友だち
_夢を見た。
「お嬢様、もう起きるお時間ですよー」
「うぅん…」
薄っすらと目を開けると、カリナがテーブルの上に料理を並べているのが見えた。
「…おはよう」
「おはようございます、お嬢様」
カリナたちにされるがまま服を着せてもらって髪を整えてもらう。
「お嬢様のお好きな赤いリボンを付けておきますね」
鏡に映ったあたしは、眠そうな顔を除けば完璧だった。
白いレースのワンピースにピンク色のカーディガン。魔王特有の長い黒髪がポニーテールにされている。そして飾りに瞳と同じ色の赤いリボン。
「お嬢様は今日もお美しいですね」
カリナが微笑むと、後ろにいた侍女たちもコクコクと頷いた。
「ヴァネッサ様よりお美しいです」
「まるで天使のようです」
「えへへ、ありがとうみんな」
カリナが並べてくれた朝ごはんを食べていると、窓が軽く叩かれた。
「お嬢!今日もオイラたちと遊ぼうぜ!」
そう言って窓から勝手に入ってきたのは、悪魔のマルコスだった。天使たちと同じで、手のひらサイズで可愛い。でも100年は生きてるんだって。
「うん!ご飯食べ終わったらね!」
「やった!じゃあ外で待ってるから早く来いよ!」
マルコスがくるんと宙返りをして窓の外へ消えていった。
そんなマルコスにカリナが小さくため息を付いた。
「あまり遠くにいかないでくださいね」
「はーい!」
フォークを握り直して、はちみつたっぷりのパンケーキを口に押し込んだ。
「おいしー!」
「ふふ。それは良かったです」
最後の一口を飲み込んで、部屋を飛び出した。
「いってきまーす!」
「お気をつけて、行ってらっしゃいませ」
ふふーん。今日は何しよっかなー。追いかけっことかも良いかも!
「うわっ」
誰かとぶつかった。相手も持っていた本を落とした。
「あ!セリス!」
「やぁ、リリー。久しぶり。…ごめんね、怪我はないかい?」
エルフのセリスはあたしの一番の友だちだ。
「うん大丈夫。セリスも大丈夫?」
「大丈夫だよ。それより急いでいたようだけど、どうしたんだい?」
「マルコスと遊ぶんだー。セリスも一緒に遊ぶ?」
「うーん。リリーが誘ってくれたのは嬉しいんだけど、僕はこの本をザラヴェさんに返しにいかないといけないんだよね。だからまた今度誘って」
「分かった!約束ね」
セリスと別れて、庭につくとマルコスたちの笑い声が聞こえた。
「マルコス!アイリス!」
庭にはすでにマルコスたちの悪魔とアイリスたちの天使、そしていろいろな魔族の子供が集まっていた。
「遅いぞ、お嬢」
「ひめさま。今日はなにするの?」
「追いかけっこ!捕まったら負けね!」
「いいね。たのしそう」
「オイラも賛成だぜ!」
最初はマルコス率いる悪魔たちの五人が捕まえることになった。
「よーいスタート!」
「きゃー、はやく逃げましょ」
「ひめさま。はやくはやくっ」
「魔王を舐めないでね、マルコス!」
「それはこっちのセリフだな。みんなでお嬢を捕まえろ!」
庭いっぱいに笑い声が響き渡る。
「負けないからね!」
「がんばれひめさまー」




