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人生リセット施設

作者: ガラクタ

「生きてて良かった」

この言葉を使うのはハードルが高い。

それは今まで嫌々でも生きてきて良かったのか、努力して頑張って生きてきて良かったのかその人の人生の背景を考えてしまうからだ。

しかしその背景をなくせば良いのではと思ってからは早かった。

人生リセット施設に行く事を決心した。

ここは決して過去に戻れるという夢の施設ではない。

自分という存在を一度消して姿を変え誰も知らない土地に連れて行ってくれるのだ。

この施設の存在は公にはなっていないが、ある先輩が教えてくれた。

勿論バレる事はない。完璧におこなわれる。

この国の行方不明者はこの施設に行ったからではないかという噂も広がっている。

お金さえ払えば名前も顔も声を存在を変えてくれるのだ。

更に自分の記憶さえ消すことも出来る。今までの糞みたいな人生の記憶やトラウマ全て消せる。

勿論俺も消そうとしたのだが、お金の問題で消すことが出来なかった。

施設の人には絶対に消した方が良い、安くするとまで進めてもらったが、どうしても財産を残しておきたかった俺は踏み出す事が出来なかった。

ちなみに貯金も新しい自分の口座に変えて貰える。

施設に行ってから事が進むのは早かった。お金を払い様々な手続きを済ませ、あとは準備が整うを待つだけであった。準備が整い次第施設側から連絡があり、手術を行い何から何まで変えてもらえる。

30半ばになり結婚は愚か恋人もいない、両親も他界してしまった俺にはいなくなった所で気にしてくれる人間など一人もいないので、ある意味楽に、ある意味残酷に施設に足を運ぶことが出来た。

リセット施設の存在は過去に戻るより良いのではないかと考えている。過去に戻っても自分が変わるとは思えないし、最終的には同じ人生を辿るだけだろう。

ならいっそ全てを自分以外の環境や社会、国のせいにして自分ではなく環境を変える事にした。

数週間後、全ての準備が整ったと連絡がきたので、施設に行った。

施設ではこれから手術を行い、目覚めたらすでに違う場所にいるという説明を受けた。

これから言葉通り別人として暮らし始めるのだ。

ちなみにオプションで仕事をつける事が出来たのだが、何となく断ってしまった為、就活から始めなければならない。

手術台の上で、ふと今までの自分を殺すのと同じ行為なのかと思い、望んでいたにも関わらず、緊張案が芽生える。何度か死のうと思った事はあるが実際に行動すると急に怖くなるあの時と同じ感覚である。

無意識の中にある無責任に怒りを覚えながら、徐々に意識が失われていく。


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