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6.5話

重装甲艦、つまり旧世代に当たる平気であるはずの『軍艦』の制作を自衛隊が行ったのには理由が有った。

現代兵器を扱う軍、準軍事組織の大半は人口衛星を経由して、またはそれから位置を測定した上で行動している。現代米軍の巡航ミサイル「トマホーク」、人工衛星からの電波を利用した航空機、船舶の航行装置などがその主たる例だ。

そしてGPS、その他の全地球型の測位システムは全て連合国が開発、運用している。

日本のみちびきはせいぜい西太平洋、豪州、東アジアとロシア極東部までしか正確に測定できない。ヨーロッパの打ち上げた測位システムは英仏が開発しており、所有権、管制件は英国にあったためそれはもうこの世界には無く、ヨーロッパ戦線で使える兵器は第二次世界大戦の水準、またはそれが改良された古典的な近代兵器で戦う状況となってしまった。

話が脱線してしまったが、自衛隊がいくらイージス艦を増やし、トマホークや各種のGPS誘導弾を装備したところで、接近した米軍を叩くのには良いが、電波が不安定になる地帯での戦いとなると、現代兵器では命中が全くと言っていいほど見込めなくなってしまう。

それならいっそのことすべて大火力大口径の第二次世界大戦で流行った『戦艦』という形に回帰した方が弾の無駄にもならず、この異常事態での戦闘では結果的に役立つと見込まれていた。


しかし何事にもメリットがあればデメリットもある。

基地反対派を筆頭とする不戦支持者が日本の更なる軍拡に、懸念を表明し、元々燻っていた自衛隊基地反対運動が更に過激化し、一部の基地では何処から引っ張ってきたのか、手榴弾まで投げ込まれることとなった。

また、既に閉鎖されたラインである戦艦の再生産は当初予定していた造船費用の8000億円を大きく上回り、1兆2000億円にまで達していた。これは平時の防衛費に匹敵する額であり、これに関しては国会でも本当に戦艦は必要なのか、有ったとして戦後に役立つのか、などと荒れに荒れた。


一方史実では大苦戦した中国、東南アジア戦線は自衛隊の各種戦車、機動戦闘車を投入し、苦戦の原因となったドイツ製の強力な兵器も余裕で突破することが出来た。

そう、ソ連と衝突するまでは。


ヨーロッパではドイツがイギリスを経済封鎖し、イギリスが降伏。後ろから狙われるのはアメリカだけという状態でそれ以降も順調に勝ち進んでいた。

ヨーロッパ戦線で枢軸側に付いていた各国とドイツ国民はヒトラーの再来を恐れたものの、占領した敵国の国民を収容所に送り込みはせず、元の土地に永住を認めたため、次第に理解を得てきた。


色々な方から1話1話が短い、細かいところがダメなどと批評していただき、本当にありがとうございました。

ネタが出てきたら続けますので、その時はよろしくお願いします。

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