純白のMadonna
「愛してるよ」
と微かに聞こえる声で呟いて、君と出会える日を夢見て静かに目を閉じる。
その一つのちいさな音は暗くて静かで月と星の光だけが差し込む静かな部屋の中の空気をちいさく震わせ、部屋の中を動きまわり、ひとつのちいさな声となった。
その頼りない一言はそんなに必要で大切なものだったのだろうか?
それはどうだか分からないけれど、その一言がない限り一生君に会えない気がしてずっと毎日毎日こうやって眠る前に呟く言葉。
この世で。いや、もしかしたらあの世で。もしくはどこかで存在しているはずの一番愛する君へ。
君はきっと、よく似合う真っ白のワンピースにひらひらのついたつばの広い帽子をかぶってどこかからどこかへ吹く途中の優しい風に吹かれてる。
その風に吹かれる長い髪を一生懸命に押さえながら。
そこでふときらきらと輝く青空と君の真っ白のワンピースと真っ白の帽子、そして何より白く輝く君のその肌と、そこにいるだけで優雅な雰囲気で漂っている君と何か
同じ匂いを感じるような清潔で清純なあの雲を眺める。
僕はここで同じときを共有しているよ。と、自分が出しゃばって仕方ないのだけれど遠巻きにこうやって見る君はとてつもなくきれいで美しい。
肝心の君の顔はこんなふうにもう何日も経っているのに、ピントがぼけている感じで今だによく分からない。
なんとなく当てはまる感じがあるのだけど、それが誰か僕の近くにいる人やテレビに出ているきれいな女優なんかの顔を取ってきているのではないかと思うと、急いで
首を振ってそんな顔なんて消してやる。
君は僕が一番美しいと想う人だ。
そこらへんにいる人間たちと一緒にしてたまるかと、ときには目に涙を溜めて泣くこんな自分は救いようのないバカだと思うのに、そう思いきれない。
そんな言葉でこの気持ちを誰かによって、もしくはこの自分によって片付けることのほうが救うに足りないバカだ。
そう信じて疑わず、また疑うことができずに枕を濡らす僕はやっぱり救いようがない・・?
多分。
と言うか、絶対と言ってもおかしくないと思う。
君はこんな僕のことをまるでどんなにちいさなひとカケラも1?でも知らないだろうし、僕も君のことを知らない。
そんなふうに冷たく思う気持ちもあるけれど、僕の心の中の何%かの気持ちが、そのひとつのちいさな感情が、僕を引き止めて離してくれない。
最終的にはその気持ちに僕自身が虜になって一生懸命についていっている始末だ。
本当にバカみたいだ・・。
僕の気持ちは君を疑う冷たい気持ちと信じて疑わない熱い君への気持ちで矛盾を幾度も繰り返す。
これは僕の優しさでも何でもない。
捨てられない気持ちが片隅にどうしても残ってしまうのだと思う。
君が僕の手に届く距離にも、走っていけるところにも、世界最速の新幹線やジェット機であれ、いないことは十分分かっていると思う。
別にそんなことに夢を見ているんでも何でもない。
でも、もしかしたらそう思う気持ちもあるのかも知れない。
本気で会えるなんて期待してる訳でもない。
それでも、確実に期待してしまうときも本当はある。
まるで二重人格のそれみたいで自分でも嫌になる。
見切りをつけるべきかどうするべきか・・・。
愛しい君をもてあます訳にはどうしてもいけないし、かと言って、自分をもてあますのもいけないだろうなぁ。
もしかしたら、本当に考える気持ちすらないただのお騒がせかも知れないとも思う。
それでも、説明のつかない君への想いが確実に君を愛している。
自分の思ったことや行動を全て正当化しようする性格なんかでは全くないと言っていい。
ただこの気持ちがあるだけ。
こんな想いに任せようと思っている。
多分、そこに哲学や心理学めいた理由なんて1?もいらないはずで、こんな自分なら無理にでもそれ探してしまって途方に暮れそうで嫌になる。
こんなにも薄汚いこの僕が住む世の中で、君はひときわ輝いていてもうそれだけで君がこの世に存在していないという何よりの証拠を突きつけられたような気持ちに
なる。
きっとこの世で暮らしていれば、そんな君でも少しずついろんなことを覚えて少しずつでも汚れていってしまうだろう。
会えないのは寂しいけれど、僕は君をいつまでも見ている。
それに汚れていってしまう君を見るのは、誰と言わずこんな僕がこの世で一番悲しくなるだろうから。
今日もちいさな声でこの部屋をちいさく震わせ、静かに目を閉じる。
君に会える日を夢見て。
「架空の女性を一生懸命に愛する」と言うテーマで書きました。しかし、あたしの書き方の不足部分やいろんな部分で伝えたい事と異なっているかもしれませんが、自由な感じ方で読んでくれればいいと思います。
読んでくださってありがとうございました。




