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16.コトの顛末

 ユヅキは西門を出たところで目を見開いて固まってしまっていた。

 他の冒険者が話していた通り、町のすぐそこまでオーガが襲って来ていた。それはいい。

 子供を助けに女の子が飛び出した。ちょっと待て、てめーはダメだ。



「なんっでミカルウィアスが一人でオーガと戦ってんだ……。はぁ。誰か助けに行く奴はいないのか?」



 辺りを見渡すが、皆一人で戦う少女を不安そうに見つめているだけで、助けに行こうという人はいない。

 いや、いない訳ではないのだが、オーガ相手に飛び出す勇気が無いのだろう。どうしようとキョロキョロ周りを伺っている冒険者は何人かいるのだ。



 実際のところ、オーガは強い魔物ではあるのだが、この世界にオーガを倒せる人間が極少数しかいないという訳ではない。

 Bランクの魔物ということは、Bランク以上の冒険者なら倒せる、もしくは足止めや支援くらいなら出来るという意味になる。

 しかし、一の国と二の国を繋ぐ町であるリリームでは、そもそも殆どの魔物がFランクだ。そのため、強い冒険者は何かの用事でもない限りこの町に長居したり、拠点とすることはないのだ。

 今、キョロキョロと慌てている冒険者たちも、皆EからDランクの冒険者たちなのだ。パーティを組んでいる者も多いが、Dランク冒険者では、よほど死の危険とトレードオフにでもしなければオーガとは渡り合えないだろう。



 そうこうしている間にも、ミカルウィアスの奮闘は続いている。しかし、先ほどから何回か攻撃を当ててはいるものの、オーガにダメージがある様子はない。

 オーガの攻撃を避け続ける俊敏さは大したものだが、攻撃力には乏しいようだ。



 あまり目立ちたくないため、観客となると決め込んで西門まで来たユヅキではあるが、流石に知り合いが戦っているとなるとその心は揺らいでいた。



「応援に誰も行かないってことは、みんなレベル不足ってことか……。いつまでもミカルウィアス一人で戦わせても埒があかないか……」



 その時だ、オーガの隙に渾身の力を込めた一撃を放とうとしたミカルウィアスが、足を少し滑らせて逆に大きな隙を見せてしまう。

 そこにオーガの巨大な棍棒が振り下ろされ、心配して見ていた人々は目を瞑ってしまう。



 しかし、ユヅキはしっかりとそれを赤い瞳(・・・)で見つめていた。



 突如、棍棒からギリギリで抜け出したミカルウィアスの反撃が始まる。

 今までよりも一層速いスピードでオーガの目の前まで飛び上がったミカルウィアスは、オーガの顔面に向かって思い切り蹴りを放つ。



(ここで、もいっちょ【重力制御】)



 ユヅキの重力制御のチカラを得て重さを増したミカルウィアスの蹴りは、オーガの巨体を倒れさせることに成功する。

 ユヅキは遠くからタイミングを見計らいインパクトの瞬間だけ、尚且つミカルウィアスの右脚だけの重力をオーガに向かって加速させたのだ。



 言うだけ、結果だけ見れば誰しもが納得する効果なのではあるが、これはかなりの高等技術である。

 本人もそこまでの意識はなく、『まぁ、初めてだったしちょっと大変だったな』と言ってのける程度にしか思ってはいないのだが、実際ここまでの精密なスキルのコントロールは、一般の冒険者には不可能に近い。

 コントロールの精密さは、イメージ力の強さと比例すると言われている。初めてで、しかも危険を察して突然行ったのに完璧なコントロールを見せたユヅキは、もはや天才という言葉でも収まらないのかもしれない。



 そのまま、地響きを起こしながら倒れたオーガに向かってミカルウィアスを加速させ、オーガは見事にミカルウィアスによって倒された。



 その後、しばらく西門前は新たなヒーローの誕生に湧き返るのであった。






 ーーユヅキ猫使いの称号 GETーー

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