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33.リアという少女

 私はリア。覚えていることはそれだけ。


 小さい頃何をしていたとか、どこで育ったとかは何も覚えていない。


 気が付いたら傷だらけで森の湖のそばに倒れていた。


 すぐそこには古ぼけた小屋が丁度あったから、そこで必死に身体を休めた。


 日常生活の知識はあったから、不自由は感じなかった。


 傷によく効く薬草とかも何故か知っていたから、近くから採ってきて身体は無事に治った。


 花は好き。


 森も、居心地は良かった。


 花の種類とか、薬草の種類とかは色々知っていたから、食べられるものもいっぱいあった。


 香草でお肉を味付けすると、すごく美味しくなる。


 草花が好きな普通の女の子だったのかな?


 そんなことを考えると、時々頭が痛くなった。


 何かやらなきゃいけない事があったような気がする。


 リアの居場所はここじゃない気がする。


 けれど、頭が痛くなるのは嫌だから、考えないようにした。


 森の暮らしは楽しいし、綺麗な花もいっぱいある。


 でも、ユヅキに会って少し変わった。


 ユヅキはボロボロになって倒れていたのに、強かった。


 あんなに傷だらけなのに、すぐに森を出ようとしていた。


 あのままじゃ死んじゃいそうだから、眠くなる花の香りで眠らせたけど、ほっといたらそのまま魔物と戦いそうだった。


 死なせちゃいけないって思った。


 頭の奥と胸の奥がじんじんして、絶対に助けなきゃって感じた。


 必死に怪我を治して早く旅立とうとするユヅキを見てて、リアも戦いたくなった。


 リアは過去なんていらないと思ってたけど、それは違ったみたい。


 ユヅキを見ていると、リアは前も向いてなかったんだなって思った。


 ずっと、足下だけ見てたみたい。


 前も後ろも見ないようにしてたんだなって思った。


 今、リアはユヅキと一緒にいる。


 一人じゃまだまだ前を向けないけど、ユヅキにひっついていたら前を見れる気がする。


 一人じゃないって、なんか、うれしい!


 そう言えば、ユヅキはリアに斧を創ってくれた。


 かわいい花の彫り込みがしてあるのがお気に入り。


 斧を使わない時には、ブレスレットになるみたい。


 すごく不思議な斧。


 でも、ブレスレットになった時にも花の飾りはついたままなのがうれしい。


 ユヅキは不思議な人。


 ダリアの花……私の知識にはない花だったけど、すごく綺麗で強そうな花。


 いつか、ユヅキと一緒に見てみたいな。


 ユヅキの旅仲間にも、会ってみたい。


 目が覚めてから一人ぼっちだったけど、寂しいなんて思ったことなかったのに、今は一人じゃないのがうれしい。


 みんなで一緒に色んなものを見に行きたいな。



 ーー



「リア、疲れてないか?」



「全然大丈夫だよ? ダリアも、いい感じ」



 ダリアと名前をつけたらしいその特大斧を振り回すリアは強かった。

 スケルトンやトレントなどが襲って来ても、リアの一振りで全て倒れていくのだ。



 ユヅキはというと、こちらも新しい|相棒(武器)となった刀の振り心地を確かめるように、出てくる魔物を一太刀で斬り捨てていっていた。

 退魔のチカラを秘めたその刀は、ゴーストなどには特に効力を発揮するため、道中に相手になる魔物は一匹もいなかったようだ。



 小屋を出て数時間が経った。

 襲ってくる魔物は最初はスケルトンやゴーストなどが多かったのだが、今はトレントやゴブリンの比率が上がっていている。

 やはりユヅキの予測通りあの小屋は魔の森の奥地にあったようだが、出てくる魔物の変化からそろそろ出口も近そうだ。



「そろそろ出口も近そうだな。リアはここを出てやりたい事とかあるのか?」



 襲ってきたレッドゴブリンを難なく斬り捨て、散歩中の様な気軽さでユヅキは声を掛ける。



「うーん。まだわからない。記憶も戻ればいいなって今は思うけど、急いでないからのんびり旅がしたい」



 同じく気軽に返事をしたリアも、その手に持つ特大斧のダリアを振り回し、トレントを一振りで倒したところだ。



「それならやっぱりとりあえずは、三の国に向かって俺の仲間の行方を探すか。っと、魔の森もようやく終点だな」



 二人の視界にはようやく、鬱蒼とした木々が開けた景色が映っていた。





 ーー魔の森攻略 COMPLETEーー

当初の予定よりリアが可愛くなってる気がする……。

皆さんは誰派?

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