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顔じゃありません  作者: ニビル
第二章 外
25/26

結婚

 自由に、楽しく生きていくと決めたのに、色々ありすぎて疲れてしまった。人間生きていれば腹は減る。我慢はしない。食べない(飲まない)という選択肢は俺にはなかった。遅い晩飯を済ます為に外に出る。いつもと違う景色に、夜の匂いに俺は深夜に出歩くのはたまにはいいかもなと思った。場所は自宅から徒歩10分ほどで午前3時までやってる味噌らーめん屋だ。ここは俺の事情を説明して麺と具無しのスープのみで提供してもらっている。時間が時間だからか、客は俺しかいなかった。紙幣を投入して食券を買い、いつもの席に着く。茶髪の女性店員がこちらにやってきた。


 「うわっ」


 茶髪の少女は喫茶店でも働いていた立花さんだった。休日(O F F)は学校の事は思い出したくないので同級生に会いたくない。


 「いらっしゃいませ。同級生に、『うわっ』はないんじゃない?酷いー。皐月くんお好みは?」


 といいながら泣き真似をする。この女今何時だと思ってるんだ。まだ15か16歳だろ?午前2時まで働くとかブラック会社か。この世界の価値観がおかしいと思う俺がおかしいのか分からなくなってきた。俺は働きたくないから彼女の行動に頭が混乱している。

 

 「まさか立花さんがいるとは思わなくて……ビックリしちゃっただけだ。麺(具)なし。味は濃いめ。油は多めでお願いします」

 「ふ~ん。私服姿もかわいいね。麺なし。濃いめ。多めね。親の店だから皐月くんの事情は聴いてるから安心してー」


 働くのが美徳の世界だとしても、喫茶店とらーめん屋と掛け持ちで遅くまで働くなんてか学業は大丈夫なのか。と他人ながら余計な心配をしていたら「味噌らーめんお待ちどうさまです」と器が運ばれてきた。来るのが速いなと思いながらも「いただきます」を言い食べようとする。


 「ね。私の顔をじっと見てどうした?惚れちゃった?」

 「うん。とっても可愛いなと思ってね。(この世界は可愛い子しかいない)結婚してくれ」


 俺の事を養ってくれ。立花さんは同級生でなずなと仲がいいのかしょっちゅうクラスに来ていたので性格もお互い知らない中じゃないからなと冗談半分で言った。


 「わ。わ。わ。わあ。どうしよう?なずな、皐月君を取っちゃてごめん。私皐月くんと結婚しちゃった。おー母ーさーん。私ー、皐月君と結婚しちゃった」

 

 厨房に走りながら母親に報告している。大げさに騒いでるけど冗談だよな?店長の娘が同級生の立花さんだったんだ。やや遅れて興奮した立花さんと店長がやってきた。


 「いらっしゃい。皐月君。遂に決心してくれたんだ。娘をよろしく」

 「いやいや。冗談ですよ?お互い……に?」


 それから俺は30分ほど説教をされた。男女比の差が激しいこの世界。さすがに冗談では済まされないようだった。必死に宥めて、謝り倒して今度デートを一回することで許してもらった。

 冷めてしまったスープを蓮華で掬い口に入れる。猫舌だから冷めて丁度よかった。やっぱりここの味噌ラーメンは世界一美味いなと思い全部飲み干した。また今度ねと別れたのに、立花さんが俺の横にいる。


 「?」

 

 コンビニにでも行くつもりか?横に並ぶと俺たちは他人には姉弟にしか見えないだろう。スーパーシーックレットブーツ20cmを履いてくるのを忘れたのを悔やむ。サンダルだから身長の差があり立花さんを見上げる形になる。


 「元妻と手を繋ぐ?」 


 耳元で囁かれた。何でどの子も変な事を言うのか。この世界距離感もおかしい。


 「勝手に結婚して別れた事にするなって。何度も謝ったからもう許して。何時も午前3時まで働いてるの?」

 

 深夜なのでお互い小声で話す。


 「私も深夜までは働かないって。バイトの子が急に休んじゃって。今日は特別の日。お母さんの誕生日なんだから働くのは当然」

 

 当然じゃないって。人がいなくて開店できないようなら店を閉めてもいいだろ。誕生日に働くとか初耳だぞ。突っ込みたいことがいくつかあるけど深入りはやめる。

 

 「デートは――、次の土曜日にラーメン屋で一緒に働くこと」

 「無理」


 速攻断る。俺は絶対に働きたくないんだって。労働はしない。デートで一緒に働く?無理だって。彼女の言葉を聞こえなかったふりをし、とぼけた顔をして家に帰ろうとする。


 「結婚するって迫られた事、学年のみんなに言い触らす」

 「すいみません。許してください」


 俺もいい加減学習しないな。恋愛絡みは慎重にならないと洒落で済まなくなるということをこれまでゴスロリや周りから嫌というほど経験してるのに……。自分から問題を起こすとは何と愚かなり。

 言い合いをしてたら家についてしまった。終いには「お義母様に挨拶をと」抜かしてきてるので土曜日楽しみだなーと言って何とか切り抜けた。恐ろしい女と関わってしまったと内心後悔したものどうしようもない。何とかこの場は切り抜けたもの一時しのぎにしかならない事は俺が一番分かってる。欠席作戦は口八丁で切り抜けよう。

 徒歩で帰ろうとした彼女を車を起動し自動運転モードで設定をして送ってあげた。

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