クリスマス、センパイと。
クリスマスなので書きました
「こんなクリスマスまで部活だなんて…」
目の前にいるセンパイが声を漏らす。
センパイと私はたった2人の文芸部だ。
「私とじゃ、嫌なんですか?センパイ」
私はこのセンパイのことが好きだ。
でも、全く届かない。
「嫌じゃないよ」
そういって、センパイは微笑む。
こういうところがセンパイのずるいところだ。
「そ…そうですか」
嬉しい。本当に嬉しい。
「どした?」
「別に!」
私は全く気づいてくれないセンパイにそっぽを向いてやった。
「それにしても、寒いなぁ」
「そうですね」
私らの吐く白い息は冬を感じさせられる。あぁ、寒いな。よし、隣に行ったら少しは温かくなれるかな?
「この方があったかくないですか?」
私は上目遣いで訊いてみる。
可愛いかな?
センパイはすぐに目を背ける。
温かいというより暑い。主に顔が。
「どうしたんですか?」
嫌われてしまったのだろうか。
「いや、大丈夫」
「それよりもお前大丈夫なのか?」
センパイが急に質問してきた。
「何がですか?」
「今日は予定ないのか?クリスマスなんだし」
「ありませんよ。それに私はセンパイと2人が」
恥ずかしくなり声が小さくなると共に途中で言えなくなってしまう。
「それに?」
センパイは聞き返してきた。
聞こえなかったよね。
「なんでも…ありません」
もう一回言うなんて無理。
「そうか…」
「それでも、一緒に過ごしたい人とかいるのか?」
だから、あなたとですよ!この鈍感!
馬鹿!センパイ!…好き。
「……バカ」
私は全く気付かないセンパイに言葉を漏らす。
「え?」
「そんな人いませんよーだ!」
私は声を大きくした。
センパイ以外、そんな人…。
「ねぇ、センパイは誰か一緒にいたい人っているんですか?」
私はさっきの仕返しで訊いてみる。
もし、いたら。
「えっ…あぁ、まぁな」
いるんだ。私の心は落ち込んでしまう。
「そうですか、ならその子のところ行ってあげたらどうですか?」
つい、冷たくしてしまう。
「いや、でもその子とはまだ何もないから」
その言葉に私はホッとする。
でも、そんな自分に最悪な気持ちになってしまう。
「何もないですか…」
好きな人には好きな人と一緒にいてほしい。
「どうして、君が俯くの?」
「乙女心は複雑なんですよ」
鈍感で馬鹿なセンパイにはわからないでしょうね。
「そうなの…?」
「センパイは本当に乙女心がわからないんですね、勉強した方がいいですよ」
本当に勉強してください。私の心が持ちません。
「はは…」
「だから、私が教えてあげましょうか?」
何を言ってしまったか。自分でも分からなくなる。もういいや、限界です。
自分のセンパイへの想いをぶつけます。
「え!?」
私はセンパイに体を近づけていく。
「もう限界ですよ。いいこと教えてあげます」
あぁ
ドキドキしてるなぁ私。本当に好きなんだ。
「私、センパイのこと好きなんです」
今までの想いを込めてセンパイに告白する
「俺は…」
センパイから言葉が返ってきた。
その言葉を聞くと私はポロポロ涙をこぼし出した。
「ごめんな。」
センパイは謝った。
一年が経ち、再びクリスマスの日がやってきた。
そして、私は去年と同じく部室にいる。
去年と同じく、センパイと2人きりで。
一つだけ、去年と違う点がある。
それは、センパイが俺の大切な彼氏だということだ。
大好きで愛おしくて大切でずっと守ってあげたいこの世界で1番の男性ということ。それは去年のクリスマスにはなかったものだ。
「センパイ、あれから一年ですね」
「そうだな、あの時は急に泣くから驚いたんだぞ」
センパイから返ってきた言葉。センパイも私が好きだと言うこと。
「だって、嬉しかったんですよ。私の願いが叶って」
本当に嬉しかった。
「いい子にしてたからサンタさんがくれたんだよ」
「馬鹿言わないでください。この鈍感センパイ!」
本当にここまで来るのに困ったもんだ。
私は思わず頰を膨らます。
「だから、謝っただろ。気づいてやらなくてごめんって」
そう、このセンパイは気づいてやれないことに対して謝った。
「それがいけないんですよ、謝らないでくださいよ」
ほんとにこのセンパイはダメダメだ。
まぁ、それでも好きですけど。
「そ、そうなのか?」
「そうです!センパイはまだまだ乙女心がわかりませんね」
「あぁ、そうだな。だから、お前が教えてくれるんだろ?」
センパイがそう訊くと、私は真っ赤になる。
「はい、教えてあげますよ」
「なんでそこまでしてくれるの?」
センパイはたまにイジワルをして来る。
「好きだからです」
いざ、言葉にすると恥ずかしくなる。
「聞こえないよ」
「大好きだからです」
声を大にして言う。
「ありがとう」
センパイは微笑む、その笑顔に少しイラっとする。
「お返しです」
そう言うと、私はセンパイにキスをした。
「可愛いですね、センパイ」
甘えてやる!私はまるで猫のようにセンパイにすりつく。
センパイは時計に目をやる。
「そろそろだ、行こうか」
「はい」
私らはこの後クリスマスツリーを見ることになっている。
私は今幸せだ。愛しい彼氏とのこの時間が。この関係が永遠と続いて欲しい。
「なぁ、後輩」
「はい、センパイ」
私とセンパイは見つめ合い、微笑む。
「「大好きです(だ)」」
こんな寒い中、こんなことしている2人がいるのでしょうか
ぜひ、いてほしい!いてくれ!
それでは、「クリスマス、後輩と。」
であいましょう
みなさん、楽しいクリスマスを。