プロローグ
先の大戦から80年ほどが経ち、少しの小競り合いは有ったものの、大規模戦争勃発の危機は過ぎ去ろうとしていた。
「未確認機8機、我が国の防空識別圏に侵入!」
「飛来方向は南南東、父島付近より領空侵犯の恐れあり」
航空自衛隊、百里基地、ここで4機のF15戦闘機がスクランブルのため、轟音を轟かせながら太平洋上へ飛び立って行った。
それから30分後
「国籍不明機を視認、当該機は米陸軍、B29爆撃機。」
「通常の通り警告を実施せよ。」
ザザッ
「こちらは日本国航空自衛隊である。これより先は日本の領空である、速やかに進路を変更せよ。」
相手からの反応はない。
「貴機の進路を変更せよ。」
やはり反応はない。
「当該機からの応答なし。警告射撃の是非を問う」
「警告射撃を許可します。」
「了解」
ザザッ
「進路を変更しない場合、警告射撃を行う。主翼を振って退去の意思を示せ。」
するとB29の砲塔がゆっくりとこちらを向いた。
「全機、当該機の砲塔への発砲を許可する。」
両者の機関砲がほとんど同時に火を噴いた。
「敵機の撃墜を確認。こちらの損害はなし。全機健在です。」
「了解、速やかに帰投せよ。」
空での出来事とほぼ同時刻、霞ヶ関はひっくりがえるような大騒ぎとなっていた。
「おい、午後からは首相と米国の大統領との会談の予定があるんだぞ。」
「ですが、我が国の安全保障に関わる事態です。速やかに米国との縁を切るべきでは。」
「縁を切ったところで、相手が本気を出すだけではないか。やはり自衛隊による本格的な国土防衛を優先するべきかと。」
霞ヶ関は攻撃賛成派と反対派に二分していた。
四国沖
「対水上戦闘、用意。」「対水上戦闘、用意。」
「目標は210度、距離、150000。」
「優先攻撃目標に指定」
「目標との連絡を行え。」
「反応ありません。」
「目標、視認しました...あれは、海軍旗...です。」
「どうゆう事だ。」
「日本海軍の軍旗がマストの上にあります。艦橋の形状から、日本海軍の軽巡洋艦と思われます。」
音声通信はおそらく不可能...ならば。
「発光信号を使用してでも、通信を行え。」
"ワレ ニホンコクカイジョウジエイタイ ゴエイカン キリシマ デアル"
すると相手からも返答があった。
"ワレ ナガラ キカンハ ミカタナルカ"
ナガラとはおそらく帝国海軍の軽巡、長良のことであろう。
"キカンノ ヨウハ ナンタルヤ"
"ワレ クレヘ キトウイタス"
「長良は呉へ帰投する模様です。呉への連絡を急ぎ、行ってください。」
"コレヨリ イカナルハッポウヲ キンシスル イカノミ ジュンシュシテホシイ"
"リョウカイシタ"
レーダーによると、おそらく数隻が呉に向かうのであろう。
呉地方総監府
なぜ第二次世界大戦の船が日本にあるのだ。
「乗員全員がうちに入れますかね?」
「いや、入りきらないだろう。上層部の者だけでもうちの隊舎に入ってもらうが。」
さて、ここからどうするか...
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初投稿となります。ご覧の通りタイムワープものです。
登場人物の名前は、実在される可能性もあるため、基本的には階級名のみの場合がほとんどです。ご了承ください。