プロローグ
「くぁ~」
俺、神野 涼平は一番後ろ窓際の席で6限目数学終了5分前に大きな欠伸をひとつした。
300秒前・・・
250秒前・・・
200秒前・・・
150・・・100・・・
10・・・9・・・8・・「神野!外ばかり見てないでちゃんと聞け!」
怒られてしまった。
「テヘッ」
「んーもう可愛いから許しちゃう・・・ってなんでやねん」
おお、ノリツッコミ!と感心していると
「お前さぁ・・・成績アレなんだから授業くらいまともに聞け」
「はぁ~い。」
「ったく、お前はよう・・・」
と、数学のおっちゃんはブツブツ言いながら出て行った。
おっちゃんと話していたら授業が終わった事に気づかなかった。
みんな帰り支度を済ませていた。
俺も急いで帰り支度を済ました。
俺は下駄箱に急いだ、待たせている人がいるからだ。
「待ったか?」
「いや、それほど待ってない。」
こいつは岡本 聖二、登下校仲間兼親友。
学年主席、運動神経抜群、でも、ちょっとめんどくさがり。
こいつとは中学からのつきあい。あっ、俺達高一だからね。
俺達二人とも両親がいない。
「んじゃ、行くか」
そんなわけで通学路を歩いている。
「あっちぃ~、あと、一ヶ月で夏休みかぁ」
「そうだな。俺は夏の課題に出そうなところ終わらしたぞ。」
「はぁっ?!速すぎんだろ」
「そんなことはない。休み中に課題をやるのはめんどくさいからな。」
「じゃあ、俺のを手伝って、頼む!」
「ヤダ、めんどい、自分の課題くらい自分でやれ。」
「そこを、そこを頼むよ~」
「ヤダ。」
ちぇっ、ケチで冷酷で残酷で鬼畜な奴だ。
「俺はそんな酷い人間じゃないぞ。」
「笑顔で心読むなよ」
あなたのその百点満点の笑顔、怖いです。
「言いたいことはそれだけか?。」
「そう言いながらメリケンサック装備しないでください」
「謝ったら許してやらないこともない。」
「ホントーニ、スミマセンデシタ」
「うむ。」
「ってか、なんでメリケン持ってんの?」
「護身用。」
「あぁ、ソウデスカ」
なんて、いつもと変わらない調子で通学路を歩く。
マンションが同じなので分かれる必要もない。
「お前、夏休み中、なんか予定ある?」
「特に無いが。」
「じゃあ、どっかいこうぜー」
「二人だけでか?。」
「それもなぁ」
「あてはいるのか?。」
「つーか、お前、モテんだから誰か誘えよ」
「めんどい。」
頭良くて、運動できて、顔もイケてる・・・モテない要素がねえ・・・イケメンなんて絶滅してしまえばいいんだ・・・。
「お前を絶滅させるぞ。」
「ヒィッ、スミマセンデシタ」
また、心読みやがって。
「なんか思ったか?。」
「もう、心読むのやめてぇ」
なんて、やり取りをしていると
「なあ、聖二」
「何だ?。」
「なんか、前から来てないか?」
「ん~。なんか黒いのが来ているな。」
俺は目だけは良い。目を凝らして見た。
「なにか分かったか?。」
「ん~も~ちょい待って」
確認できた。
「なんだ、アレは・・・」
こっちに向かって来ているもの。それは、不気味な真っ黒い二本の腕だった。
「お、おい逃げるぞ!」
「?なんでだ?。」
こいつはまだ確認できてないようだ。
「いいからっ!」
そう言って俺達は走り出した。
「あれは何だ?。」
聖二が質問してくる。
「あれは手だ手っ!真っ黒い手だっ!」
「本当か?。」
「マジだ、マジ!大マジ!」
「ふむ・・・。」
なんでこいつはこんなに落ち着いてるんだ。
「と、とにかく考えている場合じゃねぇ!全力で走るぞ!」
「ああ。」
聖二と同じくらいの運動能力があって良かったとこの時、本当に思った。
十字路を右に曲がる。まだついてくる。狙いは俺達だ。
「まだついてきやがる!」
「まずいな。」
かなり走った。俺達の体力も限界だ。
「うおぅ?!」
後ろばかり気にしていたせいか、ガードレールにぶつかってこけてしまった。
「いっつぅー・・・」
「おい!大丈夫か?。」
「まぁ大丈夫なんだけど・・・俺達終わったかもな」
あの真っ黒い手がそこまで迫っていた。
「ああ。もう、どう足掻いても無理だな。」
俺達は死ぬ決意をした。
そして真っ黒い二本の腕は俺達をつかんでこの世界から消えてしまった。
駄文ですがよろしくお願いします。