表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/25

17 右に曲がります

 終業式。世話係としての僕の最後の仕事は、見送りだった。

 他愛無い会話の間に、僕たちは校門へとたどり着いてしまった。ここを出て右へ曲がれば、ファーはいつものように研究所へと帰り――そして、いなくなる。

「本当にお世話になりました。世間知らずの機械の相手は、大変だったのではないですか?」

「確かに、戸惑ったけどね」

 僕の素直な言葉に、ファーは俯き、恥ずかしそうに笑った。

 はじめは、ロボットのお守りなんて嫌だった。

 しかし今は、一年前の彼女には無かった優しい表情が僕を満たしてくれる。僕は、ファーが誰よりも人間らしく、可愛らしいということを知っている。

「今、ファーは僕にとって、ちゃんと一人の人間だよ。今さらこんなこと言ったってファーは困るだろうけど、明日もあさっても、ずっと一緒にいたかった。……君が、好きなんだ」

 ファーは目を丸くして立ち尽くしていたが、やがてその場にしゃがみ込んでしまった。

「あり、が、とう――」

 顔を隠すように覆う両手の奥から、かすれた声の後に嗚咽が漏れ出す。泣きじゃくる彼女の肩に触れると、かつてないほどに熱かった。

「研究所まで、送るから」

 それは、僕にできる最後の抵抗だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ