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05 空耳

 僕は担任からの頼まれ事のため、ファーを探して校内をうろうろしていた。普通の生徒が昼食をとるこの時間、ファーは教室から消える。彼女には確かに食事の必要がないが、では一体どこで何を?

「何してるの、こんなところで」

 僕がファーを見つけたのは視聴覚室だった。普段は施錠されていて、その鍵は職員室で管理されているから、彼女はわざわざ教師から許可を貰っているのだろう。人がいなくて静か、居心地はよさそうだ。

「充電中です。テスさんこそ、何か?」

 椅子に掛けた彼女の腰の辺りからはコードが延び、その先はコンセントに刺さっている。市販の家電と同様に充電可能だなんて、さすがは『ナナミヤ』製。しかし、少女と電気コード――なまじファーが可愛らしく作られているだけに、シュールな光景だ。

 制服をたくし上げたコードの出所からは肌色が覗いている。人工皮膚だとは分かっているが、ロボットとはいえ仮にも女子だ。気を回した僕は手早く伝言を伝えると「お邪魔みたいだから」と早々にお暇することにした。

「別に構いませんよ、テスさんなら」

 後ろから追ってきた声は果たして現実か、それとも空耳だったのか。僕は、逃げるように視聴覚室を去った。

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