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2.ユヅキの来た世界

「さて、唐突にすまなかった。ここは、君の居た世界とは恐らく異なる世界だと思う。リスターという世界の二の国、イリス国と言う。儂はイリス王として、国の統治をしておる」



 イリス王の説明を、柚月は淡々と聞いていく。どうやらここはやはり異世界で間違いないようだ。柚月は異世界転移というものをされてしまったらしい。



「とりあえず、君の名前を聞かせてくれんか? 警戒するのはわかるが、転移で呼び寄せてしまった以外に君に危害を加えるつもりはないよ。王の名にかけて、それは誓おう」



 先ほどからずっとだんまりを突き通してきた柚月だったが、丁寧な口振りの王様に少し好感を得ていたため、警戒レベルを下げる事にした。どの道、会話をしなければ情報を得る事もできないのだ。



「ふぅ。すみません、突然のことで何がなんだか……。名前は、日向柚月(ひなたゆづき)と言います。ファーストネームが先なら、ユヅキ・ヒナタとなりますかね? どうして、転移なんて?」



 対話を覚悟したユヅキは、少しでも頭を整理するためになんでも聞く構えだ。混乱はしているものの冷静な対応ができるのは、日頃から読んでいたラノベのおかげと、類まれなる妄想スキルのお陰である。

 妄想は完璧でも、実際に起こるなんて思ったことは流石のユヅキもなかったのではあるが……。



「ユヅキ君……か、良い名だ。そうだな……。聞きたいことも多かろうが、とりあえず簡潔に呼び出した理由と、こちらからの願いを先に話させてもらおう」



 ユヅキが話を聞いてくれることに安堵しながら、イリス王は事情を話し始める。



「実は、この世界は勇者に征服されておるんだ」



「そうですか、勇者に……はぁっ?! え、魔王じゃなくて勇者に?!」



 征服されていると言うのは想定内だったのだが、犯人が勇者と聞いていきなりユヅキは話の腰を折ってしまう。



「驚かれるのも無理はない。その通り、魔王討伐を達した勇者がそのまま魔王城を乗っ取り、世界に勇者法なるものを発し、そのチカラによって好き放題という状況なのだ……。その勇者がユヅキ君の前にこの世界に呼び出された転移者でな。転移者には稀有なスキルが与えられると言われており、そのスキルを使いこなす勇者に誰も抵抗できないということだ」



 想定する内容の一つ、スキル設定が出てきたことに落ち着きを取り戻したユヅキは、少しずつ高揚する気持ちを感じた。



「ユヅキ君にもスキルは与えられているのではないかな? あとで技能水晶を用意させるから、調べてみよう。それとも、先にスキルを調べてみるかな?」



 ユヅキの表情の変化を敏感に感じ取ったイリス王の提案に、ユヅキは少し悔しく思いながらも、湧き上がる好奇心には勝てなかった。



「……はい。色々気になりますが、スキルは正直一番気になります」



「よし、少し待ってくれ。おい、技能水晶をここに」






 見た目は占い師が使うような感じの水晶だ。これに手をかざすだけで、自身のスキルがわかるという。

 ユヅキは生涯一番の緊張と興奮を感じながら、水晶に手をかざす。




『スキル:重力制御』




「おぉ、素晴らしい! やはりユズキ君にもスキルは与えられていたようだな!」



 興奮するイリス王だが、ユズキの興奮も頂点に達している。



「魔法なのか何かまだわかんないけど、重力制御か……色々出来ることは思い付くな。ヤバイな、落ち着きたいのに興奮が止まらねぇ」



 ヒュイイィィーーー……ン



 突如、見たことのあるモノがユヅキの足下に現れる。ソレは眩い光を放ち、ユヅキの身体を包み込む。






 目を開けるとそこは、見知らぬ小部屋であった。





 ーー柚月異世界日常 再STARTーー

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