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「私と、寄り道しませんか」

「どうしたの、突然」

 ファーが大真面目に言うので、僕は思わず聞き返した。大抵は学校が終わるとナナミヤの研究所に直行している彼女が、今日に限って、いったいどういう風の吹き回しなのか。

 彼女は眉を寄せると、小さく呟く。

「……実は、研究の一環なんです。自由行動時の感情変化を見たいとのことで」

「ふーん」

 僕にはよく分からないが、ロボットの寄り道はナナミヤにとっては貴重なデータになるらしい。

 ファーが全く意識してくれていないということは少々悲しいが、理由は何にせよ、これはデートに違いない。そのパートナーに僕を選んでくれたのなら、喜んで実験台になろう。

「気を悪くされましたか?」

 僕を見つめる灰色の瞳が不安げに揺れている。

 沈黙が誤解されてしまったのかもしれないと、僕は慌てて首を横に振った。平静を装いつつ、ファーに尋ねる。

「どこか、行きたい場所とかある?」

「私はそういったことに詳しくないので、テスさんに教えてもらおうと思いました」

 ファーは妙に自信に満ちた表情でそう口にした。どうやら、責任重大みたいだぞ――胸の中で嬉しい悲鳴を上げながら、僕は教科書を鞄に収め始めた。

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