『雁とプレスマン』
掲載日:2026/02/21
山奥に、母親と子供が住んでいた。あるとき、二人して町に用を足しに行く途中で、大きな雁が飛んできて、子供がさらわれてしまった。母親は、鳥に詳しいわけではなく、本当は雁かどうかはわからなかったが、仮に雁としておく。母親は、慌てふためいて、仮に雁と定めた鳥に石を投げたり、罵声を浴びせたり、かりかりしていたが、仮に雁と定められた鳥のほうは何とも意に介さず、子供の姿はどんどん小さくなっていく。母親は、子供の父親の形見のプレスマンに、子供を助けてくれるよう念を込めて、仮に雁と定めた鳥に目がけて投げると、当たったようにも見えなかったが、子供は自由落下を始め、母親は、やってはいけないことをやってしまったと反省したが、今さら言っても仕方がないので、とりあえず、子供が落ちていったあたりに走って駆けつけると、そこには二本のプレスマンが落ちていただけだったという。
教訓:高く積まれたわらの上に落ちて助かった、というような話をよく聞くが、この話は、そこまで続かない。




