24.魔の森
街を出たユヅキ達三人は、二日かけて順調に魔の森まで辿り着いていた。
目の前に広がる森は視界が悪く、立ち入ろうとする者を拒んでいるようである。
「ここが魔の森……か。死霊系の魔物はすぐに出るのか?」
「調査報告では、まだある程度奥に行かないと出てこないと聞いてるわー。ただし、外の魔物はEランクが殆どだったけど、森の中はDからCランクの魔物だらけだから、気を引き締めて行きましょうー」
「Cランク、ですか……。私足を引っ張りそうです……」
ここまでの道中は八割ほどの魔物を倒してきたミカであったが、Cランクと聞いて怖気付く。
「死霊系以外は大丈夫よー。ミカちゃんの戦いを見ていたけど、ミカちゃんも既にDランクなんかじゃ収まらないわよー? 本当に二人とも、規格外よ? これで新米だなんて、そこらの冒険者が見たら信じてくれないわー」
実際、ユヅキは兎も角としても、ミカの戦闘センスもズバ抜けていた。相手は強くてもDランクだったとは言え、戦闘に慣れ始めたミカは文字通り、全て一蹴で片付けていたのだ。
オーガとの戦闘経験は、ミカの戦闘センスを大きく引き上げていた様であった。
ーー
「やあああああ!! ふぅ……。なんか段々魔物が少なくなって来てません?」
レイムの発言通り、ミカはCランク魔物相手にも問題無く戦えていた。
しかし、トレントと呼ばれる動く樹木の魔物を一人で倒したミカは、入った頃と比べて魔物の出現頻度が減ってきた事に不安を感じていた。
「確かにそうねぇ……。そろそろ死霊のテリトリーに入り込むのかもしれないわねー」
「はっ! ふぅ。ようやく、サボってたAランク冒険者の出番って訳か?」
同じくCランクの魔物であるレッドゴブリンを難なく斬り捨てたユヅキが、街を出てから一向に戦おうとしないレイムをからかう。
「意地悪ねぇー、ユヅキくんは。魔力の温存をしてるのは気付いてるくせにー」
「まぁな、冗談だよ。っと、噂をすればってやつか、出番らしいぞ?」
ユヅキはそう言うと、森の奥に顔を向ける。
するとそこには、青白く揺らめく人型のナニカがこちらに向かってユラユラと近付いて来ていた。
「あれが、ゴーストですか……? 私、見るの初めてです……」
「そうよー。人型だけじゃなくて、獣型のモノもいるんだけどね。総じてゴーストと呼ぶわ。ランクはCに位置しているけど、トレントなんかよりタチが悪いわよ」
「ふむ。俺も初めて見るな。よし……はっ!」
ゴーストを観察していたユヅキだったが、唐突に手に持つ剣で斬りかかる。
しかし、モヤを斬るようにユヅキの剣はゴーストをすり抜けてしまう。
「ほぉ。本当に物理攻撃は効かないんだな。おっと、危ない」
近付いてきたユヅキに対して、ゴーストは青白い火の玉のような物を放って攻撃してくる。
「何をやってるのよ……。こいつらには、魔力の通った攻撃しか効果は無いわ……『切り裂きなさい【エア・カッター】』こんな風にね?」
レイムのはめた指輪が光ったかと思うと、ゴーストに向けた手のひらから風の刃が飛び出す。
何本も飛び出した風の刃は、先ほどユヅキの攻撃をすり抜けたゴーストの身体を見事切り裂き、ゴーストはその身体を黒い霧と化し、消えてしまう。
「ちょっと自分で試して見たくてな。それが魔法か、一発で倒すあたり、流石のお手前だな」
「全く、好奇心旺盛なんだからー。ゴーストくらい、大した事はないわよー。あっちの方からまた何体か来てるわね。スケルトンなら物理攻撃も通じるから、そっちはお願いするわねー?」
レイムの言うように、ゴーストが姿を現した方向から再び魔物がこちらに向かって来ていた。
ゴースト二体とスケルトン一体を難なく処理したユヅキ達は、原因を探るべく魔物の現れた方向へと目標を定め、迷う事なく奥地へと歩みを進めるのであった。
ーーユヅキパーティ魔の森の探索 STARTーー




