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第百二十五話

 この世界には魔法という、前世では考えられなかったような摩訶不思議な力が存在する。

前世では防犯システムであれば赤外線センサーや動きを感知するものにサーモグラフィー、他にも監視カメラや徹底した警備などで安全が確保されていた。

他にもハッカーに侵入されたとしても自動で撃退するか即座に経路を閉じ、それ以上の侵入を拒むシステムが配備されていたり、何かしらの異常を感知した際には、すぐさまそれらの専門関係団体に連絡がいくようなシステムが搭載されていた。

 魔法が使えない代わりに、人は自身の持ちうる知識をフル活用してより生きやすい世界を生きていた。

 だがこの世界にはそれらのシステム的なものは存在しない。

その代わりに魔法という力が存在する。

それは誰にでも扱うことが出来ると同時に、危険なものでもある。

そして意図も簡単に人に害を与えることが出来るのだ。

 誰しもがその手に銃を持ち簡単に人の命を奪える状態にあると言えるだろう。

小さな子供から老人までもが魔法を使えば何でも出来るのだ。

 この世界は科学よりも魔法で全てが成立している。

多少の科学分野がこの世界にあっても、俺自身が前世にあったそれらのシステムを作れるかと言われれば答えは否だ。

その手の機械に詳しいわけでもないし、何十年やそれ以上の長い年月を掛けて作り出されたものを素人が作れるわけが無い。

唯一助かった点としては、それらに似たものを魔法で再現できることだろうか。

「…………確かに、今思えば何故疑問に思わなかったのか不思議だ」

「慣れというものは恐ろしいと痛感しましたな」

 ジュラルドとロベルトと王太子が学園に入学することを他国の者が知っていた件について話した後、ルイーナの姿はアルブスの学園長室にあった。

「だが今更情報を操作することは出来ん」

「それに関してなのですが、この学園内だけであれば気休めかもしれませんが対処が可能かと」

「ほう、してその案とは?」

「はい。この学園を覆うように展開されている魔法の上から更に別の魔法を重ねるのです」

 学園長室には学園長は勿論、魔法アイテム越しではあるが国王の姿があった。

それぞれ対となる鏡に魔力を流せばその相手と会話が出来るアイテムだ。

前世で言うところのビデオ通話のような物だ。

「別の魔法?」

「はい。人の体温を感知する魔法と、この学園内に侵入した者を検知そして監視する魔法です」

「そんな魔法があるのか?」

「古代の物を扱いやすくしたものですので、何日間か実験期間が必要ですが。

それが上手くいけばより学園内の警備が厳重となり、生徒及び王太子殿下の安全にも繋がるかと」

「古代魔法の類か………」

 鏡の向こうで顎に手を当てて考え込む王と、古代魔法と聞いて目を輝かせる学園長を前に、ルイーナは背筋をピンと伸ばし表面上は気丈に振る舞っていた。

その反面、内申では嘘がバレないかと冷や汗を流していた。

 古代では今よりも魔力が豊満で周囲に溢れており、そのお陰で様々な魔法が存在していた。

だが、時代と共に溢れていた魔力は消えていき人々は自身が体内に持つ魔力のみで魔法を使わなければならなくなった。

そうなれば今まで使えていた膨大な魔力を消費する魔法が使えないのは必然だった。

そのため、その次代に使われていた魔法の殆どは過去の遺物として歴史の中に埋もれていった。

 だから、ルイーナが提示した魔法が前世で世話になった技術の真似事だとしても言い訳がつくんじゃないかと思っての提示だった。

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