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9.洞窟探索

 アルマの国を出てから三日。ユヅキは順調に旅を続けていた。目に入る魔物は全てユヅキの練習台となり、魔石へとその姿を変えていっていた。



「それにしても、魔石も一つ一つは小さいけど、流石にちょっと邪魔だし重くなってきたな。ゴブリンの魔石とか、もはやいらないんじゃないかな……」



 売ってもはした金にしかならなそうなゴブリンの魔石は、もう捨ててしまおうかと考えながら歩いていた矢先、視界の先にとうとう洞窟が見えた。二の国に繋がる洞窟である。

 この洞窟さえ越えてしまえば近くに大きめの宿場町があると聞いていたため、ユヅキはようやく見えた洞窟に、魔石を捨てようかという考えを思い直した。



 特に名前もないこの天然洞窟は、一の国と二の国を繋ぐ一番の近道として知られており、ここを通らないのであれば山越えの道しかないため、商人などもよく利用する洞窟となっている。

 しかし、洞窟の中は魔素が溜まりやすいため、強めの魔物が徘徊していることも多く、商人たちは護衛の冒険者を雇って通るのが一般的となっている。



「うーん。それなりに利用されてるって聞いてたけど、誰もいないな。まぁ常に通ってる訳でもないなら、そんなものなのかな」



 ユヅキが呟いたように、辺りには商人の姿も他の冒険者の姿もなかった。

 但し、ユヅキの考えとは違い、普段なら何人かは洞窟の周りにいてもおかしくはないはずだった。

 普段と違う洞窟の様子は、ユヅキにどういう運命をもたらすのか。



 洞窟の中は、冷んやりとした空気がユヅキに緊張感を与えていた。中に入っても商隊のいる気配はない。やはりちょっとおかしいのではと、ユヅキは警戒を強めていた。



「洞窟の方が魔物は強いって言っても、これくらいならまだゴブリンと変わらないな。【コントロール】」



 洞窟内部には、外では強い部類であったコカトリスや、ゴブリン、ウルフなどの上位種が頻繁に襲ってくるのだが、ユヅキは気にしない様子で重力制御を使いながら倒していく。



 スキル全般的なことになるのだが、発動には必ずしも発声する必要性はない。ただし、スキルというのは本人のイメージが強く発動に関係しており、慣れないうちは目的の効果を発声する方が効果が安定し易い。

 ユヅキのスキルも例に漏れずイメージが大切なのであるが、本人曰く『妄想スキルはカンストしている』との事で、確かに必要性を感じて発声したのは最初くらいだ。



 二時間ほど奥に進んだだろうか。スキルを試したり、我流で剣の振り方を練習したりと、ユヅキは戦闘の技術を磨くことに余念がない。

 単純に楽しんでいる節もあるが、ユヅキは本能的に感じていた。スキルは強力、更にまだ使えないとは言え、ユヅキには六つもスキルが与えられている。それでもなお、自身を鍛える必要がある。スキルを完璧以上に使いこなす必要がある。

 それは理屈で考えた訳ではないが、得体の知れないもやもやとした不安をユヅキは抱えていたのだ。



「俺は、強くなる。どこまでも強くなれるはずだ……」






 ーーユヅキ異世界成長物語 STARTーー

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