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勇者の十字架  作者: 凪野 晴
第三章

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第51話 三人目の騎士

 一瞬で五体に増えたエグゼン。不意打ちを退けて、ヴィルヘルムとカタリナが二体を討ったが、レンが倒された。


 レンを挟み撃ちした二体のエグゼンが、彼にとどめを刺そうとする。


 ヴィルヘルムとカタリナが息を合わせ、その二体のレンへの追撃を防ぐ。


 五体のエグゼンは二人減り、三人。リーゼたちは、レンがやられ、三人。それぞれが対峙している形になった。倒れたレンの身体からは血が流れ広がっていく。


「惜しい、惜しい。もうちょっとあっさり片付くと思ったんだけど。あんたたち相当やるねぇ。仲間が死んじゃいそうだけど、大丈夫? 俺、手抜かないよ」


 そう言うと、エグゼンは再び二体増えて、五体になった。


「正直、五体までなんだよね。『五体満足』って言うじゃん。あ、意味違うか」


 彼はくくっと笑いながら、もう一人呼び出そうとする仕草をする。


 本当かどうか、わかりようがなかった。だが、その一瞬の隙で、リーゼは動く。


「コード、四・四・一!」と、彼女は叫んだ。


 リーゼがレンの元に駆け寄り、右手に持った杖で魔法の防御壁を張りながら、左手で回復魔法をかける。


 四は回復行為。次の四はメンバー四人目、つまりレンを示す。それを一番であるリーゼが行うという作戦コードだった。


「すげー、同時に二つも魔法を使うなんて。お姉さん、イケてるよ」


 その軽口と同時に、容赦なく鎌の斬撃を魔法の防御壁に叩き込んでくる。一人ではない。三人分だった。もう防御壁にひび割れが入りはじめていた。


 ヴィルヘルムは、分身したエグゼンの一体と対峙している。


 カタリナは、目の前のエグゼンと打ち合う。重たい両手鎌の斬撃をいなしつつ、突く、斬る。だが、それらは避けられ、剣は空を舞って手応えがない。



 不意打ちで、レン君がやられた。


 王家の翡翠が狙われている。


 リーゼさんの身も危ない。



 最悪の、想像したくない、恐ろしい光景が、カタリナの脳裏に浮かぶ。



 ……すべてが、失われてしまう。



 ……クロスさんは、この事態を知らない。



 ……あの人は、大切な人から離れる決断をした。


 ……あの人は、ずっと待ち望んでいた。


 ……あの人は、皆に託されていた。


 ……あの人は、誰にでも優しかった。


 ……あの人は、私に居場所をくれた。



――『森の騎士』の称号、すごいなと思ったよ。



 ああ。


 そうだ。



 ……騎士だ。



 私は。



 私は……。



 私は、クロス・マサトの騎士だ!



 あの人の願いは、想いは、私が護る!!



 カタリナは、聖剣を強く握り、風の魔法を全身に纏った。


 対峙しているエグゼンの攻撃を聖剣でいなし、素早い身のこなしで翻弄させ、足払いで転ばせる。そして、その身体を踏みつけながら、すぐさま別の方向へ弓を引き、矢を射った。


 その矢は風の魔法で加速する。狙いはリーゼを襲っている一体だ。その一体だけ、《《心の色が見える》》。つまり他は、偽物だ。


 飛んできた矢をかわす一瞬、他のエグゼンも動きが止まった。


「コード、一・一・三・一!」


 カタリナは叫ぶ。最後の一の意味は、最優先のターゲットという印だ。


「さっきからそのコードって何なん? うざいんだけど。俺だけ仲間ハズレかよ」


 エグゼンは、余裕を見せながら嘆くふりをする。五体揃って、同じ声で同じことを言った。


 お前のほうこそ、うざい。私たちの邪魔をするな!


 カタリナは、心の中で吠える。


 そして、エグゼンの本体を斬りにいく。心の色が見える本体を狙い続ける。


 連携が、リズムが、狂うはずだ。三対五の不利な状況を、わずかな隙を突いて、崩していくしかない。分身からの攻撃をかわしながら、あくまで本体だけを狙っていく。


 叫んだコードで、カタリナが本体を見極められると伝わったはずだ。


 絶対に、絶対に負けない!



 リーゼは、カタリナがわずかに状況を変えてくれたことを見逃さなかった。


「レン、大丈夫です。……悲しい思いをした()()()から、私は回復魔法を極めることにしましたので」


 防御壁を右手の杖で張りながら、リーゼの左手が触れたところから、強烈な光が放たれ、レンの全身を包み込んだ。一気に、レンの傷が癒えていく。


 防御壁を叩き割ろうとしていた三体のうち一体をカタリナが狙いにいった。だから、リーゼとレンを囲むのは二体になっていた。しかし、強烈な斬撃で、防御壁には砕ける寸前まで亀裂が入っていく。


 カタリナは、分身の追撃をかわしながら、本体に迫ろうとしていたが、なかなか上手くいかない。


 ヴィルヘルムは残り一体を抑え込んでいる。両手剣と両手鎌、似たもの武器でなかなか優勢がはっきりしない。

 

「ありがとうございます。大丈夫です」


 レンが起き上がった。


「では、私から離れずに。派手にいきますよ」

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