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第二十二話 予定外の第二フラグ

土日は更新お休みです。

「本日はお招き頂きありがとうございます」

「何時もアルバと仲良くしてくれてありがとう。

今日は楽しんで行ってね」

アルバがお茶会を開きたいと言った数日後、それは開かれた。

友人が来るまでは内緒だと愛らしく口元に指を当てはにかんでいたアルバが今だけは恨めしい。

……恨めしく思ってしまっても可愛くて愛くるしいのは変わりないのだから狡い。

「苦手なものはある?」

「いえ、大丈夫です」

「良かった」

誰か普通に会話できる俺を褒めてほしい。

黒髪黒目の何を考えているのか全く読めないアルバと同い年の少年に遠くを見てしまった俺は悪くないと思う。

カイル・ダミアン

ゲームの攻略対象であり闇落ちしたアルバと共にいたキャラクターだ。

幼いながらもミステリアスで何処か影のある雰囲気を醸し出す美少年君だ。

成長したら儚げな美青年へと変わるのだから神様も理不尽だ。

天気も良く穏やかな風が流れてきた。

温かな日差しは心地よく眠気を呼び起こさせる。

「美味しいね!」

「お兄様が作ってくれたの。とっても美味しいでしょう?

最近は私もお兄様に教わってお菓子作りをしているの」

「わぁ!とっても羨ましいわ!」

「なら、今度兄様と姉様もカイルも皆でお菓子作りをしませんか?」

「教えられるほど上手くないんだけどなぁ……」

そのキラキラがお兄さんには眩しいよ。

………お兄さんっていう歳でもないよな。精神年齢的には。

「子供って元気ですよね〜」

「……相方さんは?」

「周辺の見回り〜」

「貴方は?」

「お菓子食べてます」

「せめてそこは護衛って言いましょうよ…」

椅子に座ってる俺の肩辺りから伸びてきた手が俺に取り分けられていた皿の上からクッキーを取っていく。

音もなく気配もなく現れる彼にはもう慣れつつある今日この頃。

魔法って便利ね。

こんなに近くにいて話しているのに誰も気にした様子はない。

「何かありました?」

「なんにも。強いて言うならチョコクッキーが食べたいな〜」

「夜までに作っておきますね」

「わ〜い」

安定ののびのび具合だな。

そして凄い食べるじゃん俺のクッキー。

段々と減っていくクッキー。

そしてこれまたいつ来ていたのかは分からないが、食べられた分のクッキーが見回りから帰ってきた騎士さんの手で追加されていく。

無限ループと言うかそういう機関になってない?

ちょっと見てて楽しい。

「でも見られてますね〜。あの歳でこれを見破れるって優秀〜」

「なのに食べる手を休めないのは流石ですね」

アルバやルーチェ、ルナ嬢の三人は楽しそうに話しているが彼だけが静かにこちらを見ている。

クッキー片手に手を振れば小さく会釈されているから見えていることは確実だ。

正直今の彼はルーチェと会話らしい会話はしてないし、彼の場合はフラグが立つのはまだ先みたいだな。

それにアルバが闇落ちしなければフラグは立たないだろうから、余り気にしなくても良さそうだ。

だけど………気になるなぁ。彼。

あの手の目は前世で何度か見たことがある。

生きていることに疑問を感じて周りに興味が沸かない人特有の目だ。

辛いことが起こったか全てを諦めて絶望した人の目にも近いかもしれない。

カイル・ダミアンの過去エピソードを俺は知らない。

知っているのはアルバが闇落ちしたらアルバの側に彼がいることくらい。

「あ、そうだカイル。この前言ってた本があるんだけど読む?」

「………うん」

「兄様読み終わったって言ってたよね?」

「あの本か。部屋にあるから持ってくるよ」

「あ、…………俺もついて行っていいですか……」

「いいよ、一緒に行こうか」

そう言って席を立てば彼も席を立つ。

騎士さん達は手を振って送り出してくれてるから三人の警護をしてくれるらしいから、余り時間は無いだろうが彼と話す良い機会だ。

……………良い機会だと、思ってたんだけどなぁ。

「(気まずっっっっ!?)」

無言。ひたすらに無言。

靴音しか響かない廊下をただひたすら歩く。

いや、話し掛けたいんだよ?話し掛けたいんだけど話し掛けられないの分かる?!

ヌググググ……と内心歯噛みしていると部屋についてしまった。

「じゃあ今から取ってくる……入る?」

「………失礼します」

待っててと言おうとしたが無言で見上げられてしまえば入る?と聞く他無かった。

彼には部屋の椅子にでも座っててもらって、本棚から借りていた本を探す。

この部屋は本がありすぎて何処にどの本を置いたか分からなくなるんだよなぁ。

片付けが苦手なのは今も昔も変わらないなぁ……。

「あの……」

「ワオ、どうしたの?」

話し掛けられるとは思っていなかったから驚いた。

服の裾を何度か控えめに引かれ、振り向けばすぐ真下に彼の姿があった。

「聴きたいことが、あって……」

「うん。なぁに?」

しゃがんで目線を合わせれば、彼は「あの」だったり「その」だったりと言葉を探している。

彼の言葉が決まるまで急かさずに待つ。

「失礼なことだって、分かってる…けど、どうしても、聴きたくて………」

「大丈夫。怒らないから言ってごらん?」

「あの、どうして……どうして二人を好きでいられるんですか………?」

「え……」

「だって……その……似てない、のに……」

言ってしまったと、それを言った本人が一番苦しそうだった。

それで納得した。

彼がどうしてあんな目をしていたのかの理由の一端が分かった気がした。

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