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カケルが成す THE BIRD  作者: 荒巻鮭雄
33/38

33. マコちゃんVSネコロボ

マコちゃんが、ネコロボの前に立つ。

設定の都合上、マコちゃんにはモザイクがかかっている。彼もまた、某有名芋掘りロボットの着ぐるみを纏うコスプレイヤーであった。割と版権がうるさい所で、大人の事情もある。しかしこの時代は版権が切れているので問題ない。


「誰だ?」ネコロボが尋ねる。

「そうだな。ゴンベイとでも名乗っておこうか」

「ほう、で、クロウズアイがなんの用だ?」


「……なぜそれを知っている?」

「なんでも知っているさ」


目的は何か、どこまで知っているのか、ともに探りを入れている。戦意や殺気は感じないが、そんなものを出してしまうやつは二流だ。この二人には関係ない。会話さえ不要なのかもしれない。

「私は将軍父子の護衛で来ている。無事、日本に帰れれば何も問題ない」

(なぜゴッチ文書の話をしない……?)会話にワンクッション置いたことに若干の怒りを覚える。


「なぜあの小娘を送り込んできた?」

ネコロボにしてみれば、自転車泥棒などという茶番などどうでもいい。

(ゴッチ文書を狙っているわけではないのか?)

それだけ言質を取ればいいのだが、もう少し踏み込んだほうがいいだろうか? 


(桔梗さまを我々が送り込んだと思っている? 何か問題でもあるのだろうか……?)マコちゃんも意味が分からなくなった。

「そちら側に危害を与えようとか、邪魔をしようなんて気は全くない。それは信じてくれ」


マコちゃんが近づいてきた時点で、ネコロボは死を賭した戦いになると腹を決めていた。半ばこの時点で勝負はついている。

(いや、クロウズアイの秘密が書かれたゴッチ文書しか、彼らの目的はありえない。あくまで白を切るつもりのようなので、これ以上の会話は無用だ)

「では、お前を殺すことにしよう。田代……」


「えっ?」マコちゃんは斜め上の言動に危険信号を感じ、とっさに全防御態勢を敷く。5メートルの距離を一瞬で消されたが、かろうじて攻撃をかわし、あとは一目散に走って逃げた。初速はすごいが、それ以外のスピードはマコちゃんの方が上のようだ。


「マジかよこいつ、とんでもねえな!」


マコちゃんに逃げられたので、ネコロボは健太郎のところに走って向かう。そこで迎撃すればいいだけのことだ。ネコロボからすれば健太郎など戦力のうちに入らない。攻撃など当たるはずもないし、1秒で殺せる。


マコちゃんからすれば健太郎を守りながら戦う状況になる。守るべき人がいるということは、1対2で逆に不利な戦いとなるのだ。健太郎に己の姿をさらすことにもなるが、そんなことを躊躇っている場合でもない。人質に取られた方が交渉の余地も生まれるかもしれないが、あのとち狂ったタヌキは即刻で殺してしまうかもしれない。


先手必勝、真っ先に大将首を狙うのが真のプロである。このような思考や行動は彼らにとって奇襲や奇策ではない。勝利条件さえ得れば、戦いに原則も理屈も無意味。あとで何をグダグダ言われようが遠吠えだ。


インカムで叫ぶ。

「健太郎! 北に逃げろ! 全力でだ! 手ブラで構わん、すぐ逃げろ!」

健太郎は即座に反応し、二階の窓から飛び降りた。「了解」それ以上のセリフや思考はない。マコちゃんからの指令は、そのような余地すらないことを意味する。


やはりネコロボは1対2の状況を作ろうという様子だ。

一転、マコちゃんがネコロボを追う形になる。自分とネコロボと健太郎、3者の距離や位置関係を予測しながら、20メートルの距離を保ち、追尾する。


走りながら先ほどの短い会話も反復するが、やはり意味が分からない。

(ネコロボはクロウズアイを知っている。しかも我々以上に何かヤバい事を知っている。我々を殺してでも隠したい秘密……。そしてなにより、俺の本名も知っていた……)


マコちゃんは田代という。吉長家、プロレス師範で桔梗の師匠でもある藤波の本名が田代誠だ。アトキントン猪木の一番弟子で、かつて日本でプロレスラーをしていた。そう、彼は「3秒以内なら反則OK」という世界に生きる者なのだ。


田代にとって、3秒あればどんな事でも片づけられる。しかし、今回のメカロボは例外だ。互角かそれ以上……。


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