12.初めての旅仲間
ぐったりとその場に倒れた少女は、恍惚を表したような、疲労を浮かべたような、そんな表情をして倒れこんでいた。
息も途切れ途切れだが、決して苦しんでこの様な状態に陥った訳ではなかった。
「ご、ごめんな。久しぶりの猫要素で我を忘れてしまってた……」
「い、いえ……。大丈夫……です。はぁはぁ。嫌だった訳では、ありませんから……。ふぅ、少し落ち着いてきました」
ユヅキの暴走によって弄ばれたミカルウィアスであったが、ユヅキの猫への愛は凄まじく、本人の『猫スキルはカンスト余裕です』との言葉の通り、ミカルウィアスは恍惚の表情で、その場に崩れ落ちてしまったのだ。
「よし、歩けるまで落ち着いたなら、さっさと洞窟を抜けて先に進むか。目的の方向が同じなら、行こうか」
「え、いや、あの……なんかこういう時って、何故こんなところに一人で? とか、一人で何をしようとしてたんだ? とか、そういう感じになるんじゃないんですか?!」
「え? 猫耳、尻尾、毛並みの素質良し、他に何が? 事情はそりゃ、人それぞれあるだろうし、別に……」
元々猫耳に極端な反応を示しただけで、特に身の上話に乗る気はなかったユヅキは、唖然とするミカルウィアスを置いて先に歩みを進める……。
置いて行かれてはたまらないと、慌ててミカルウィアスも後を追うのであった。
「ん……っく、あーっ! やっと洞窟を抜けたなぁ。思ったより長かった」
「はぁはぁ。ヒナタさん、速いですよぉ……。この後、どうされるんですか?」
二人は更に二時間ほど歩き続けて、ようやく洞窟を抜けた。ちなみに、一応スキルをあまり見られたくないユヅキは、魔物との戦闘では剣の練習を兼ねて、スキルを使わずに切り抜けていた。
「この後か? 近くの宿場町で一泊か二泊したら、二の国へ向かうつもりだ。安心しな、宿場町までは猫耳のお礼にちゃんと送り届けるさ」
「いや、あのですね……えっと……。よかったら、いえ、是非! 私を一緒に連れていって下さい!!」
「ん? あぁ。だから言ったろ? ちゃんと宿場町まで連れて行くから安心しろよ。よし、それじゃ日暮れまでには着きたいから、行くぞ」
「いや……。そうじゃないんですけどぉ……。はぅ。あ、待って下さいよー!」
勇気を振り絞って、旅の仲間にして欲しいと頼んだミカルウィアスだったが、誰かと共に旅をするということを全く考えていなかったユヅキには、ミカルウィアスの願いは全く届かなかった。
洞窟を抜ければそんなに危険はなく、宿場町までの道程はスムーズに進んだため、ユヅキは魔石の換金が出来そうだと一先ずほっとしていた。
日暮れ前に、ユヅキとミカルウィアスは無事に宿場町リリームまで辿り着いた。
ーーユヅキ異世界猫と旅 CONTINUEー
猫スキルはカンスト余裕です。




