超短編小説 ヘッスラ、タックル、ブロック禁止は俺のためのルールという谷くんが甲子園にやって来た。
甲子園初出場は、一回戦、九回裏一死一塁、二対二の出来事だった。
「代走、谷!」
そのとき、俺は涙を拭うこともできず、女子マネが俺の顔を拭った。
注目を浴びながらの一塁。俺は牽制球には足から戻り、そして打者の林への二球の間、俺の瞬足は三塁を陥れていた。
三球目、動揺した打球を林は見逃さず、外野に運び、そして…。
翌日、新聞には『両腕の無い走者、犠飛サヨナラ』の文字が躍った。
何を言われようと俺の夢は続いていく。