮していない事にセルペンテの部下はすぐには頷く事が出来なかったのだ。

 だが自身の上司であるセルペンテの部下である彼等はその上司が敬愛するルイーナの実力の実力から、心配はしつつも、自分達がいることで余計な危険を冒させるよりはと頷いたのだ。

「では各組で子供の捜索を開始して下さい。

何かしらの傷を負った場合は治療を怠らず処置して下さい。

命大事に子供の捜索をお願いします」

 その言葉に一斉にセルペンテの部下達は森の中へと姿を消した。

まるで忍者の様に俊敏な動きに一瞬目を見張ったルイーナだったが、セルペンテの部下だしなと納得し自身も子供を捜索するために薄暗く不気味な森の中へと入っていった。




 森の中は草木が生い茂り、道なんてものは勿論存在せず目的の洞窟へ向かうには自身の手で掻き分けるしかなかった。

魔法で道を作ることも可能ではあるが、魔法を使った場合使用者不明の魔法を扱う者に感知さた場合何が起こるか分からない。

そのため、余り迂闊に魔法を行使できないでいた。

「洞窟は………何処だ?」

 進んでも進んでも目に見える光景は何も変わらない。

ただ生い茂る草を掻き分ける音と土を踏みしめる音が聞こえるだけ。

稀に森の中に住まう何かしらの動物の鳴き声などは聴こえてくるが、ただ単に不気味でしかなかった。

「あれ、か……?」

数十分程歩き続けていると、進む先に洞窟らしき物が見えてきた。

「不気味〜〜」

不気味というより禍々しいという方がしっくり来るだろう。

その洞窟は周囲の草木が枯れ果てており、チラホラと何かしらの動物の骨が無数に転がり綺麗に並べられているものもあれば、小さな山のようになっている物もあった。

「スーーーッ………、行くかぁ」

 予め持ってきていたランタンに火を灯し、周囲を警戒しながらルイーナはゆっくりと洞窟内へと足を踏み入れた。

湿気のせいか湿った空気が流れ、外の気温よりも温度が低い内部は天井から水滴が滴り落ちている。

肌寒さにブルリと背筋を震わせつつ、ルイーナは一つの見落としも無いようにと周囲の散策を行いながら奥へと進んでいった。

……………だが、進めど進めど一向に何処にもたどり着かない。

それどころか、まるで同じところをグルグルと回っているような気さえもしてきた。

「どんなに進んでも、戻ろうとしたらすぐ戻れるのに先に進もうとすれば同じとこを回ってないか?」

 一度感じた違和感は、それを認識した途端に色濃く鮮明に不可解なものが見えてくる。

来た道を引き返し、洞窟の外に出たルイーナは落ちていた小石を拾い再度洞窟の内部へと入っていった。

そして先に進んでいく度に拾っていた小石を落としながら進んでいく。

「やっぱり回ってるな」

洞窟内を進み続けていれば、背後に点々と置いていた小石がルイーナの進む先に転がっていた。

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