1話
「これより、内閣官房長官、定例会見を、始めさせていただきます。」
記者たちはいっせいにパソコンやメモ帳に目を向けた。
「昨日発生いたしました、領空侵犯の事態につきまして、内閣にて閣議を行い、自衛隊の総力をつぎ込み、我が国の防衛を強化する方針を決定いたしました。また、多くの国々との連絡が取れないため、外務省が確認を行いましたところ、韓国、台湾、ドイツ、フランスなど、合わせて50の国と地域と、連絡を取ることが出来ました。」
「以上で、本日の定例会見を、終了とさせていただきます。」
その会見がニュースで放映されるや否や、たちまち噂が広まって行った。
「アメリカが日本を核攻撃するんじゃないか?」
「東京からは逃げておいた方がいいのかもな。」
戦争危機スレッド
1.名無しさん|《id:35000》
ついに第三次世界大戦か。
2.ろしあんぴーぽー|《id.:3115》
連絡が繋がる国、枢軸国側が多くね?
などなど、噂は尽きなかった。
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翌日
「長良の近代化改装を行ってよろしいでしょうか。」
「あぁ、頼む。」
「改装の予定なのですが、各種レーダーの取り付け、ガスタービンエンジンへの換装、ミサイル垂直発射装置の搭載、主砲の高精度化と対空砲の換装など、全41項目を行いたいと思っております。また、駆逐艦にも同様の改装を行う予定です。」
「その、ミサイルというのは...」
「ミサイルですね。百聞は一見に如かず、ということで、兎に角実際に発射した際の映像をご覧ください。
」
部屋が暗くなり、プロジェクターで映像が映し出された。
「技術の進化というのは素晴らしいものだな。」
護衛艦、あたごから、轟音とともに、白い煙が吹き出していった。
「これだけ大型の噴進弾を打ち出すのか。」
「最大で高さ5メートル、直径50センチのものまで、打ち上げ可能となっています。」
「あの護衛艦というのは、何だ。」
「現在の日本が正規軍を持つことを禁止されていることは先日言いましたが、それに関連して、日本の軍艦は護衛艦と言った名称にして、なんとか軍艦を保有している状態です。」
「そうなのか。」
場は静寂に包まれた。
「この改装の終了予定は、今年の6月の予定となっています。それまで二ヶ月間、基地内の仮設兵舎で過ごしていただきます。」
「それなら問題ない。なにせ小屋よりも船内の部屋の方が狭いからな。」
「艦長、先日佐世保付近を航行した際に見えた星条旗は、味方に下った米軍艦だとの旨の、船員への通達を行ってもよろしいでしょうか。」
「誤射を防ぐ為にも、伝えておこう。」
「了解致しました。」
同刻、佐世保地方総監府
「大和以下17隻の出撃権限は、現在防衛省にございます。よってむやみな出撃、艦砲射撃はおやめくだされ。発砲許可は一度本土に通達してから、対空射撃は自艦に被害が及ぶと思われるものから優先的に行っていただきたい。」
大和の改造は、他の船とは一線を画していた。
「改造終了予定としましては、本年の7月に終了予定です。」
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「こちらは大日本帝国陸軍、第二要撃部隊、第三編隊である。滑走路への着陸許可を申請する。」
「高度を1500mまで降下し、当基地への着陸進路を確保してください。滑走路は27Rです。」
「高度降下、着陸進路確保、滑走路は27Rの旨を了解。」
程なくして、6機の陸軍機が着陸を行った。
「ランプ45Rから、格納庫手前、72番スポットに進み、順に停止してください。」
「了解」
「隊長機以下全機、帰投しました。」
「こちら百里基地、全機の帰投を確認した。」
海軍、航空隊が徐々に日本に集結しつつあった。
小説って...難しい。