第6話
外交会談なんてどうなっているかがわかりませんので、想像で執筆いたしました。
派遣艦隊旗艦 かが
派遣艦隊は、目的地の大幅な変更により、到着が1時間ほど遅れていた。
「艦長、そろそろ目的地付近です」
「了解。両舷前進原速、オルスター王国側に周辺海域に到着したと連絡してくれ。基地帰投予定の王国軍の方へ案内もしてくれ」
しばらくし、オルスター王国軍の軍船が接近してきた。蒸気が煙突から出ていることと、帆が二本装備されていることから、機帆船と推測されるが、機帆船にしては高速であり、8ノット程度で航行していた。彼らの誘導に沿って、巡視船こうやがオルスター王国に上陸を果たした。
ちなみに、護衛艦隊はオルスター王国軍が基地に向けて離艦したのち、港から25Kmほど離れたところで洋上待機となった。
同刻 防衛省
「オルスター王国派遣艦隊は、目的地に到着した模様です」
「海保の巡視船に外交官と第37普通科連隊から12名の自衛官が護衛に付きます」
「なんか多いと思うんだが」
「仕方がありません。地球の常識が通じない可能性がありますから、多いに越したことはないのですよ」
「なるほど。ちなみにかがの艦載機ってなんだ?」
「一応、ヘリコプターに関してはシーホーク(SH-60K)が4機とMCH-101を1機。戦闘機はF-35Bを2機乗せています」
大臣補佐官が端末を見ながら答える。
「F-35も持って行ってるのか。使う機会がないようにな」
「使う機会があれば、戦争ですよ」
「それもそうか。」
「相手側の軍隊のレベルも知りたいな。我が国より発展した軍隊を所有するのであるならば、日本側としては戦力の強化を図らなければならんしな」
オルスター王国 アトラン港
巡視船こうやより、外務省から派遣された外交官、棚里 浩司がオルスター王国との交流を担うこととなった。
「日本国の方々、歓迎いたします。私はオルスター王国政務省外交部マラトス・ストラーナと申します。本日は遠路はるばるお越しいただき、ありがとうございます」
「日本国外務省 棚里 浩司と申します。本日は急に訪問してしまい、申し訳ありません。本日はよろしくお願いします」
一通りの挨拶を終えたところで、会談をするのであろう施設に誘導される。自衛官たちもそれに伴い移動するが、周りの人から奇異の目で見られる。まぁ、無理もない。自衛隊の標準装備である89式小銃や戦闘防弾チョッキetc...はこちら側の世界にはないものだ。
「では会談を始めましょう。まず、我が国に対して日本国は何をお求めですか」
「我が国は貴国に対して国交を結びたいと考えています。我が国では食糧問題も深刻化しつつありますので、食料の輸入も考えています」
「なるほど。国交を樹立するというのは賛成ですね。我が国としては、急遽現れた未知の文化を持つ国に興味があります。ただ、食糧の輸出に関しては現状は可能でありますが、国内情勢が不穏な空気に包まれつつありますので、安定的な輸出に関してはなんとも」
「分かりました。安定的な輸入が出来ないというのは、残念ではあります。にわかには信じられないでしょうが、私たちはもともと違う惑星に存在していた国家であるので、こちらの惑星の技術、文明には我が国としても興味がございます。では応急的にでも輸入をしたいのですが」
「輸出に関してはよろしいのですが、輸送手段や対価に関してはどうされるおつもりでしょうか」
「輸送手段に関しては、我が国から輸送船を出します。対価に関しては我が国から嗜好品、まぁお酒などや芸術品を輸出するということでどうでしょうか」
「私個人としては異なる惑星の酒は飲んでみたいですね。分かりました。政務省による審議のうえ、明日回答させていただきます。」
こうして、食糧問題は一時的に解決することとなった。
「では我々の誇る海軍を紹介...って思っていたんですが、なんだかそちらの巨大な船に我が飛行隊を輸送していただいたようで感謝いたします。とりあえず、オルスター王国海軍の主力艦艇オルトラスをご覧いただきましょう」
オルスター王国軍第三飛行群 本部
「良く戻ってきた、カサトフ士長。それでいろいろあったそうだが話を聞かしてはくれないか」
「了解しました、カトラス少将」
そして、カサトフ士長は日本で起きたことを丸ごと話した。
まず、偵察に行っているときに爆音を上げながら背後に"何か"がついてきてずっと尾行されてきた。そしてそれが去っていったと思えば、今度は上部で何かを高速で回転させながら、別の"何か"が近づいてきた。
その後、誘導されながら着陸したところで、夕食をごちそうになってとてもおいしかったこと。
翌日、船に竜ごと乗せていってくれるというので乗船したら、全長200m以上もある船が、動き出して蒸気や帆で動いている様子もなく、魔力反応もなかった。それなのに下手したら最新鋭の高速艦より高速航行出来たと。
ちなみにご飯はとてもおいしかったと強調しておいた。
そのことを話したら隊長は最初冗談半分のご様子だったが、最後のほうは割と引いていた。