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17.祝いの酒宴

 ユヅキは元々独りを好む傾向にあった。飯も独りで堪能したい。酒は……こっちでは年齢制限がないから飲めなくはないのだが、まだよくわからない。

 兎に角、静かに自分のペースで堪能するのが好きなのだ。

 だから、こうやってぎゃーぎゃーと騒ぎながら食べる飯は、苦手だ。



「おい! こっち酒の追加頼む!」


「こっちもだ! 肉もどんどん持ってきてくれー!」


「おいおい、うちのテーブルにはかわいいヒーロー様がいるんだぜ? 先にこっちに料理早く!」



 西門でのオーガ騒ぎから2時間ほどであろうか。よりによって、ユヅキの泊まる予定の宿にある酒場で宴会が始まっていた。

 なんでもあそこに宿の主人が居合わせていたらしく、ミカルウィアスを招待したようだった。



「はぁ。宿の選択間違ったな……。しまった」



 先程から何回目になるかわからないため息である。

 なんとか独り席を酒場の端の方で確保したユヅキであったが、エールを片手に男が近付いてきた。



「おう、にいちゃん! なーんかしけたツラしてんなぁ! 今日は祝いの日なんだ、にいちゃんも飲め飲め!」



「いや、俺は酒は……」



「え? にいちゃん酒も飲めねぇのかい?」



 エールを勢いよく飲み干した男が、気軽にユヅキに声をかけたのだが、最後の一言がユヅキに引っかかる。



「別に、飲めなくはねぇよ。飲んでないだけだ。飲めばいいんだろ、ほら、早くエールを!」



「お、おう。にいちゃん大丈夫か? 別に無理に飲めって言ってる訳じゃ……」



「無理してなんかない。ゴクゴクゴクゴク…………ぷはぁ!! ほら、俺も飲めるさ」



 飲めないと言われたのがよっぽど悔しかったのか、ユヅキは一気にエールをあおった。

 初めて飲んだ酒であったが、意外と気に入ったのかおかわりを頼んで上機嫌だ。



「これが酒かぁ……。意外と飲めるもんだな。まぁ、悪くない」



「はははっ! にいちゃんすまなかったな、いい飲みっぷりだ! このエールは俺がオゴっとくから、さっきのセリフは撤回しといてくれ!」



「あぁ、ありがたくもらっておくよ」



 男はユヅキの分のエール代を二杯分机に置くと、今度は別のテーブルへ飲みに行った。兎に角騒ぎが楽しくて仕方がない様子だ。




 酒宴も徐々に落ち着き始め、ぽつぽつと家に帰る人も増えて酒場には人が少なくなってきた。

 残っているのはここの宿に泊まる予定の人と、酔い潰れてそもそも机に突っ伏して寝ている人くらいになっている。



 ユヅキはよっぽどエールが気に入ったのか、四杯目のエールをちびちびと飲んでいた。

 それなりにアルコールには強い体質だったらしく、ふわふわとした酔いの感覚はあるものの、潰れるということにはならずにすんでいるみたいだ。

 そこへ、ふらふらとした足取りで少女が近付いてくる。



「ヒナタしゃん……! 今日ははりがとうごじゃいました! 一人じゃ死んでたと思ひます……」



「ミカルウィアス……。気付いてたのか?」



「”ミカ”です。ミカって呼んでくだはい! ヒナタしゃんはズルいんです」



 誰か……と言うよりみんなに飲まされたのであろう。べろべろに酔いながらも、ミカルウィアスは机を支えにしながらユヅキを問い詰める。



「ズルいってなんだよ、ズルいって……」



「一人でなんでも出来て、一人で先に行っちゃうんです……。らめでふ!」



 酔いで言いたいことが纏まってないのであろう。何が言いたいのかわからない。

 好きに言い倒して、そのままミカルウィアスはユヅキにもたれて寝てしまった。



「なんなんだよ全く。ミカ……か。ふっ」



 折角なのでそのまま猫耳をもふもふと好きなだけ堪能したあとユヅキは、ミカルウィアスの部屋を聞き運び入れ、そのまま自分も自室で眠りにつくのであった。






 ーーユヅキ飲んべえへの道 START?ーー

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