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御伽殺しの物語  作者: スカベエンジ
1/3

招かれざる者

「カン、カカン、カララン・・・」

不規則な金属質の音色にノワははっと目を覚ました。

侵入者の足跡に沿って音は移動し、不細工なメロディが侵入者の輪郭をなぞるよう。

窓の外から聞こえたそれは、招かれざる客の来訪を告げるものだ。

ベッドから飛び出たノワは上着をつかみ、寝間着一糸を纏っただけの体を滑り込ませた。

「みんな、起きなさい」

ドアの外の廊下を冷静だが鋭い声が走っていった。

乱暴な身支度を済ませ食堂に出ると、年長のナオミが、ノワと同様に急いで集まってきた少女達にそれぞれ指示を与えているところだった。

部屋の灯りに火はなく、いくつかのランタンに照らされた光景は起き抜けの瞼を再び閉ざすようなまばゆさだったが、少女達の瞳には底知れぬ緊張が映えていた。

「カナとラミネはまだ起きてこないちび達を集めて穀物倉に隠れなさい。ラニンとリーズは裏口から出て、ルドさん達に応援を頼んで。ノアは私と一緒に「虫」を退けます。ほら、これをもってついてきて」

ランタンをノワに手渡し、ナオミは底の焦げた鍋を両手に抱え、2人は建物の外に飛び出した。

鍋を抱えて走るナオミの額には玉のような汗が滲んでいた。

だがランタンを持って伴走するノワには、全身に冷たい氷が張り付いたような別種の不快感がまとわりついていた。

(ちゃんと「抜け殻」の灰は撒いたはずなのに・・・どうしてっ)

ノワの心臓は高鳴り、脳内では自らの仕事の落ち度の有無を反芻していた。

だが目下の課題は、仕事の至らなさを悔いることではなく、その結果招き入れてしまったであろう客の駆除だ。

森の深部から訪れた侵入者が、集落を囲う里山に張り巡らせた結界状のロープに触れたならば、招かれざる客の来訪を告げる装置は結わえた金属質の警報音で危険を知らせる。

目を凝らし、耳を欹て、侵入者を知らせるトラップの金属音の警報の鳴る場所に2人は急いだ。

「・・・ラ、ラン」

ナオミとノワは荒い息を整えながら深く呼吸し、夜の草原に身を沈めるように屈みながら、ランタンの灯で辺りを見回した。

「・・・・・・カン、・・・カラン」

藪に仕掛けたトラップが小刻みに揺れていた。

その揺らぎは弱く、侵入者がついさっきこの場所を通過したことを意味していた。

「ナオさん。私が行きます」

ノワはランタンをナオミに手渡し、代わりにナオミが運んでいた底の焦げた鍋を手に取った。

「・・・分かったわ」

ナオミはわずかな逡巡の後、ノワに底の焦げた重い鍋をそっと渡した。

「っ゛!」

灰の詰まった重い鍋の握り手をか細いノワの指先が掴む。鍋の重みに膝が軋み、よろめきそうな両足にぐっと力を込める。

「っっ゛!」

ノワは重い鍋を腰にあてがいながら、鍋の中に片手を忍ばせ、静かに歩を進めた。ノワの華奢な背が鍋の重みに俯く後ろ姿を、ナオミが構えたランタンの灯が映し出す。

ノワの背が小さく震えるのが、鍋の重みによるものでは無いことをナオミは知っていた。

現時点では定かでは無いが、もしこの事態が「灰撒き」の当番であるノワの失態だった場合、命を危険にさらすべきはたった今もこの場所に向かっている大人ではなく、失態の原因を作ってしまった当人に他ならない。

侵入者を安全圏に招き入れてしまうという失態は、幼さによる過ちで言い訳できないことだ。そして私たちが恐れている侵入者は家畜を狙う狼や狐のように応援の到着を悠長に待てるほど、気安い相手では無かった。

土の表面に残された侵入者の足跡は恐怖を煽り、夜の冷気は冷静を紡ごうとする脳の血管を痛いほどに刺激する。

「ギャギャー、ギャー、ア゛ア゛ーー」

採卵の為に飼育している鶏舎の中から喧噪が漏れ聞こえていた。

火の付いた様に叫び狂う鶏の断末魔。レンガに何かが打ち付ける鈍い衝突音。慌ただしく逃げ惑う羽音が侵入者の蛮行の端緒を物語っている。

ノワとナオミは鶏舎の入り口に立ち、侵入者と壁一枚に肉薄した。

ナオミはそのとき初めて、今夜が寝間着に薄い防寒具のままでは肌を刺すような寒空であることに気づいた。石壁を隔て、向こう側に広がる光景とそこに待つ侵入者を思うと、背中から冷水を浴びせられたかのように体は震え、吐く息が責任感と使命感を白いモヤのように霧散させてしまうようだ。

「-―ッフゥ」

深い一呼吸に小さな背はびくりと戦慄き、ノワは眼前のドアに手を伸ばした。

喉に絡みつく生ぬるい唾を飲み干し、ナオミはランタンの灯火をノワの勇気に答えるべく掲げた。

集落を覆う森は底知れぬ程に深く、その生態系は混沌であり、人の生息圏ではない。

そして森の覇者は全身を頑強な外骨格に守られた「虫」であり、およそ生態の把握を許さない異様である彼らに対し、人が知るいくばくかの知恵は、森が深ければ深い程に「虫」は人の手に負えないという先人達の遭遇した悲劇に基づいている。

14歳のナオミでさえ、「虫」に由来する悲劇を目の当たりにしたことは両手で数えられる数をゆうに超えていた。

幼い子供達が「虫」の残酷さを学ぶには、あまりに多くの悲劇がありふれているのだ。

そのような境遇に生きる者だからこそ、果たさなければならない義務を軽んじることは許されない。

ノワが後方のナオミを流し見て、こくりと首を傾けた。

ギィィィー。

古木に金属の鋲を構えた扉の音を殺し、扉をゆっくりと開いた。

ランタンの灯が室内の暗闇をかき消してゆく。

鶏の羽毛と粉塵が舞い飛ぶ鶏舎には、生ぬるい瘴気が漂っている。

「う゛っ」

胃袋を刺激する濃厚な臭いは、紛れもなく血の臭いであった。

ランタンの灯火が照らし出した様はわずかばかりではあったが、無数の肉片と赤黒い血飛沫で描かれた惨状。

狂気が満ち、猟奇が待つその先に歩を進めるノワの顔は、興奮による汗とも畏怖による涙とも嗚咽による鼻水とも分からない分泌物でぐちゃぐちゃになっていた。

底の焦げた重い鍋を中腰に構えたノワは、ずしりと腰や膝に堪えるその重みこそが、今この場所で恐怖に抗う唯一の術であり、かき乱された心の拠り所を見いだしていた。

鍋の中に沈ませた左手一杯に「灰」を固く握りしめ、侵入者にそれを投げつけることで制圧するためである。

石積みの壁に据え付けた木組みの小屋は所々が、砕かれ、叩き割られていた。

小動物に振るわれたまるで暴風の直撃のような痕跡に戦慄を覚えぬ者など居らぬであろう。むせかえる血と獣臭を帯びた臭気に咽ぶ喉がそれでもなお渇き、汗と涙に濁る目がそれでもなお捕食者に挑むのは、少女達が置かれた世界の厳しさ故である。明日を生きる糧である家畜を奪われ、「虫」に勢力圏の拡張という習性を授けることはなんとしても避けねばならない。

この場所でしか生きていけない者にとって、逃げる場所などなく、生存を脅かす脅威は命を掛けて排除するしか選択肢など無いのだから。

粗暴な侵入者は暗闇に身を沈め、こちらの様子を伺っているに違いない。

たった1つの出入り口を背に、攻撃は得体の知れぬ侵入者を見つけ次第、全力で灰を叩きつけるのみ。いたずらに灰をまき散らし、「虫」が動転し暴れた場合、たとえ石積みの小屋であっても無事では済まぬであろうし、「虫」の駆除と引き換えにその体液を辺りにまき散らせば、その死骸から出た体液が他の「虫」を誘引し、集落は数多の「虫」の襲来を免れない。

だから「虫」の弱点である頭部を狙い灰を叩きつけ、最善の方法で屠らねばならないのだ。

ズチャリ。ズヌル、グチュ。

木っ端のように砕けた木組みの残骸に蠢く何者かの気配。剥き出しの血糊や臓物がべたつく生臭い音。

ノワは固く握りしめた一握の灰を鍋から取り出し、

ナオミのランタンの灯火が照準の如く、獲物を暗闇の安全圏から引きずり出した。

「――バッ!!」

一握の灰はひとつの物体の様にまっすぐ、ランタンの灯火を跳ね返すように底光りする双眸を目がけて飛び獲物の頭部で爆ぜた。

「・・・ゲェッッ!ブヘェェッ、なんだ、こりゃあ!」

『『!!』』

想定「外」の誤算は、ほんの数秒、わずかな思考停止をも体感ではとても長いものに感じさせた。暗闇から引きずり出した獲物は「虫」ではなく、「人」型大のフォルム。灯火が照らし出したその姿は未だ影を纏っているかのように暗く、全容が伺い知れない。

張り詰めた沈黙を切り裂いたのは「虫」の荒ぶる叫声でなく、言葉だった。

刹那、ジューッという瘴気がノワの直上で吹き出した。

「ヴァ、ヴ、ァヴァヴァヴァヴァヴァヴァ!!!!」

幾秒かの後、混沌がかき乱した心を恐怖で揺り戻したのは、「虫」の荒ぶる叫声だった。

ランタンの灯火が激しく揺らめき、鍋の中身の灰がボウッという音を立て辺りに爆散した。

耳朶を狂わせる叫声は、大音響の「虫」の威嚇。

不可避な捕食者の射程に踏み入ってしまった獲物に与えられた危機回避は、その選択肢が限りなく少ない。

「キャアアアアアアアア」

ノワの断末魔が響いた。

それを背中で聞いたナオミは、鶏舎の扉を閉ざし、全身を蝕む恐怖に膝を落とした。

「大丈夫か、ナオミ!」

駆けつけたルド達、大人の男が鶏舎の前で取り乱しているナオミに声を掛けた。

「「虫」が出たってのは本当なのか?」

ナオミはこくこくと首を縦に振った。

「ノワは?中にいるのか?」

ナオミは両手で耳を塞ぎ、堰を切ったように言葉にならない嗚咽に崩れた。

桶や鍋に灰を持って集まった男達に指示を出したルドは、金属の大槌を構え鶏舎のドアに手を掛けた。

ギィィ、バッタン。

乱暴にドアを開け放ったラドは、

「おらぁ、「虫」の野郎、出て来やがれぇぇぇ!!」

と、「虫」を誘き出そうと怒声をあげた。

ズチャリ、ズチャリ、ズチャリ、べたつく重たい足音がそれに応えた。

「ジュ、ヴァ、ヴァヴァ、ジュジュ、ジュジュジュ・・・」

叫声を上げながら、暗闇から現れ出でたのはおよそ男達の身の丈を越える「虫」の成体だった。

眼前の異様は想定をはるかに越えた体躯の外敵。

男達は桶や鍋から取り出した灰を握りしめ、「虫」の感覚器が集約する頭部に叩きつけた。

うぉぉぉぉぉ!!!!

引き金のように振り絞られた拳は、恐怖にその身が凍てつくより早く想定通りに投射した。二射目は冷静では居られまい。

「・・・ヴァ、ジュヴァ、ヴァヴァヴァ・・・」

「虫」の叫声が濁り、固く重厚な体躯を支える刺々しい脚がびくびくとのたうつ。

「おっらぁぁぁぁ、死ねぇぇ!!」

動きの鈍っている「虫」の頭部を目がけ、ルドは振りかぶった大槌を振り下ろした。

「ジュ、ジュヴァヴァヴァヴァ、ジュジュ、ジ・ジ・ジ・・・」

「・・・・・・あ゛ぁ?」

乾いた手応えとは裏腹に、地面に転げるように倒れた「虫」は、関節肢の隙間からシューシューと瘴気の余熱をまき散らしながら、刺々しい脚を折り畳み痙攣させていた。

頭部の感覚器に灰を浴びた「虫」は撹乱し、そのような状態で頭部を物理的に叩き潰せば「虫」を「比較的」安全に駆除ことが出来る。ルドが大槌を用いて頭部を叩き潰したのは、「虫」の外骨格が鋼の剣をも跳ね返す強度によって自らの体躯を守っているからである。

そしてわざわざ特殊な灰を用いて感覚器のみを攻撃した後でなければ物理的な殺虫を行うべきで無いことは、「虫」の特異な習性に由来する。「虫」の体液には他の「虫」を誘引する分泌物が含まれ、感覚器が正常なまま絶命した「虫」の体液は、はるか遠方からも多くの「虫」の襲来を招くためである。

所々赤い血に彩られた「虫」の死骸を見て怯えているナオミをルドが抱き寄せた。

男達は手にした灰を「虫」の死骸に撒き捨て、鶏舎の中に入っていった。

「ひっでぇな、こいつは」

「これ、全部鶏のなんだよな?」

「どうだかな」

震えた声で尋ねた若い男に、ひげの男が灯の消えたランタンを拾い上げて投げ渡した。

ランタンから滴る血糊に驚いた男は口を押さえ、ドアの外に飛び出して行った。

「市場に卸す前日にまるごと食い散らかしやがって」

「今年の冬越しは厳しいかもしれねぇ」

鶏の飛散った血と肉のかけらに灰を撒く、男達の声は重かった。

「虫」の襲来は未来まで命に関わる深い爪痕を残す。深い森に閉ざされた小さな集落にとって家畜は貴重な現金収入の手立てであり、それらを失うことは生死に関わる問題だった。

ズチュッ。

「うげ」

ひげの男が靴の底で潰れた臓物の感触に、苦々しく顔を歪めた。

「おい、こいつぁ」

「・・・ああ、ノワだな。かわいそうに」

男達は乱れた敷き藁の中に横たわる少女の体を見つけた。

「すまねぇな、ノワ」

およそ鶏のソレではない、はらわたが飛散っている床や血溜まりにも、男達は白い灰を撒いた。

「-ブベェ、ッ、ゲハッ、ゴホッ!!」

ひときわドス黒く夥しい血糊を帯びた敷き藁の中から、ノワではない何者かの声がした。

「なっ、何者だ!おまぇは!!」

「オレは「虫」じゃねえよ」

そう言って男は体に巻き付く敷き藁を払いのけ、むくりと起き上がった。

若い男。全身に特殊な紋様を施した鎧を纏う男は、同じく敷き藁の中に倒れていたノワの体を拾い上げ、ひげの男に託した。

「それより、こいつの手当てをしてやりな」

「おい、おめぇ!おめぇ、お、おめぇ・・・」

ひげの男は去ろうとする鎧の男に詰め寄るが、その異様に気付いた途端、声を失った。

ズチャリ、ズヌル、グチュ。

鎧の男の腹部は、鎧の装甲が引き裂かれ、生身の肉体から溢れたはらわたがぶら下がり、滴る血がボタボタと足音というには不気味な音を漏らしている。凝視すれば、手甲のひしゃげた片掌は半分が欠損し、肩当ても食いちぎられた様にえぐれていた。見れば見るほどに痛ましい傷跡は増えるだろう。

「ノワ、ノワァァ――!」

ナオミがひげの男の腕の中で眠るノワを見つけ、駆け寄った。

意識を失っているノワは微かだが息をしていた。だが全身に「虫」の体液を浴びており、危険な状態だった。「虫」の体液は、他の「虫」を誘引する分泌物を含む以外にも、人体にとっては毒性が強く、体内に多くを取り込めば確実に命を奪う代物である。

「すぐにノワを先生んとこに連れてくぞ」

「おねがいします、おねがいします、どうかノワを、助けてっ」

意識の無いノワを抱いたひげの男とナオミは急いで医者の元へ向かって行った。

「おまえには落とし前を付けてもらわなきゃならねぇみたいだな」

鶏舎から出てきた鎧の男にラドは大槌を向け、短刀や手斧を構えた男達がそれを包囲した。

「へっ、ざまぁねえな」

鎧の男は己を嘲り、膝をついた。

投降した男をルド達は牢に連行した。

ズチャリ、ズヌル、グチュ。

鎧の男が歩く度、腹部の傷口から溢れたはらわたが揺れ、生々しい肉の音に男達は顔をしかめた。

「あいつ、なんで平気な顔していられるんだ?」

「見ろ、足下にゃ血もドバドバ垂れてやがる。普通の人間ならとうにおっ死んじまうだけの血はとうに流れ出てるぜ」

《 鎧の男は何者なのか 》

男達はその馬鹿げた質問を互いにし返すことを辞めた。

どうしてあれほどまでに痛みに無関心でいられるのか?

どうしてこれほどまでに致死性の傷を負って絶命しないでいられるのか?

考えれば考えるほどに、童が歌う古い歌にそっくりで気味が悪いのだ。


                   わすれの唄

               わすれてしまえ やつらがくるぞ

               うずめてしまえ つちにかえせ

               わすれてしまえ かぞくがしぬぞ

               うずめてしまえ いえをでるな

              どんよくおうさま いくつもほしい

              しなないへいたい えんせいにいくぞ

              まほうつかいは  たからをうばう

              わがままひめさま ぜんぶがほしい

              しなないへいたい むらをおそうぞ

              まほうつかいは  こどもをさらう

              わすれてしまえ やつらがくるぞ

              うずめてしまえ つちにかえせ

              わすれてしまえ かぞくがしぬぞ

              うずめてしまえ いえをでるな


その歌は口伝えに伝わる古い歌。

どこからか流れ着き、まだどこかへと流れてゆく詠み人知らずの童歌。

幼い子供達に外敵である「虫」の恐ろしさを伝える手始めとして、へいたいとまほうつかいを「虫」になぞらえて歌ったものだろうと多くの者が周知していた。貪欲な王のように多くを求めれば、わがままな姫のように全てを求めれば、自分達を護る森や城壁の外から大いなる災厄と共に「虫」が訪れ、無慈悲な残酷が生活を奪い去ってしまう。子供達は寝物語や戯れの中で安全圏のみが世界の全てであることに、やがては何の疑いも無くすのだ。

しかしその歌が他愛のない童歌ではなく、先人達の過ちを歌った遠い伝説であるということを、森の外を知る「一部」の男達は知っていた。今まさに目の前にいる鎧の男が、さながら「しなないへいたい」のようであると、口に出さずとも男達は想起していた。

辺境の村を訪れた招かれざる来訪者がもたらした災厄は、すでに彼らの世界をかき乱すには十分なものであり、更なる災厄の萌芽を摘むことができるのか、ルドの鎧の男を見つめる眼差しは鋭かった。


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