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16 CMの間に

「今日は、女性が男性にチョコレートを贈る日ですよね」

 そう言って、ファーは僕の目の前に小さな紙袋を突き出した。

 これは、と思わず喜びかけたものの、僕はすぐに心の中で首を振った。彼女は以前、好きな人がいると言っていたはずだし、何より、ファーが本命と義理、そもそもバレンタインの意味を知っているとも思えない。

「チョコチップクッキーです。レシピ通り正確に作りましたので、おいしいはずです」

 照れの一つもない真っ直ぐな彼女の目に、これは分かってないだろうと改めて思う。まあ、例え深い意味はなくとも、彼女から貰えたということだけでも嬉しいのだが。

「ありがと。甘いもの好きだし、喜んでいただくよ」

「それは、作って良かったです」

 手ぶらになったファーは、僕の言葉ににこりと笑った。その後もなぜかその場に佇んでいる彼女に、僕はたまらず声を掛ける。

「ん、どうかした?」

「……いえ、何も」

 では明日、と言い残して、ファーは教室を後にした。

 受け取った袋は、意外に軽い。何気なく振ってみると、お菓子の包みらしきものが乾いた音を立てた。普通に食べたら、三十秒かそこらでなくなってしまう量だろう。

 さて、どうしたものか――。

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