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1.初めての異世界

 夏休みが終わり、一人の高校生が気怠そうに始業式という名の地獄に向かって歩みを進めていた。

 少年の名前は日向柚月(ひなたゆづき)と言う。短髪の髪に身長は170cmほど、鋭い目付きが悩みのタネのどこにでもいる高校生だ。



「あー、怠い。昨日まで散々ゲームとラノベ浸けの毎日だったから、夜更かししすぎた……。やっぱり昨日くらいは早く寝るんだった」



 欠伸を噛み殺しながらゆっくり歩く柚月の日常は、この言葉を最期に終わりを告げる。



 ヒュイイィィーーー……ン



「ふわぁー……あ?!」



 突如として柚月の足下に現れた魔方陣が、目も開けてられない程の光を放ち、柚月の姿を覆い尽くす。

 咄嗟にその場から離れようとする柚月だったが、身体の自由が効かず逃げる事はできなかった。

 それは、これから待ち受ける、柚月の逃れられない運命を示唆するかの如く、柚月から選択肢を奪うのであった。





 ーー柚月日常パート THE ENDーー



 自分を包む光が収まったと感じた柚月がゆっくりと目を開けると、ほんの10cmほどの目の前に、安堵の表情を浮かべる老婆が居た。



「のわっ!! 婆さん?! え、あ、身体動くな……」



 驚いて後ろに飛び退いて距離をとった柚月は、自分の身体の自由が戻っていることに気付いた。

 改めて周りを見渡すと、そこは何処かの小部屋のようであった。ただし、壁中に幾多の魔方陣が描かれているという違和感。また、目の前の老婆の格好も現代の物とはまるで違う。

 よく見ると、老婆の背後には如何にも(・・・・)な格好をした王様らしき人も見える。



「ふむ。マイラよ、どうやら成功のようだな?」



「はい。この老いぼれの魔力では成功の確率は低かったですが、なんとか転移に成功したようですじゃ。イリス王」



 目の前で柚月を置いてけぼりにしながら進む会話に、柚月は静かに耳を傾けていた。



「少年よ、いきなりの事で驚きや疑問は多かろうが、すまぬがここで話をするのもなんだからな、付いてきてはくれぬか?」



 思ったよりも丁寧な、この口髭をたくわえた男……イリス王と呼ばれていたことから、やはり見た目通り王様なのであろうこの人の提案に、柚月はゆっくりと頷くことで肯定の意思を示す。

 反抗や狂乱の様子がない落ち着いた返答に、ほっとした表情を浮かべたイリス王は、マイラと呼ばれた老婆と共に部屋を出る。






 数分で三人は、質素な調度品が置かれた応接室の様な場所に着き、ソファに座る。

 すぐにメイドとおぼしき女性が、飲み物を運んできたが、柚月は警戒を続けていた。



 柚月の運命の歯車が一つ、クルクルと回り始めた。






 ーー柚月異世界日常 STARTーー

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