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第五十二話

「間者を招き入れた貴族を捉えろねぇ………。

随分と簡単に言ってくれるなぁ」

「今は怪しい貴族を重点的に捜査を行っていますが……」

「何か問題でも?」

「その………」

「叩けば叩くほど埃が出るように、別件の事案がわんさか出るからこっちの仕事が増えてってるんだよ」

歯切れ悪く言い淀むロベルトにルイーナが首を傾げれば、ロベルトの言葉を引き継ぐようにしてジュラルドが肩を竦めながらそう話した。

「陛下からの依頼が最優先なのは分かってるけど出てきた埃をそのままには出来ないから、セルペンテ達の方に情報を回して対処はしてもらってるけど………正直に言ってキリがないんだよ〜」

領地の不法な取締や税金、挙句の果てには人身売買や賭博にも関わる貴族が多くいるのだとテーブルに上体を預け唸るジュラルドに何度も頷くロベルト。

そしてその報告を聞いていたルイーナ自身も頭を抱え唸っていた。

「何でこう……貴族って悪い事に手を染める奴が多いのかなぁ」

貪欲に地位を望んだから。

貪欲に金を得ることだけを望んだから。

貪欲に、自身の欲だけを優先しているから。

自分は何をしても許される。

自分は奪う者であり強者。自分よりも地位も金も名誉も何もかも劣る弱者は自分の様な強者にただ奪われるだけの、その程度の価値しかない家畜も同然の存在。

そう見下しているのが見え見えの貴族が、ルイーナもジュラルドもロベルトも嫌いだった。

嫌悪感とゾッとする気色悪さを感じさせるナニかでしかなかった。

見るのも嫌で、連中の放つネチョットしたうっ……!とる言葉も欲に溺れた者特有の目で見られるのも、こちらに触れようとしてくる汗まみれでベタつく手も、その存在自体が嫌で仕方がなかった。

そんな事を思い出したせいか、三人共背筋をブルリと震わせた後に落ち着くために紅茶を一口。

「思い出しただけで寒気がするよぉ〜。

仕方なく護衛をした時も気持ち悪かったもん」

団長という役職のせいか護衛騎士と言う役職のせいかは未だに分かっていないが、ジュラルドはその手の連中にすり寄られることが多かった。

「確かに……。

余り大きな声では言えませんが………気持ち悪かったです。息も臭いし衣服にゴミが付いただけでも喚き立てて。

護られる事を当たり前と思い込み、いつ崩れるかも分からない座で踏ん反り返るしか能の無い連中。

二度とやりたくないです」

護衛騎士団は王国内では一二を争う剣や魔法の使い手が集う団。

そして体力気力共に優れた精鋭とも呼べる者達で構成されているのだから、彼等を招き入れられれば更に自身の力を周囲に見える形で知らしめる事が出来る。

「普段悪口と言うか、人を悪し様に言わないロベルトにそこまで言わしめるとは………」

テーブルに上体を身体を預けてはと、一種の感動さえ覚えながら手を伸ばし二人の頭を軽く撫でたルイーナ。

「あっ……、一気に解決できるかもしれない」

「何か名案が?」

「父様が次期当主を大々的に伝える為のパーティに、怪しい動きをする貴族連中を招き入れ一網打尽にすればいい。

折角の弟の晴れ舞台を汚すなんてことはしたくないから、処理は裏でこっそりとだけどね」

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