第5話
今回は、若干短めです
西暦2020年10月2日 午前9時 八尾駐屯地
「では海上自衛隊の由良基地に移動します。私たち第5対戦車ヘリコプター隊が先導いたします」
「分かりました」
まず、二機のAH-1Sが旋風を上げながら飛び立ち、ホバリングしながら上空待機する。
次に貸与された"むせんき"という魔導交信機みたいなものから、『Runway 13, cleared for take-off, Guest01.いってらっしゃい』と聞こえる。しかしこちらから返信することは出来ない。なんか免許がいるらしいので、自衛隊の人が受信した電波をそのまま流しているらしい。
離陸した俺たちは、自衛隊の"へりこぷたー"の爆音を耳にしながら飛翔する。しかし、翼竜はともかく飛竜の体力面で基地まで帰還できるか心配であると話したところ、海上自衛隊のほうで船に乗船して帰国されますかとの連絡をいただいた。
我が国にはないけど、洋上配備飛行基地船の類かな?ということであれば,,,日本国にも飛竜や翼竜がいるのであろう。でも今まで一回も見かけていないな。
『あと30分ほどで由良基地に到着いたします。着陸場所は船の甲板上でお願いします』
手信号で了承する。まだ、今から乗船する船が我らの常識にはないものであるとは、思いもしなかった。
同時刻 防衛省
「オルスター王国軍の一行が八尾飛行場より、海自の由良基地に向けて飛び立ちました」
大臣補佐官が報告する。
「了解。今回の派遣は海保の船も行くんだよな」
「はい。巡視船こうや が同行します。派遣先で喫水が低い船も必要になる場合への備えです。航続距離に余裕のある船を選定いたしました。」
「はぁ、そうかい。彼らの竜はどうするんだい」
「護衛艦かがの甲板にのっけて行きます」
「りょーかい。一応彼らが反乱しないように注意するよう伝えてくれ」
護衛艦かがの甲板にて
「なんだ...これ」
陸上自衛隊のヘリが飛び立った後に、隊員一同が異口同音に言う。なんでマストがないのに、航行できるかがわからない。もちろん魔力反応もない。
「こちらの船はわが海上自衛隊の誇る護衛艦、かがでございます。同伴は護衛艦いなづまと巡視船こうやであります」
いずもの乗員の樋口一等海尉が説明をする。
「皆様とオルスター王国周辺海域まで3時間程度ご一緒させていただきます。どうぞよろしくお願いします」
「あっ...よろしくおねがいいします」
「では、船内へどうぞ」
船内ではこの船についての概要を教えてくれた。と、ともに我らの世界での軍や町の様子などの雑談を交わしながら時間が過ぎていった。彼らの話で気になったのは、普段は30ノット以上で航行するとのことだ。ノットという単位はよくわからないが、時速55Km以上ということなので、日本の所有する軍船が高性能なのかを思い知った。
しばらくすると、昼食が提供された。昼食は名物であるそうな海軍カレーといううものらしい。ピリッとからかったが、甘さもあり、こちらもまた大変おいしかった。
ちなみに、当初日本側が向かおうとしていたところと、我々の基地最寄港の場所が異なっていたので、訂正しておいた。後ほど確認してくるらしい。どうやって確認するのかは聞きそびれた。
そのころ、CICでは、航行計画の変更に関する協議が行われていた。
「オルスター王国軍の人の目標だと、約100Kmぐらい違うぞ」
「確認にヘリ飛ばします?」
「そうだな。航空機即時待機 準備完了の後発艦せよ」
艦長の指示により、護衛艦かがの甲板にSH-60Kが現れ、発艦準備を整える。同じ甲板上には、翼竜や飛竜がおりヘリのローター音により、こちらを眺めている。
「しかし、領空侵犯にはならないのですか?」
「一応本日そちらの国にて軍船が活動を行うとは通告してあるので、相手側も文句は言えないはず...」
「分かりました。上空からの写真を後ほど王国軍の人に見せて確認作業を行います。」
そのうちにいずもからSH-60Kが発艦し、上空から撮影などを行った。その結果当初の目的地より、大幅なずれが生じていることが発覚したため、派遣艦隊は、当初10ノット程度の航行を予定していたが、急遽、10ノットの航行から20ノットでの航行にすることにした。
京アニショックから立ち直れてない...




