37.レイム
ユヅキ達は、急ぎドーラムへと向かっていた。
ギルドから依頼を受けて直ぐに旅立ったが、他のパーティは一時間程前に王城から直接情報がいったらしく先に到達していると思われる。
ユヅキはウルカに着いたばかりであり、ミカやレイムもギルドにいたものの、その情報は王城までは行ってなかったらしく、そのせいで名指しで街中を探して伝わった冒険者パーティ達よりも情報が遅れたのであった。
ユヅキ達がドーラムの近くまで来ると、ドーラムから少し離れた場所で既に戦闘は行われていた。
「オーガやタイガーウルフがあんなに……ハイオーガやワイトまでいるじゃないの! ヤバイわよ、あれは」
ユヅキ達の中でも一番魔物に詳しいレイムが即座に戦力差を読み取る。
後方で控えていたハイオーガやワイトも戦場に向かっており、それらが戦場に合流してしまうと冒険者達の戦線は最早耐え切れないであろう。
「早く行きましょう! みんなを助けないと!」
「魔物倒せばいいの? あれ、食べれる?」
真っ先にミカとリアが魔物の群れに向かって飛び出す。狙うは後ろから迫るハイオーガとワイトだ。
「もうー。二人とも敵がAランクだってわかってるのかしら……」
「俺の補助は掛けてあるが大丈夫なのか? 特にミカは魔の森でワイトとは一人で戦えてないだろ?」
心配するユヅキをよそに、レイムも自身の魔力を練り始めていた。
「ミカも、魔の森の経験を経て落ち込んでいた訳じゃないのよー? ユヅキと合流するまでそこまで時間があった訳じゃないけれど、ユヅキの傍にいるのには強くならなきゃって必死だったんだからー。もちろん、アタシもね?」
レイムの言葉と、その身体から溢れる魔力に納得したユヅキも、遅れないようにと魔物に向かって駆け出す。
「そう言うことなら、俺も同じだよ。みんなのチカラのお披露目会と洒落込むかっ!」
そう言うと、ユヅキは一振りの刀を呼び出し、ワイトに向かって”飛び”込んだ。
「さぁーて。アタシもちゃんと遅れないようにしないとねー。ミカちゃん、残念だけど一番槍は譲らないわよー?」
そう呟くとレイムの身体から溢れる魔力が一層強さを増す。その魔力は、右手に嵌められたレイムの付けていた指輪と、左手に嵌められた”新たな”指輪へと収束して行く。
「ワイトの魔石、中々の素材になったわよー。Aランク冒険者として、まだまだミカちゃんに遅れを取ってられないのよー。『飛翔せよ。我が身に宿れ風のチカラ【エア・コントロール】』」
レイムの左指の指輪が輝きを放つと、レイムの身体が宙に浮いた。そのまま凄いスピードでユヅキやミカを追い越すと、戦線へ向かう魔物達の上空へと到達する。
「ここなら巻き込まなくて丁度いいわー。『煌めけ流星の如く。舞い踊れ光の踊り子【シャイン・ダンサー】』」
今度は右指にはめられた指輪が輝きを放ち、光の塊が放たれる。
レイムの向けた手のひらから飛び出した光の塊は、眼下を歩くワイト四体に向かって飛んで行く。
咄嗟に二体のワイトはソレを躱すが、躱し損ねた二体のワイトを光の塊が貫いた。
一度貫いた光の塊はなおも勢いを緩めることなく、何度も何度も舞い踊るようにワイトの身体を貫き続ける。
光の踊り子が、対象を貫き踊り続ける。それが上級魔法【シャイン・ダンサー】の効果である。
その光が収まった後には、二体のワイトは消滅し、影も形も残されていなかった。
ーーユヅキパーティギルドからの依頼 CONTINUEーー




