10.洞窟の出会い
「ステータス・オープン!」
しかし、なにもおこらなかった!
「…………やっぱりステータス画面は出ないのか」
休憩無しに洞窟を三時間ほど探索していたユヅキだが、魔力の減少を感じて途中で休憩を取っていた。
その際になんとなく叫んでみたのだが、特に何もおこらなかった。
「まぁ、見えないなら見えないでいいんだけとな。にしても、魔力量はやっぱり増えてる気がするなぁ……。レベルの概念は有るのか無いのか……。あるとしても、通知は無いしなぁ。ステータスが見れないとしたら、レベルなんてあっても無いのと一緒か」
ユヅキは休憩の合間に、自身の能力の上げ方を考えていた。元の世界のゲームなどを参考に色々と推測をたてているのだ。
「となると気になるのは、基本ステの上げ方だよなぁ。やっぱり基礎体力は筋トレか? ただ、日本にいた頃よりは基礎能力は補整かかってるんだよなぁ。明らかに早く走れるし、疲労も少ないもんな。それより、なんとかしないといけないのは魔力量だな……。使えば使うだけ、って可能性はやっぱりあるな。実際確実に魔力量は増えてるしな。まぁ、結局推測の域を出ないんだけどな」
保存食で空腹を満たし、休息することである程度の魔力の回復を感じたユヅキは、そろそろ出発しようと立ち上がる。
このタイミングで休憩を挟んだのは、理由があった。この道の奥に、ナニカの気配を感じたのだ。
ユヅキの感覚はこちらの世界に来てから研ぎ澄まされていっていた。日本にいたころは、少し遠くの気配を感じることなど出来なかった。魔物の脅威からなのか、魔素の影響なのか、ユヅキの感覚は数倍も鋭くなっていた。
グガァァァァァァアアア!!
「やっぱりか。別にこんな読みなんて当たらなくてもよかったんだけどなぁ……」
巨大な身体に鋭い牙。右手には、ユヅキの身体よりもふた回りも大きい棍棒を引きずっている。オーガと呼ばれる魔物だ。
ユヅキを視界に捉えたオーガは、躊躇することなく棍棒を振り下ろしてくる。
「ちっ。いきなりかよっ!」
ガガーーーン!!
洞窟全体が揺れるほどの衝撃に、叩きつけられた地面が大きくへこんだ。
ユヅキは大きく横に飛び退いてすぐ、自身に重力制御を使い、オーガの顔の横に向かって落ちていく。
すれ違い様に、オーガの顔を切り裂く。ユヅキが得意とする攻撃の一つだ。
「かってええええ! くそ、この剣と今の俺の腕じゃあ、大したダメージは与えられないな」
ユヅキの言う通り、オーガの顔には切り傷はできているものの、オーガには殆ど効果はない。分厚くて硬い皮膚は、オーガへのダメージを最小限に抑えてしまう。
むしろ、今の攻撃に怒りを覚えたオーガの攻撃は、先ほどよりも激しくなっていた。
「しゃーないか。こんなところで手こずってる訳にはいかないんでな。【重力制御:圧縮】」
コカトリスに試した重力圧縮だが、ユヅキはオーガの巨体を包み込むのではなく、自分の目の前の空間を圧縮させ始める。
そして、圧縮したその空気を、思い切りオーガに向かって放つ……!
「よし、喰らえ。【エア・ボール】」
ユヅキが放った圧縮した空気は、オーガの胸元へ一直線に向かい、見事に着弾する。
その瞬間、ユヅキは圧縮していたスキルを解放した。
バアァーーーーーーンン!!!!
解放された空気が、爆発を起こしたかのような衝撃を放ち、オーガを吹き飛ばした。
衝撃により胸元が陥没するほどに圧迫され、尚且つ吹き飛ばされて洞窟の壁に激突したオーガは、他の魔物と同じように黒い霧となり消えていった。
あとに残されたのは、今までの中で一番大きな魔石と、大きくへこんだ壁だけであった。
ーーユヅキ初ボスっぽいの COMPLETEーー
戦闘シーンは楽しいです。
もっと主人公にはかっこよく活躍してもらいたいですね。




