表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

揺らめき移ろうものたち

月夜に美酒をひとしずく

作者: 黒森 冬炎

こんな捻れた夜に歌うのは

いったいどんな悪霊だろう

月硝子の徳利を片手にぶら提げて

爪先の反り返った黒繻子の靴で

降り積もる薄紅の雪を分ける


美酒の一滴

蛙の涙

それからあのこの爪のあと



こんな捻れた夜に歌うのは

いったいどんな悪霊だろう

星の骨を噛りながら

月硝子の徳利を傾けて

グビリグビリとやりながら

降り積もる薄紅の雪を分ける


美酒の一滴

蛙の涙

それからあのこの爪のあと



こんな捻れた夜に歌うのは

いったいどんな悪霊だろう

銀椿の蜜酒を少し

呑み過ぎただけなのさ

千鳥足にはまだ早い

降り積もる薄紅の雪を分ける


美酒の一滴

蛙の涙

それからあのこの爪のあと



こんな捻れた夜に歌うのは

いったいどんな悪霊だろう

解れた(びん)は風に流れて

えい構うものか

薄紅の雪

今宵はぐるりと酔おうじゃないか


美酒の一滴

蛙の涙

それからあのこの爪のあと


捻れた空の裏側に

表が繋がる事はなく

薄紅色の雪の上

あのこの裂けた唇が

私を捉える事もない


美酒の一滴

蛙の涙

それからあのこの爪のあと


今宵ひと夜の渦巻きの中

月は砕けて微塵の歌を拡げ

こんな捻れた夜に歌うのは

いったいどんな悪霊だろう


美酒の一滴

蛙の涙

それから私の舌の先


捻れた夜に渦を巻く

薄紅色の雪の上

さても美味なる夜の酒


現在の心境というわけでもなきにしもあらず

お読み下さりありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 夜に乾杯! to the night! あ、私はまだ酔ってませんからね!
[良い点] 爪のあとですか。私はこの詩に官能的な雰囲気を感じました。感じ方は人それぞれですけど、感想欄を見たら思った以上に色々な考え方の人がいて面白いですね。 他の方のように想像するなら、思いを寄せて…
[良い点] イメージ的に… 黒… 暗闇… が…渦巻いてたのですが… それが…また…なんともいえず… 良いお酒…芳醇で…濃厚な…味わい…深く… 頂きました… ありがとうございます…m(_ …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ